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    sleet_58

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    sleet_58

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    FF6ピクリマ再プレイにあたり、遊んでる間に考えたあれこれを話にしてまとめようと思ったものです。不定期連載。マッシュから見た世界のお話です。裏側にエドマがいますが、そっちも別口で不定期連載です。

    マシアス叙事詩 22.【死の隣人】
    ~気付くと死にかけるようなところに進んで向かう人、また、そのような気質の人の例え~


     前回のあらすじ。
     レテ川から流されたマッシュが、東大陸に上陸した。


     流れてきたレテ川を背にあたりを見回すが、どう見ても一軒家があるだけだ。
     一軒家以外何もないという景色に首を傾げながら、マッシュは歩き出した。
     レテ川から生きてここに流れ着いた以上、ナルシェまで行くことを、マッシュは諦めていない。ナルシェまでの道がどれほど遠いとしても、マッシュが何もしない理由にはならない。
     辿り着いた一軒家には、井戸の前に一人、家の前にチョコボに乗った一人しか見当たらない。
     家の中には、頭のおかしな男が一人いるだけだった。物言いは支離滅裂だったが、壊れている時計をそのままにするのも何だったので、出来るだけは直しておいた。マッシュも機械の国フィガロで生まれ育っただけはあり、機械に対する基礎はちゃんと身についている。それ以外については、子供という言葉に過剰反応された末、追い出されたので何も直すことは出来なかった。
     チョコボに乗った男は、朗らかにチョコボの道具屋さんと名乗った。この辺りでは知らない人がいないということで、行商人だろうという見当はついた。よそ者であることを見抜かれたが、それ以上の言及はなかった。
     よそ者だろうと相手してくれる行商人なのだろうと判断し、この先で必要になりそうな道具類を買い込む。
     買い込みながら、一人でどこまで行けるのか、ということは頭に浮かんだ。
     これが、マッシュの気ままな一人旅だったなら、急ぐ必要はなかっただろう。
     だが、そうではない。ナルシェに向かった仲間との合流を目的とする以上、出来ることなら急ぎたい。そう思いながら、井戸の前にいる男に目を向ける。
     全身黒ずくめの、一見して只者でないことがわかる男。
     近寄りがたい雰囲気をしているが、マッシュとしても、今は一つでも多く情報が欲しい。
    「なぁ、あんた旅の者か?」
     マッシュの声に、相手は特に反応も返事もしなかったが、蔑ろにもされなかった。見知らぬ相手だが話を聞いてくれるらしいと感じ取り、マッシュは言葉を続ける。
    「仲間とはぐれちまったんだ。ナルシェに行きたいんだけど、どう行けばいいか知らないか?」
     マッシュの状況把握は、概ね、言葉の通りだ。リターナー云々を口に出さなかったのは、無意識下では帝国との対立要素であることを理解しているからだろう。
     ちなみに、この時。
    (……仲間とどこでどうはぐれたらここに辿り着くんだ……?)
     まだ名乗らぬ覆面の男は、内心でそう思ったらしいのだが、その場で口に出すほど迂闊ではない。だが、内心の動揺で、口は軽くなってしまった。
    「……東の森を抜けたところに、帝国が陣を張っているらしい」
    「帝国が!?」
    「どうやら、ドマの城を狙っているような気配だ」
    「ドマの城か……」
     ドマ国の名は、マッシュも修行時代から聞いている。現状、世界で唯一、国ぐるみでリターナーに力を貸していると明言している国だ。反帝国を旗印に、真向からやりあっている国である。
     リターナーに与する国の大事ではあるが、国家の大事に一個人が出来ることはほとんどない。そのくらいは、マッシュにもわかる。
    「でも、俺は急いでナルシェに行かなければならないんだ」
    「ナルシェへ行くには、ドマを抜けるしか道はない」
     最低限、帝国陣地の突破は、どうしても避けられないということだろう。
     流石にそれは一人では難儀だと思っていると、思わぬ助け舟を出して貰えた。
    「……俺がドマへ案内してやってもいいんだがな」
    「本当か!?」
    「ただし、気が変わったらいつでも俺は抜けるからな」
    「十分だ! 道案内だけでも頼めると助かるぜ!」
     右も左もわからない一人旅よりは、ずっといい。見かけによらず親切だなと思っていると
    「俺はいつでも死神に追われている」
    男は、静かな声でそう呟いた。その言葉に、マッシュは不思議と親しみを覚えた。
    「俺もさっきレテ川で流されて死にかけたぜ!」
     親しみを覚えた理由を何気なく述べたマッシュ自身は、大変明るい笑顔だったが
    「……は?」
    男は、覆面から覗く目を真ん丸にしていた。マッシュの言葉が、想定外すぎたのだろう。
    「いやぁ、レテ川をイカダでナルシェまで向かう途中だったんだけどな」
    「は?」
     レテ川の激流をイカダで進もうとしている時点で、男にとってマッシュ達は命知らずにしか見えなかった。仲間とはぐれたと言ったが、はぐれ方どころか旅の仕方がダイナミックすぎる。どうしてそうなった。
     男とて金になるなら何でもやるが、金にもならないイカダでのレテ川流れは、流石に正気を疑うレベルだった。
    「川の途中でタコの魔物に吹っ飛ばされて、支流に乗っちまってな。さっきそこに着いたばっかりだ!」
     マッシュが指さした先は、支流の行き着く河口付近だ。よく見れば、マッシュの服からまだ水が滴っている。
    「……服くらい乾かしたらどうだ」
    「歩いてれば乾くだろ!」
     乾かす時間も惜しいということか、と男は判断した。そしてそのまま歩き出したマッシュに続こうとしたが
    「ああ、そうだ。俺はフィガロ国のマッシュ! お前は何て呼べばいい?」
    そう問いかけられて、名乗っていないことを思い出す。
    「……シャドウ」
    「よろしくな、シャドウ!」
     当たり前のように差し出された手を握り返さず、愛犬に向き直る。
    「インターセプター、こいつは噛まなくていい」
     その言葉に、インターセプターと呼ばれた愛犬は、一つ小さくワフと鳴いた。

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    sleet_58

    TRAININGFF6ピクリマ再プレイにあたり、遊んでる間に考えたあれこれを話にしてまとめようと思ったものです。不定期連載。マッシュから見た世界のお話です。裏側にエドマがいますが、そっちも別口で不定期連載です。
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    ~気付くと死にかけるようなところに進んで向かう人、また、そのような気質の人の例え~


     前回のあらすじ。
     レテ川から流されたマッシュが、東大陸に上陸した。


     流れてきたレテ川を背にあたりを見回すが、どう見ても一軒家があるだけだ。
     一軒家以外何もないという景色に首を傾げながら、マッシュは歩き出した。
     レテ川から生きてここに流れ着いた以上、ナルシェまで行くことを、マッシュは諦めていない。ナルシェまでの道がどれほど遠いとしても、マッシュが何もしない理由にはならない。
     辿り着いた一軒家には、井戸の前に一人、家の前にチョコボに乗った一人しか見当たらない。
     家の中には、頭のおかしな男が一人いるだけだった。物言いは支離滅裂だったが、壊れている時計をそのままにするのも何だったので、出来るだけは直しておいた。マッシュも機械の国フィガロで生まれ育っただけはあり、機械に対する基礎はちゃんと身についている。それ以外については、子供という言葉に過剰反応された末、追い出されたので何も直すことは出来なかった。
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