尊敬する人 おみくじを引く時のように粛々と封筒から取り出したB5サイズのカードを確認した三井は、凍りついたようにその場に立ち尽くした。
カードは綺麗にパウチされ、ご丁寧にも紐が付いていて、首からかけられるようになっている。首にかけた時に表側になる面には、ただ一言『尊敬する人』と書いてあった。
(なんだよ、それ!?)
「どうしたミッチー! 止まってる暇なんてねえぞぉ!」
飛んできた野次に、電池が切れたかのように動けなくなっていた三井は下を向いていた顔を上げる。
確かに止まっている場合ではなかった。ただ、どこに向かって動き出せばいいのかが分からないのだった。
「なんて書いてあんだよ、こっち向けて見せてくれミッチー」
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