40代になってから口説き始めたロナくんの30年後ロド午後8時。
完全に日が沈み夜に支配された部屋で、一人の人間と一人の吸血鬼が生まれたままの姿で揃って寝息を立てていた。
人間の方は筋骨隆々な体をしており、反対に吸血鬼は風が吹けば飛んで行ってしまいそうなほど痩せていた。
「ん……」
先に目を覚ましたのは吸血鬼の方だった。
「おや、まだ寝ていたのか」
体を起こした吸血鬼は隣で眠る人間を見下ろすとその短い髪をそっと撫でる。
「休みとはいえお寝坊さんだな、全く」
愛しいものを見るようにくすくす笑いながら頬を指で突いていると、う、と人間が身じろぐ。
「どらるく……?」
人間は吸血鬼の名を呼びながらゆっくりと目を開ける。
「おはようダーリン、いい夜だよ」
目を覚ました人間、ロナルドに合わせて吸血鬼、ドラルクは再びベッドに横になり、仰向けになっているロナルドの上に乗り上げた。
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