勉強方法伝授「──で?デュースは何につまづいてるの?」
「ああ、ここなんだが……この公式を使うのはわかった。でも、どうしても答えが合わないんだ」
どれどれ?ノートを覗いてうわっと心の中で引いた。こりゃ酷い。何度も消したり書いたりしたせいで真っ黒になっている。
「う、うーん。まず、デュースはさ、ノートに書くより無地のメモ用紙に書いた方がいいかもしれない。これだってここなんだけど書き直し過ぎて途中から消えかけてる前の数字で計算しちゃってる」
「あ、ホントだ」
「ノートだとどうしても罫線があってそれに沿って書こうとしちゃうのは分かる。それが悪いわけじゃないけど数学は無地の方がデュースにはいいかも。メモ用紙なら書き直さなくても別の紙に計算し直せばいい」
「なるほど……」
「でも、このやり方だと提出用のノートに書き直す手間があるんだ。グリムはそれが嫌で辞めちゃったんだけど……」
「いや、ありがとう。やってみる」
「そう?じゃあ、今日はこれ使いなよ。グリムのあまり。明日のデザートでどう?」
「俺様にはツナ缶な。デュースのために残しておいたんだゾ」
「はは、気持ちだけ受け取っておく。でも、勉強も教えて貰ったし、明日のデザートはエースも集りそうだから無理だが、この後なら購買で何か奢ろう」
ペンを置いたデュースが口に手を当てて控えめに笑う。いつも思うが、お前仕草が上品だよな?本当に元ヤンか?
「ふな!? ツナ缶か!?!?ツナ缶だよな!!」
「それは監督生に聞いてくれ」