夏祭り「ガキじゃあるまいし手なんて繋ぐかよ」
照れて言った言葉だった。初めて二人で来た夏祭り。マトリフが暑さと喧騒に参っていたら、それに気付いたガンガディアが手を繋ごうと言ってくれた。だがマトリフは気恥ずかしさのほうが勝ってしまい、ぶっきらぼうに断ってしまった。
ガンガディアは差し出した手をすぐに引っ込めて、取り繕うように笑みを浮かべた。
「すまない。私なんかと手など繋ぎたくなかったか」
ではもう帰ろうかと言うガンガディアに、マトリフは口を曲げる。自分のせいだと分かりながらも、どうしても素直になることができなかった。
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「はぐれたら困るだろ。手を繋いでくれよ」
毎年恒例になった夏祭りでマトリフはガンガディアに手を向ける。ガンガディアも心得ているからその手を繋いだ。
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