『藍絲結び』あらすじ この本丸には二振りの山姥切国広と、同じく二振りの山姥切長義がいる。
本丸の最初の一振りである山姥切国広と元監査官の山姥切長義、二振りめの極めた山姥切国広と政府からの褒賞の山姥切長義。それぞれはそれぞれに紆余曲折あって伴侶の契りを結んだ番――平たく言えば夫婦であった。
一振り目同士が出会ったのは最初の聚楽第特命調査のときである。元監査官である長義は、監査官という特殊な個体ゆえに、当初から山姥切国広の存在を認識しており、実際に顔を合わせる以前から国広に複雑な感情を抱いていた。それが爆発したのは、山姥切長義として本丸に配属された直後だ。
この本丸が非常に優秀な術者である主を戴く優れた本丸であったことも不運に働いたのかもしれない。突然訪問した監査官に本能的に何かを感じ取って怯える国広の様子を察した審神者は、国広を聚楽第攻略のメンバーから外した。しかし本丸のはじまりの一振りであり審神者の近侍を務める国広が聚楽第に来なかったことを、長義は国広が自分から逃げたと思い、結果それが長義の怒りに火をつけることになった。
1992