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    mochi_mika_n

    @mochi_mika_n

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    mochi_mika_n

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    旅人は神になって、世界から忘れ去られたのだ


    ☆旅の終点のその先で、テイワットから忘れ去られた空くんの話。
    再録。
    マハ―ルッカ様のあのセリフと最期が頭からずっと離れなかった。


    「君が……俺のことをどうか忘れてくれますように」

    黄金に過ぎる なにかを忘れている。
     忘却とは祝福だ。凡人は、限られた生と、限られた記憶力を、忘却という祝福をもって謳歌する。しかし、仙人に忘却の権能はない。すべて鮮明に思い出せる。己が囚われた時の絶望も、仲間とわかちあった喜びも、それを失った時のかなしみも、業障の苦しみも、全て覚えているというのに。
     なにかを忘れてしまっている。そこにあったはずのなにかが消えてしまった空虚がある。なにか、とても尊く、うつくしいなにかが埋まっていたはずの虚しさを抱えている。
     視界の端に飛ぶヤマガラを、陽の光を、山に生える石珀を見る度、忘れてしまった金色がチラついて離れないのに、それがなにかを思い出そうとすればするほどそれは追い求める己の手をすり抜けて遠くなっていく。
     己の心がなくてはならないものだと渇望しているのに、思い出せないことがこんなに苦痛とは誰も教えてくれなかった。
     己だけが忘れているのか、あるいは、もしかすれば、世界すら、忘れてしまっているのかもしれない。
     なにが祝福だ。こんなものが祝福であるものか。こんなものまるでただの――――――
    「業障よりもタチの悪い呪いだ…………」

     旅の終点のその先で、世界から忘れられた旅人は。忘却の呪いに苦しめられるいとしいひとを抱きしめて、苦しそうに幸せそうに笑っていたのだけれど。
     それを苦しむ仙人も、世界も知ることはできないのだ。
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    mochi_mika_n

    DONE塵歌壺の邸宅を子育て仕様にしたはずなのに予想外なことが起きる話(全て妄想)

    WEBオンリー展示だったもの


    双子は早く起きたら暇だったから柱をするする登ったらしいので、カーヴェは酔っぱらって判断力の鈍ったエルマイト旅団が住むことを想定して新しい柵を作ったとか作ってないとか。
    柵は思ってる倍は高く作れ テイワットを旅する空の持ち家である塵歌壺は、産まれた双子の子供のためにところどころリフォームされた。
     まず、ありとあらゆる角にぶつかっても大丈夫なように緩衝材が取り付けられた。さらには吹き抜けの柵は登って落ちてしまわないように以前より高くなった。高くなる前は酔っぱらったウェンティやカーヴェがよく落ちていたものだが、これで彼らが落ちてしまうこともそうないと思いたい。普通の子供ならよほどのことがなければ落ちようもないだろう。
     酔っぱらっていないカーヴェにアドバイスを貰って設計した新しい柵は空の胸あたりの高さになったし、足をかけられるような装飾も取っ払った。まあ、安全性を優先するのだから無骨なデザインでもいいかな、と考えていた空と芸術に興味のない魈はそのままでいいと思っていたのだが、建築デザインに余念のないカーヴェは二人を置いてけぼりにして、凹凸のない素朴な柵に美しい絵を描き上げた。璃月風の落ち着いた色合いの幾何学模様に染められた柵に空と魈は感動したものだ。スメールの天才建築家は画家の才能もあるらしい。その礼に空はカーヴェに酒を振舞ったし、魈も仙人秘蔵の酒を注いだ。
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    mochi_mika_n

    DONE抱卵する空くんと、せっせと夕暮れの実を持ってくる魈くんのお話

    WEBオンリー展示だったもの

    満足サラダはフルーツサラダになりました。
    食後のお供は夕暮れベリーティー 人工の陽光が降り注ぐ洞天に魈は夕暮れの実をたくさん抱えて訪れた。
     鮮やかなオレンジ色の木の実はすっかり熟して、甘い香りを放っている。いち、にい、さん、し、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう。合計十個にもなるそれはころころとして今にも魈の腕からこぼれ落ちそうになって、慌てて抱え直すと足早に洞天でひと際存在感を放つ邸宅を目指した。
     その洞天の管理人である仙獣に軽く挨拶をして、さっさと邸宅の中に入る。持ち主に似て澄んだ空気が満ちる室内は、以前まで持ち主の友人がひっきりなしに訪れていたものだが、最近は家主の容態に遠慮してか来客は少なくなった。家主の唯一無二の相棒も、気配に敏感な彼に気を使ってか、洞天にいるよりも璃月の街に繰り出していることのほうが多い。夜にはたくさんの食材を抱えて帰ってくる。だから、静かな邸内には魈以外に家主ひとりぶんの気配しかない。真っ直ぐに家主の――――――空の部屋に入れば、置かれたベッドの中心が丸く膨らんでいる。
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    mochi_mika_n

    PROGRESS一度Twitterにアップしたやつ。
    一か月遅れの猫の日とかでもなければ完結もしていないけど、オンリーでちょうどいいので。
    後日、アビスは秒殺された その日の魈は、素材が欲しいのだと言う空の要望で、翠決坡と遁玉の丘の間に潜む爆炎樹を狩りに行っていた。必要数集まったと喜ぶ空を眺めていたら、ふよふよと宙に浮かぶパイモンが言笑の料理が食べたいというので望舒旅館に戻ろうとしたのだ。
     魈が空と恋仲になってから、空は以前にも増して望舒旅館を訪れるようになった。
     最近はスメールでの騒ぎに巻き込まれていたらしく、しばらく顔を合わせていなかったが、それも一段落して足りない素材があったから一旦璃月に戻ってきたらしい。スメールの動乱はまだ解決出来ていないようで、数日すればまたスメールに戻るのだと空は言った。
     テイワット各地に点在する、空にだけ使えるワープポイントなるものを使えばスメールと璃月の移動も楽になるのだそうだ。そのワープポイントも、空は乱用するのもよくないし、旅の楽しみが減るからと、活用はするが頻繁に使いすぎることは無かった。道中の魔物を狩るのも大切らしい。だから、望舒旅館に戻るにも徒歩で行くことになって、その道すがらに、アビスの魔術師が二体怪しげな行動を取っているのを見つけたのだ。
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