花火の影を見る テーブルに並ぶ料理を眺めまわしながら、線香花火みたい、と思っている。
いつかの七夕。ストロンチウムが燃えている。
▽
あのヤニカスどもめ……と悟は呟いた。二対一で非喫煙者が少数派だと、煙草タイムを待つ羽目になる。悟と二人の時は傑は滅多に吸わないくせに、硝子と三人の時はごめんねとか言って吸いに行くから本当ムカつく。そういう、和を乱さないことを良しとするくせに悟のことは蔑ろにするところ、すっごい嫌い。悟と二人の時でも吸いたきゃ吸えばいいし、吸わないなら俺と二人で硝子を待ってくれればいいのに。嫌い!
だから傑が「ごめんごめん、お待たせ」と現れた時、悟は開口一番に「おっせ〜よクズ共!」と叫んだ。煙草から帰ってきた人を出迎える時は、罵っていいって法律でも決まってる。俺が書いた。憲法にも書いた。
6178