あにうえのけんせい ショーウィンドウには色鮮やかなアイスが並んでいる。ガラス張りのケースにぺったりと張り付いた蘭丸は眉間に皺を寄せて真剣に考え込んでいた。
選べるのは一つだけ。よく知った色を見比べながら、これは難解な問題だぞとばかりに唸る。
高杉は店内の端で涼んでいる。店内の冷房が天国のように思える。一気に汗が引いて、パタパタと胸元を仰いで風を入れるのを見咎めた兄が見えないように大きな身体で覆い隠していた。
「あにうえ、らんまるにはえらべません!」
「選べ」
「むりであります!」
「………どれと迷ってんだ」
「ぜんぶっ!」
「せめて絞れよ………」
呆れたように笑う兄の後ろからひょっこりと高杉が顔を出す。蘭丸は良いことを思いついた!と軽い足取りで駆け寄り、にぱっと笑った。
1999