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    sleet_58

    @sleet_58

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    原初の推しCPであるエドマになっていく方の、マシアス叙事詩の裏番物語です。とりあえず兄視点ではじめましたが、ダンカンの小屋の時点で方向性がペキョって変わります。不定期連載。

    エドマ物語 11.【愛は時を容易く超える】
    ~十年ぶりでも愛するあいつの匂いはわかる~


     私は、機械の国フィガロを治める国王、エドガー。
     現在、世界に対し覇を唱える帝国と同盟を結んではいるが、裏で対抗組織であるリターナーを支援し、世界に秩序ある平和な世界を取り戻すことを目的としている。
     両天秤はいいのかとか言わない。先代の父が崩御する直前に締結してくれた同盟である以上、無碍には出来なかったし無碍に出来るほどフィガロはまだ強くないのはわかっていたんだ。
     近日、フィガロの北にある炭鉱都市ナルシェから、氷漬けの幻獣が発掘されたという話が流れてきた時、帝国は必ず動くだろうという確信があった。というか、そんな話が流れてくる時点で、若干ナルシェの情報統制能力を疑った。もう少ししっかりと統制した方がいい。
     私の確信は、現実のものとなった。
     結果、ナルシェに潜んでいたリターナーの構成員であるジュンが帝国の兵士を匿い、我がフィガロまでロックをつけて送り届けてくれることになった。
     帝国から訪れたケフカの浅慮によって、同盟を破棄する事態に見舞われた。そんなのを送り込んでくる時点で、帝国の判断は決まっていたのだろう。城に火をつけられてまで下手に出たところで、国としては末路は同じだ。それは大臣以下、城の兵士達も同じ気持ちだったと、私は信じている。
     私は城のことを大臣達に任せて、リターナー本部まで自ら赴くことにした。流石に、ロックとティナだけでサーベル山脈へ向かうことは難しいだろうと思った為だ。あそこへの道のりは、至極シンプルに険しすぎる。
     それに、バナン様と直接話をした上で、今後の対応を決めなければならない面もある。
     私が城を後にして旅立ったのは、そういった様々な要因があった為だ。


     ……マッシュの匂いがする。


     と、ある小屋に立ち寄って気付いた瞬間。


     考え事が一旦全部、俺の頭から消えた。
     代わりに、頭の中はマッシュ一色になった。
     いやマッシュがいるならば頭の中は極彩色ではあるのだが、マッシュという単一にして唯一の存在でいっぱいになってしまったということだ。
     十年前、自由を与えて城から逃がした、大事な大事な双子の弟。
     この花の香りを好んでいた姿を思い出す。俺にとっては、花より、マッシュの笑顔が愛らしかった。今でもありありと思い出せる。
     このお茶を飲んでいた姿を思い出す。食の細かったマッシュが、珍しくも手ずから淹れて飲んでいたから、よく覚えている。一緒にお茶を飲む時間が、俺の癒しの時間だった。
     見知らぬ小屋の中に、マッシュが生きている証が山積している。愛用していた茶器に、当時からついていた傷もあったから間違いはない。
     きっと、近くにいる。
     マッシュが。
     小屋から出ると、ここを訪ねてきたらしい老人がいた。小屋の関係者だろうかと話しかけると、サウスフィガロでも噂になっていた、高名な格闘家のダンカンが殺されたことで、弟子であるマッシュも山にこもっていると教えてくれた。
     ……随分と情報通の老人だと思ったが、今は、リターナー本部のあるサーベル山脈に向かう為。
     まず、コルツ山を踏破しなければならない。
     決して、コルツ山でマッシュに会えたらいいなとか。
     あわよくば、俺と一緒に旅をしてくれないかなとか。
     そんなことは少ししか思っていない。
     少ししか思っていないとも。
     ……さっきからロックが何か言いたげにしているが、気にしている時間も惜しい。


     いざ、コルツ山へ。


     必ず再会してみせるぞ、マッシュ。
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    sleet_58

    TRAININGFF6ピクリマ再プレイにあたり、遊んでる間に考えたあれこれを話にしてまとめようと思ったものです。不定期連載。マッシュから見た世界のお話です。裏側にエドマがいますが、そっちも別口で不定期連載です。
    マシアス叙事詩 22.【死の隣人】
    ~気付くと死にかけるようなところに進んで向かう人、また、そのような気質の人の例え~


     前回のあらすじ。
     レテ川から流されたマッシュが、東大陸に上陸した。


     流れてきたレテ川を背にあたりを見回すが、どう見ても一軒家があるだけだ。
     一軒家以外何もないという景色に首を傾げながら、マッシュは歩き出した。
     レテ川から生きてここに流れ着いた以上、ナルシェまで行くことを、マッシュは諦めていない。ナルシェまでの道がどれほど遠いとしても、マッシュが何もしない理由にはならない。
     辿り着いた一軒家には、井戸の前に一人、家の前にチョコボに乗った一人しか見当たらない。
     家の中には、頭のおかしな男が一人いるだけだった。物言いは支離滅裂だったが、壊れている時計をそのままにするのも何だったので、出来るだけは直しておいた。マッシュも機械の国フィガロで生まれ育っただけはあり、機械に対する基礎はちゃんと身についている。それ以外については、子供という言葉に過剰反応された末、追い出されたので何も直すことは出来なかった。
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