鍾ウェン小話机に向かって真剣な顔で向かっている彼にぴょんっと飛びつく。
「…なんだ」
「…つまんない」
せっかく遊びに来たのに、彼は仕事ばかりだ。そりゃ約束もなしに来たのは悪かったけど、もう数時間放ったらかしだ。少しくらい構ってくれてもいいじゃないか。
「もう少しで終わるからおとなしくしていろ」
「……もう!」
こうなれば梃子でも動かない。しかし、それで納得しないのが自分なわけだ。なので。
えい、とちゅーーっと音がするくらい彼にキスをする。構ってよ、と抗議を込めてやっても、彼は微動だにしない。まあ分かってたけど!この堅物真面目じいさん!!
ぱっと離れても、照れるわけでもなく呆れた顔をする彼にやっぱり、と思いながらもなんとなく悔しい。
ふんっ、とそっぽを向いて彼から降りると、ぼふっと彼のベッドに飛び込む。
「……おい」
「ふんっだ!知らない!」
枕に顔を埋めて拗ねる。
「ウェンティ」
「………」
呼びかけられても、返事をせずにボクは拗ねてますよアピールだ。はぁ、と溜息をつく音がしたと思えば紙が擦れる音がし始めた。どうやら仕事を再開したらしい。
分かってたこととはいえ、仕事を優先されたことに腹が立つ。しかし、ふかふかの枕に布団に埋もれていると段々と眠くなってくる。彼の匂いも相まって、リラックス効果でもあるのだろうか。なんかどうでもよくなってきた。
このまま寝てしまおうか、としばらくうとうとと現実と夢の世界の狭間を漂っていると、こつこつと靴音がこちらに近づいてくる。
それはすぐ横まで来ると、頭にぬくもりが降ってくる。しばらくそれは頭を撫でた後、ぽんぽんと肩をたたいた。
「ウェンティ」
起きろ、と言うように声をかけてくるが、今はとても眠い。返事を返さないでいると、ゆさゆさとそれは今度は体を揺さぶってくる。
「…ウェンティ」
「んー……」
ねむい、と呟いて邪魔しないでと彼の手を振り払う。しかしその手は諦めずに引き続き体を揺さぶる。
「もー…なに?今寝たいんだけど……」
「仕事が終わった」
「そー…おつかれさま」
うとうとと返事をすると、焦れたように体をひっくり返された。
「……ちょっと」
ようやっと目を開けると、近くで石伯色の瞳と目が合う。
「ウェンティ」
その瞳はどうやら構ってくれ、と言っているようで。なにささっきは自分が言っても構ってくれなかったくせに、とそっぽを向こうとすると顎を捕まれ阻止される。
「……いまは眠いの!」
そんなの知らん、とかぷりと唇に噛みつかれる。
「んっ…ひょっと!」
勝手すぎないかこのじいさん、とじとっと睨みつけると面白そうに彼の目が細まる。
途中で詰まった