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    soseki1_1

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    soseki1_1

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    幼い頃から育てていた白鷹🤕に求愛される夜行梟🔮と、その相談を受ける🧲
    (傭占/鷹梟)

     たまには雛でも飼うか。
     夜行梟が鷹族の子供を引き取ったのは、そういう気まぐれからだった。
     人間の手により滅ぼされた鷹族の生き残りだった。血塗れの母親が子供を抱き抱えて罪の森に駆け込んできたのだ。子供を託して母親は死に、鷹族の里は焼け落ちたと知らせが入り、あとには子供ひとりが遺された。この痛ましい幼子をどうするかで罪の森の大人たちは悩んだ。皆誰もがわが身が可愛い。勝手の知らない、それも鷹の獣人の子を養育するなど進んで買って出る者はいなかった。ので、罪の森の守り人たる夜行梟が気まぐれを起こす羽目になった。「どいつもこいつも成っていないね」と悪態を吐き、子供を抱き上げた「こんなに美しいお前を放っておくなんて」そう言って微笑みかけた。白い前髪を鼻頭で探り、褐色の肌を持つ額に唇を添わせて祝福のキスをした。
     そういう訳で引き取り手は夜行梟に決まった。気まぐれで引き受けたとはいえ生半可な養育は守り人として許されない。兼ねてよりあった知識に加え、夜行梟はありったけの養育本を買い込み、鷹族の里の近隣に住んでいた獣人の元まで足を運んで話を聞き、時に失敗しながら、しかし概ねの時間を笑顔で過ごした。「お前の髪は空に浮かぶ美しい雲のようだね」と言いながら髪を撫で、「お前の瞳をごらん。まるで大空のようじゃないか」と言いながら額を合わせて瞳を見つめ、「お前は立派な鷹族の戦士なのだからね」と言いながら伸びた背丈を撫であげ、「私の自慢の子。可愛い子」と囁きながら抱きしめた。鷹族の生き残りは夜行梟のいとし子へと移ろい、背丈こそ夜行梟を超えなかったものの、その身は夜行梟の柳のようだと呼ばれる細見より幾らも逞しいものと成長した。
     結果、
     その子供に求愛された。
    「どうすればいいと思う?」
    「結婚すれば?」
    「ふざけるな馬鹿土竜」
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    soseki1_1

    PROGRESS大佐🤕と喧嘩して家出した🔮を匿う副官🧲2
    /現パロ大占傭占
    「ああ、いるよ」
     携帯電話から届く声が誰なのかは判別がつかない。ただキャンベルさんの口ぶりと目線で彼だと解った。彼は眇めたような流し目で僕を見た。
    「僕の家に居る」
     裏切られたと思った。立ち尽くした足が後ろにたたらを踏んで、この家から逃げようとする。だけど裏切られたという衝撃が体の動きを固くしていた。そのうちに、彼は言った。
    「なんで? あげないよ。送り届けてなんてやらない」
     踵を返して走り出そうとした足が止まる。息を止めたままキャンベルさんを見ると、彼はもう僕の方を見てはいなかった。ただ、唇を歪めて厭に微笑んでいた。
    「飽きたんだろ?貰ってあげるよ。常々美味しいんだって聞いてたし」
     怒鳴られてる。とは、漏れ出る音で解った。そういう空気の振動があった。それに構うことなく、キャンベルさんは鬱陶しそうに電話を耳から離すと、液晶に指を滑らせて電話を切った。四方形のそれをソファに投げて息を吐く。僕の、何とも言い難い視線に気付いたのだろう。彼はもう一度目線だけで僕を見た。それが問い掛けの代わりの視線だと解ったから、逃げ出すより前に口を開いた。
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    soseki1_1

    PROGRESS求愛してる白鷹とそれに気づかない夜行梟/鷹梟/傭占
     そもそもの始まりは食事からだった。と、夜行梟は呟き始める。狩りのやり方を教えた頃から、やたらと獲物を取ってきたがると思っていたのだ。覚えたての狩りが楽しいのだろうと微笑ましく思えていたのは一、二年ほどで、そのうちどこからか料理を覚えて振舞うようになった。あれはそういうことだったのだ。給餌だ。求愛行動のひとつだったという訳だ。夜行梟はその真意に全く気付かず、私の料理美味しくなかったかな、悪いことしたな、なんてひとり反省していた。
     夜行梟の誕生日に三段の素晴らしいケーキが出された辺りから、つまりは今年のハロウィーンを終えた辺りから、いとし子は本領を発揮し始めた。まず、夜行梟の寝台に潜り込んだ。今思えばこのときに気付いてもよかった。よかったのに、夜行梟は布団の隙間を縫うように身を潜らせたいとし子に「怖い夢をみたのかい?」なんて昔と同じように声を掛けた。もうとっくに子供じゃなくなっていた白鷹は、このときは未だ我慢していた。「そんなものだ」とだけ言って隣に潜り込み、足を絡ませて寝た。今思い返すと完全に求愛だった。鷹族の習性だ。鳥型の鷹は空中で足を絡め合い、互いの愛情を深めるのだ。鷹族の遠い親戚からきちんと聞き及んだ話だった。のに、思い当たらなかった。まだ甘えん坊さんだな、なんて嬉しく思っていた。
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