soap さっぶ、と言いながらゴミ捨て場から戻ってきて玄関のドアを開けると、片手に風呂洗いの洗剤を持ったリゾットが目の前に全裸で立ちはだかっていた。黙って後ろ手でドアを閉めてから、己の言葉を後追いするように、胸の前で交差させた手で二の腕をさすり、プロシュートはインパクトの強すぎる眼前の光景を数秒凝視し呟いた。
「メシ……」
「洗剤がねぇ」
怪訝な顔をしたリゾットが憮然と言う。
「持ってんだろ」
「中身が空だ」
振られるボトルを見て記憶が蘇る。そう言えばそうだった。最後にそれを使ったのは自分で、その時に使い切っていたのだった。
「詰替えの買い置きがあったはずだ」と言うリゾットは、玄関の脇の物置を探っていたようだった。扉が半端に空いている。
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