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    narehate_water

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    narehate_water

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    ハンジさんとピークちゃんの現パロ
    女子高の天文部のお話
    書きかけなので、まとまったら清書して支部に上げます

     ここはとある地方にある女子高の天文部の部室。高1のハンジとピークが放課後テスト勉強をしながらだらだらと喋っている。コンクリートでできた古い部室棟は日当たりが悪く、風向きの関係いつもグラウンドの砂埃を巻き上げた風が通るため埃っぽい。二人は、狭い部室に置かれた年季の入った木製の長机に勉強道具を広げ、対角線上に座っていた。ハンジは、先ほどからぶつぶつ言いながら数学の問題を解いている。それとは対照的に、世界史のテスト範囲をすべて終えたピークは、気だるそうに肩を回し、ぽきぽきと手首を鳴らした。

    「そういえばハンジ、さっきから何をお尻の下に敷いてるの?」
    「あぁ。これかい? 購買で売っていたデカメロンパンを食べようと思ったんだけど、そのまま食べるとあまりに大きくてボロボロこぼれるから、こうやって袋に小さな空気穴をあけて、その上に地理の資料集を置いて10分ほど座るとね、ちょうどいい厚みまでつぶれて、食べやすくなるんだ」
    「相変わらず、独創的なアプローチね」
    「お褒めの言葉をありがとう。えーっと、……この面積を求めるとなると……」

     ハンジは、複雑な形の曲線で囲まれた面積を求めるため、それぞれの曲線を表す式を絵に描こうとしているが、うまくいかないため、何度も消しては書きを繰り返している。
    「そういえば、今年の夏合宿はどこにする?」
    「あーー、もうそんな時期かぁ。どこに行くか決めないとだよね。今年の八月の天体ショーの日程まだ見てないや」
    「それと、今年は、リコちゃんもいるから、彼女の意見も聞かないとね。テスト終わったら一度三人で集まって相談しない? それとエルスミにも声かける?」
    「うーん。エルヴィン先生はまだいいかなぁ。なんか、合宿って単語と聞くと毎年一人で盛り上がってあれこれ提案してくるから面倒なんだよね……おっと、なんか美しい図形になったんじゃないこれ? もしかしてこれが正解かなぁ」
    「じゃあ、今年もキヨミ先生と相談して大枠固めてからいえばいいよね?」
    「うん。それでいいと思うよ。よし、できた。どれどれ、おおー、答え合ってる!」
     ハンジは満足そうに答え合わせを済ませると、「10分経ったかなぁ」とニコニコ顔でメロンパンの袋を取り出し封を開けた。厚さはちょうど1cm、潰れたことによりハンジの顔ほどの大きさになったメロンパン。クッキー生地をこぼさないように、細心の注意を払いながらハンジはその輪郭部分を頬張った。このメロンパンは、大きさの割に味がいい。

     ハンジたちの通う女子高は同じ敷地に系列の中学があり、部活によっては中学生と高校生が同じ部に所属する。運動部と違い、天文部をはじめ文化部の多くは中学生と高校生の部員によって構成されている。キヨミ先生は高校の書道、エルスミことエルヴィン先生は中学の体育を受け持っている。唯一の中学生部員のリコは、中2でもともとはトランポリン部だったが手首を怪我したためスポーツをあきらめ二年に上がるタイミングで天文部に転部してきた。

    「そういえば、ピークちゃん、今年は合同文化祭でる? 男子校の天文部が新しい星を見つけて名前を付けたでしょ? 彼らは、あのネタを発表するらしいよ」
    「あー、知ってる。何だっけ? 『ジャガイモブリット星』だっけ? あんなふざけた名前を付けるんなんて、頭のいい男子高校生さんたちは、何を考えているかよくわからないわね」
    「でもさ、自分たちが見つけた星に名前を付けるなんて、最高にかっこいいよね」
    「そうね。その事実だけだったらかっこいいけどね……」

     先月、この小さな港町では、山のふもとにある男子校の天文部員が新しい小惑星を見つけたというニュースが駆け巡った。さらに、あろうことか、天文部では惑星の命名権を販売し、その費用を部活の活動資金に当てようとしていた。そこで、天文部のOBが在籍している、この街に大きなパルプ工場と金額の交渉に入ったのだが、その情報を入手した男子校の生徒会が、天文部以外の全校生徒から募金でお金を集め、高校の代表者が星にに名前を付ける権利を強引に獲得した。企業としては、高校生が出てきてしまえば、譲るしかないという判断になったが、その大人の対応があだとなった。悪乗りした高校生が、ノリと勢いで星に名前を付けてしまった。

    「私ねやってみたいことがあってさ」
    「なに?」

     ピークは、ハンジの真面目そうな声音を聞き、顔を上げた。

    「子どもの頃にヒノタマを見たんだけど。あれをもう一度見たいんだよね」
    「ヒノタマじゃなくて、カキュウ、火球でしょ?」
    「そうそう、それそれ。流れ星だと流星群の時に見られるけど。やっぱり大きいのだいいんだよね。一か月に数個、全国で目撃例があるから、年間30日くらい徹夜て空を見ていれば、いつか見つかると思うんだよね。確率論的にはさ」
    「それ面白いね。今年の活動目標それにする? 火球観測」
    「いいね、そうしよう!」
    「あと、できれば動画も取りたいんだよね。機材を集めたいから文化祭で、毎年やっている今川焼とイカ焼きの屋台をさ、今年はカキュウ焼きに変えて資金集めるってどう?」

    つづく
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