マカロン「ヤア、明智君。今日はね、君にとっておきの贈り物があるんだよ」
「オヤ、お菓子だね」
「そうだよ。マカロンという外国のお菓子で、とっても甘くておいしいんだよ」
「奇抜な色をしているねえ」
「フフフ…実はね、この桃色は毒の色なのさ。このお菓子はね、猛毒が入っているんだよ。食べてしまったら、大変なことになるんだよ」
「ホウ、どれどれ」
「アッ。明智君、食べちゃだめじゃないか」
「砂糖の甘い味がするね」
「なぜ食べたんだい。毒入りかもしれなかったんだよ」
「ハハハ…君はこんなことで僕の命を奪わないってことを、知っているからさ。それにね、外国には色を変える魔法の液体があって、君が手に入れることも、できそうだからね」
「アア、明智君。そんなに僕を信用しているのかい。僕は感動してしまったよ。フフ…嬉しいなア」
「親しき隣人に礼儀正しくするのは、当然のことさ。僕をとっちめたかったら、違う手段にしたまえ」
「そうとも限らないよ、明智君。君を試したかったのかもしれないよ」
「試してどうするんだい?」
「君の愛の深さを、甘いお菓子に例えてみたのさ、フフフ…僕たちは両想いというわけだね」
「ハハハ…二十面相君、君もなかなかやり手だねえ」
「このお菓子はぜんぶあげるから、君はたくさん僕の愛を食べたまえね。いくらでもあげるからね」
「ありがたく頂くよ、二十面相君。そうだ、小林君にもあげようかね」
「そ、それはチョット、困るよ、明智君」
「フフ…ヤキモチかい?」
「ウーン、参ったなア…」