current 俺が、ただの銃だった頃の記憶。
歌が聞こえた。その歌声はとても優しくて、穏やかで…。
俺はその歌が…その歌が聞こえる時のヴィヴィアンの纏う柔らかい空気が、嫌いじゃなかった。
ライク・ツーが貴銃士として召銃されてから、絶対高貴を求めてフランスへ飛びジョージと十手を迎え入れてからも腰が落ち着くことはなく、その後もイギリスやドイツに赴いたりとカサリステの一員として慌ただしい日々を送っていた。ようやく任務の間に士官学校で人としての振舞いとやらを学ぶ日常を穏やかに送れるようになった頃には、貴銃士の数も相当増えていた。
そうして、退屈ながらも鍛錬を重ねる日々を過ごしていたライク・ツーは、ふとあの歌の存在を思い出した。彼がまだただの銃だった頃、時折聞こえてきた歌。
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