ちょっと考えた不穏な風金 金田一は、依頼者から謝礼として西洋人形を貰います。貰い手がつかず、困っていましたが、だんだん情が湧いてきて、作った服を着せたりしています。
そういう日が一カ月ほど続き、風間は金田一から「見せたいものがある」と連絡を受けて、家に招かれます。すると西洋人形が、ひとりでにクルクル踊っているのです。
最初は「スゴイ、スゴイ」なんて言ってたんですが、風間は人形がだんだん不気味に思えてきます。いつまでもクルクル回って踊っているからです。
「なんだか変だぜ、これの動力は何なんだ?なんで動いてるんだ?」
「しらないよ、そんなの僕には」耕助は気にしていません。
すると耕助が「見て、似てるでしょう」と言って人形の真似をしてクルクル回ります。風間はどこかゾッとしました。人形が、自分の真似をさせて、耕助を踊らせて、操っているように見えるのです。人形の表情が、人間のようなのです。
風間は怖ろしくなって、動いている人形を止めようと掴みます。すると、耕助が飛んできて「アッ。止めて。酷いことしないで」と言って、風間の手から人形を奪い取ります。その力があまりにも強く、風間は茫然とするしかありません。
金田一は人形を撫でています。人形はニヤニヤ笑っているように見えます。風間は俺の考え過ぎなのかなと思い、ひとまず帰るのですが、数日後に行くと、人形が増えているのです。しかも、倍々に増えていくのです。
金田一の家が人形屋敷のようになっていくのを、風間は何もできず、ただ見ているしかありませんでした。あの人形が自分を見た瞬間、ギロリと睨んでいた気がしました。邪魔するんじゃない、というような、人間の欲深い目をしていた気がするのです。
あの部屋では何体の人形が踊っているのか。風間はそう考えると、心が沈むような、重い気持ちを抱えるしかありませんでした。