リセット「別れてほしい」
　部屋の入り口で俯きながら震える声で話す羽京。
「…………わかった。最後に抱きしめてもいいか」
　ゆっくりと頷いた羽京を抱きしめた。
「愛している。……次は違う場所で続けよう」
　注射器を捨てて、俺に寄りかかる体をベッドに寝かせる。
「フランソワ、設定を変更してくれ」

家族『息子はもう小学生になる年です……お願いだからはやく返し』
　ブツリと消されたテレビ。お茶碗を片手に口を開けた少年が反射している。
「ねえ龍水。あの人の息子って僕と同い年かな」
「そのようだな。ほら、早く食べないと入学式に遅れるだろう」
「はあい」
　五年が経った。羽京は俺の家族だ。

　私は羽京先生が好きだ。家族とか友達に向けた“好き”じゃない。結婚したいの“好き”。そう、私は羽京先生のお嫁さんになりたい。
　他にも同じ想いを持ってる子はいるけど、あんなのは尊敬と恋を履き違えてるだけだ。私のはちがう、村長の言葉を借りれば“百億%”純粋な恋だ。
　だってあんなにも優しい綺麗な顔をしているのに、性格まで優しくて綺麗で、その上まあまあ強くて狩りがうまいのよ。頭もいいし、そんなの好きになるに決まってるじゃない。あんな人、出会ったことない。
　絶対羽京先生のお嫁さんになる。その一心で色々と努力した。まず見た目が可愛い子が好きかもしれないと思って、キラキラ三姉妹におしゃれを教えてもらった。おかげでただの村の子からモテる村の子になった。

分裂🏹　龍羽　夏真っ盛り。冷房もないこの石世界でも、温暖化が治まっているとはいえ、毎日暑い日が続いていた。
　毎晩暑さにうんざりしながら床につき、毎朝暑さに起こされる。今朝もそうだ。まだ日も昇りきっていないのに、無性に暑くて目が覚めてしまった。
　汗で周りの布がじっとりと張り付いてくる。暑い。暑すぎる。まるで誰かに抱きつかれているような……いや、ようなじゃない。抱きつかれている。誰かの体温と音を僕の胸元から感じる。
　そっと手を動かして確認する。大人だ。子どもたちの誰かかと思っていたのだが。骨格がしっかりしていることから、男だとわかる。
　大人の男と寝るような事態になった記憶がない。周りを見渡しても全員各々の布団の上で寝ている。一体誰なんだ。

石化直前に荼毘にふされた人の遺族が復活して、なにかの拍子に死んだ後でも石化すれば生き返るって知ってしまう。
あと少し火葬を待ってれば石化で復活してまた会えたってこと？って考えが頭いっぱいになっちゃって、でもなにもできないことに無性に苛ついてしまって千空たち主要メンバーのこと、科学のことが嫌いになってっちゃう。