鍾ウェンくすくすと笑いながら彼は、額に、頬に、とキスを落としてくる。少し触れるだけのキスは、恋人へ贈るものというよりは家族へ、のような柔らかさだ。存外、彼はこういった触れ合いが好きのようだった。
そのような触れ合いも好ましいが、それよりも自分はもう少し愛情めいた触れ合いがしたい。暫く唇を落としてくる様子に好きにさせ、しばらく経って彼の後頭部に手を添えて引き寄せる。噛み付くように彼の口にキスをすると、一瞬驚いたように目を見開く。しかし異論はないようで、大人しく受け止める彼の口に舌をねじ込むと、遊ぶように舌を絡めてきた。
そうしてしばらく弄び、彼から離れると、はふはふと息を乱しながらもこちらをじっと見つめる。少し潤んだターコイズ色を乗せた瞳は、この先を促しているようでそれを見ていると心地が良い。
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