私は公園のお姉ちゃん。「好きです!俺と付き合ってください!」
「ごめんなさい」
食い気味にお断りすると、目の前の男はガクッと項垂れた。丁寧に纏められたリーゼントヘアと、本来の形からだいぶかけ離れた短い学ランとボンタンが特徴的なこの不良は、数週間前から毎日告白してくる変な奴だった。
一応学年的にはひとつ上の先輩に当たるのだが、どうにも尊敬できる部分が無く、最初の丁寧な接し方は徐々に消え去っていった。長身を折りたたむ彼を見下ろす私の目は冷たい。
「いい加減諦めたらどうです。この不毛なやり取りに時間を取られるの嫌なんですけど」
「でもなんやかんや時間つくって会いに来てくれるよな」
「えぇ、おつむが弱い方には面と向かって対話しないと意思疎通できないと思ったので。まぁ何週間顔を合わせても話が通じないほど馬鹿だったとは思いもしませんでしたけど」
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