Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    北椿さん

    公開垢であげられない文の投下用

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 21

    北椿さん

    ☆quiet follow

    専属牛のチカゲさんのために乳首ソムリエの試験を受けに行く飼育員咲也の話の導入

    MANKAI❤︎牧場〜資格試験編〜MANKAI♥牧場は新進気鋭の牧場だ。潰れかけていたところを先代のオーナーの娘さんが再建し、今では規模を広げて順調に経営を続けている。
    オレはそんなMANKAI♥牧場で牛の飼育員をしている。農業高校で勉強しただけの殆ど初心者に近いオレだけど、今では担当牛もつけてもらえるようになった。専属の牛がいることは牛とオーナーからの信頼の証なのだ。
    オレは、チカゲさんの専属になった。彼は最近新しくこの牧場に来た、クールで優秀な牛さんだ。入ってきたばかりの頃は色々あったけど、今ではオレを信頼してくれるのが伝わってくる。オレもチカゲさんが大好きだ。チカゲさんが美味しいミルクを出せるように頑張ろうと、日々仕事に励んでいる。
    「咲也くん、試験を受けてきてほしいんだ」
    ある日オーナーに呼び出されたオレは唐突に試験の受験を言い渡された。
    「試験、ですか?」
    「うん。咲也くんもチカゲさんの専属になって一人前になったからね。さらにスキルアップしてもらいたいんだ」
    「分かりました、頑張ります!それで、どの資格の試験なんですか?」
    「ああ、それはね――」


    オーナーの指示があって数か月、オレは資格試験会場にやってきた。一次試験の筆記科目は既に合格して、今から受けるのは二次試験だ。午前のこの試験に受かればそのまま午後の最終試験を受けることができる。
    オレが今回獲得を目指す資格、その名も『ちくびソムリエ』だ。
    一見ぎょっとする名前の資格だけど、人型の家畜を世話するオレたちのような牧場の飼育員には必要なものらしい。この資格を持つ飼育員に世話された牛のお乳は品質も良く味も最高レベルのものが多いのだと聞いた。乳首の様子はミルクの出に直結するからだ。違いを見極め、ケアし、その牛に合った飼育をする。一人前の飼育員は皆この資格を持っているのだ。オレが尊敬する同じ牧場の先輩たちも皆この資格を持っていた。
    この資格を持つ飼育員は牛との信頼関係も確固たるものになるらしく、オレとチカゲさんにもそれを目指してほしいのだとオーナーに言われたのだ。
    一緒に試験会場までやってきたチカゲさんは、複雑そうな顔でオレに寄り添っている。
    「咲也、大丈夫?」
    「はい! チカゲさんが試験対策にたくさんつき合ってくれたので、きっと大丈夫です!」
    試験対策という言葉に反応したのか、チカゲさんは頬を真っ赤に染めてオレから視線を逸らした。照れているんだろう。照れている時のチカゲさんは身体が良い具合に火照っているからお乳を搾ってあげたくなるのだが、今は我慢するしかない。
    オレ達はこの試験対策を経て飼育員と家畜の関係を飛び越えた。チカゲさんの為にも、オレは今日の試験に受からないといけない。
    不安そうなチカゲさんの腰を撫でる。尻尾がオレの手に絡みついて離れない。
    「心配しないでください、オレ、ちゃんと受かってきますから!」
    「でも試験の内容が……」
    「妬いてくれてるんですか?」
    オレの言葉が図星だったらしい。巻き付いていた尻尾の力が強まって、手首からぎりぎりと締め付けられる音がした。
    「いたたたた! ……もう、だめですよ。不安にならなくても、オレの大事なひとはチカゲさんだけです」
    むっとした表情のまま、不貞腐れた感情を隠しもしないチカゲさんの尻尾はやっとオレの腕を解放してくれた。手をプラプラとさせれば、手首に尻尾の跡が残ってしまった。ばつが悪そうに、だけど心配そうにオレを様子をちらちらと窺ってくるチカゲさんに、思わず笑みが漏れた。
    「じゃあ、行ってきますね!」
    他の付き添い牛たちと一緒の待合室にチカゲさんを置いて、オレは試験会場の向かった。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏🍼🍼🐰🐰💗💗😂😂😍🌋🌋🍼🍼🍼🍼🐰🍼❤🍼🐰🍼🐰
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    なかた

    DONE百合さくちか前提千景♀と至♀「千景さん! 千景さん!」

     事務所の扉を開けるなり、レース素材のロングスカートを翻して駆け寄ってきた茅ヶ崎は、何もないところでつまづいて床に転がった。普段ならこちらから挨拶したところでゲームに夢中で、ぼんやりした返事しかよこさない後輩の慌ただしい様子から、緊急事態だというのは伝わってくるけど。それにしたって、

    「変わらずどんくさいな、茅ヶ崎」

     小さくため息をつきながら腰を下ろして、手を差し出す。すると、顔を上げた茅ヶ崎はそれを無視して今にもメガネのレンズに触れそうな距離までスマホを突き出してきた。

    「先輩、これ見てください」
    「近すぎて見えない」

     華やかなネイルアートで彩られた指からスマホを取り上げ、画面に視線を落とす。それとほぼ、同時に茅ヶ崎が見出しを読み上げた。

    「佐久間咲也、お泊まり愛♡ですって。そのアイドルの子、先輩の推しですよね」

     下品な煽り文句に顔をしかめ、悪意にまみれた文章を斜め読みしながら、スワイプするとスキャンダルの証拠と思わしき写真が現れた。撮影された場所自体が暗く不鮮明だが、確かに男女と思わしき体格差の二人が降りてマンションのエントランスに 1085