Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    風呂_huro

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 59

    風呂_huro

    ☆quiet follow

    風金

    充電させてよ「耕ちゃんの充電が切れたあ~」
     松月の座敷に転がり込むように入ってくると、風間は金田一の華奢な身体めがけて飛びついた。そして勢いよく腕を伸ばし、力いっぱいにギュウと抱きしめた。
    「風間、仕事お疲れさん」
     金田一は風間のされるがままにゆらゆら揺れながら、ねぎらいの言葉をかけた。
    「ああ。すっげえやったよ、俺は…充電させてくれよ…」
    「ウンウン、わかったから。ヨシヨシ」
     疲れきってクタクタの風間の頭を、金田一は幼子のようにナデナデと撫でる。
    「耕ちゃんがいるから、俺ぁやってけるんだよォ」 
     金田一の首筋にぐりぐりと顔を埋めながら、思う存分深呼吸をする風間。大企業のクールな社長さんも、これでは形無しである。
    「ウンウン。お前はよくやってると思うよぉ、風間」
    「耕ちゃん、これから空いてる…?」
     甘えるように言う風間の言葉に、金田一は一瞬ドキリとする。金田一に予定がない事などは、目に見えて明らかだからだ。
    「空いてる、といえば空いてるけども…」
    「ンじゃあさぁ、これから…飯でもいこうよ…」
     その「飯」が何を意味しているのか…金田一は目を閉じて、ウーンと考えた。当然、風間と飯と酌の交わし合いなのだが、そこから先がどうにも怪しい。飯を食べるだけで済めばいいが、なにか先に思惑があるような…だが、予定がないのも事実である。
    「ウーン…まあ、よござんす。お供しましょうかね」
    「なんでも喰え。天ぷらも寿司もビフテキも鰻でも何でもいいぞ」
     さすが大御所の社長、風間俊六である。事に金田一には贅沢をさせたいらしく、たぬき蕎麦ひとつで腹が一杯になった金田一に、高級な牛肉ステーキを勧めるくらいであった。
    「ちょ…ちょっと腹を満たせればいいから…」
    「イヤ、耕ちゃん、もっと食べなきゃダメだ。ホラ、こんなに細っこくて…」
     腰を撫でている風間の手つきが、何だかいやらしいような…。金田一は何となく察しながらも、ご褒美の意味も込めてされるがままになっていた。自分で癒されるならそれに越したことはない、風間は大変だナア…なんて、しみじみ思いながら。

     風間の充電が満杯になったのは、翌朝ホテルで目覚めてからであった。金田一はその間どうしていたか…結果は然もありなん、である。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works