覚醒と共に目を開ける。任務明けに泊まったホテルの染みったれた灰色の天井が見えて、身体の力を抜く。隣から肌で感じる温もりに安堵し、安らかな寝息を素直に愛おしく思う。どうしようもなく甘ったれなガキだと、戦場の尻拭いに頭を抱えてばかりいたのに、二十歳を過ぎた辺りからそれなりに大人びてきやがった。でも寝顔はまだ幼く見える。
ずっと迷いはあった。自分で自分の幸せを見つけろよ、何ならアーカムなんてとっとと辞めちまえと。でもこいつはスプリガンを辞めようとはしなかったし、いつまで経っても自分の罪ばかり後生大事に抱き締めて、いつか誰かに断罪してもらうのをじっと待っているようだった。俺はそれがずっと気に食わなかった。
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