あなたはどんな名前をつけるの「これ貸してくーださい」
「あ、三ツ谷くん」
隣のクラスの三ツ谷君は、よく図書室にやって来る。それは大体放課後で、いつも洋服とか装飾の本、色の辞典なんかを一冊だけ貸し出しカウンターに持って来るのだ。
「はい。再来週までね」
「ありがと。今日は部活が休みなんだよ」
「そうなんだ。手芸部だよね? 器用で良いなぁ」
「■■は不器用なのか?」
三ツ谷くんはそう返しながら近くにある椅子を引きずってきて、私たちはカウンターを挟んで向かい合うかたちになった。図書室を出ていく様子がないから、話し相手になってくれるのかな? と少し期待して会話を続ける。
「んー器用では無いかなぁ。家庭科の裁縫でも、微妙な物ばっかり出来るんだよね」
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