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    なかた

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    なかた

    TIRED綴至/ゴミ捨て場で見知らぬ男を拾うリーマン出不精な至にとって部屋から一歩も出ずに買い物ができるネット通販は渡に船、日照りに雨といえるようなサービスだった。しかし、困ったことが一つだけある。頻繁に注文すれば、その分だけ梱包用の段ボールが溜まっていく。そしてそれらの存在は、物が多く散らかった部屋をさらに無秩序にするのだ。ピザソースがついた口を拭くのに使ったティシュや飲み終わったコーラのボトルのように簡単には捨てられない分、面倒だが流石にいつまでも見て見ぬ振りはできない。同じ大手通販サイトのロゴが入った段ボールを解体し、紐でまとめるとそれを脇に抱えて至はマンションのエレベーターに乗り込んだ。
     ゴミ出しの曜日は確認した。あとは手にした段ボールをゴミ捨て場に置き、部屋に戻ればいい。その頃にはケトルに入れた水も沸騰して熱いお湯になっているだろう。食べ慣れた味のカップ麺で腹ごしらえを済ませたらあとは好きなだけゲームができる。そんなことを考えながらエレベーターを降り、マンションを出たところで至は我が目を疑った。ゴミ捨て場に人が捨てられているのだ。思わず、意識的に瞬きしてみたがコンタクトに異常はなく、目に見える景色にも変化はなかった。相変わら 1510

    なかた

    MOURNINGオーガストとエイプリル君は嘘つきで隠しごとが上手だけど、僕の方がずるいから目の下に隈があることに気づいてからもう三日は見て見ぬふりを続けている。
    「オーガスト。俺の話聞いてたか?」
    「えーっと」
    「どこで誰が聞いてるかわからないんだ。任務に関することを何度も言わせないでくれ」
    「ごめんね。それよりエイプリル、何日もう眠れてないの?」
    大人になるにつれて君はかわいげがなくなっていったけど、ふいをつかれた時に見せる驚いた時の表情なんかはあの頃の面影がある。
    「今度の任務に支障はない」
    「そうかもしれないけど。そうだこれ、よく眠れる薬だから」
    「これ、ただの菓子だろ。それに甘いものは好きじゃない」
    「まあ、そうなんだけど。薬だって思ったら効くかもしれないよ」
    「俺はそんなに単純じゃない」
    「そうだろうね。だから夜になるとゴチャゴチャ余計なことを考えて眠れなくなるんだ。もっと楽しいことを考えようよ。例えば明日の朝ごはんとか」
    「明日はオーガストが食事当番だからこげた料理が出てくるんだろうな」
    「僕としては明日こそ成功させるつもりなんだけど……うん、こんな調子で楽しいことを考えよう。難しいことを考えるのは僕の役目だ」 652

    なかた

    DONE創作百合二本
    (鞄が大きい女と鞄が小さい女の百合)
    ♡ ♡ ♡

     ヤバイと思った時にはもう遅かった。とっさに手すりをつかもうと伸ばした手も宙をひとかきしただけだった。バランスを失った身体は意志とは関係なく真下へ落ちていく。

    「いてて」

     幸いだったのは足を滑らせた場所が階段の下の方だったことで、ドサドサと大きな音を立てた割には打ち付けたお尻が痛む程度の怪我で済んでいる。ん? 音?
    よく見ればさっきまで肩にかけていたはずのトートバッグがない。

    「ひかるちゃん! 大丈夫?」

     こちらの様子を気にかけながら愛先輩があちこちに散らばった財布、ポーチ、定期入れ、筆記用具、折り畳み傘、その他色々をかき集める様子を見て、先程聞いた音の正体がわかった。私の身体はなんでもないけれど代わりにバッグの中身が大惨事になっていた。

    「これで全部かな?」
    「すみません、ありがとうございます」

     先輩の華奢な指から受け取ったカバンはずっしりと重い。せっかくのデートだから、先輩に迷惑をかけないようにしっかり準備したはずが、余計に迷惑をかけている事実に情けない気持ちでいっぱいになった。

    「どうして、あんなところで転んだの?」
    「多分、寝不足です。今日が楽 1591

    なかた

    DONE百合さくちか前提千景♀と至♀「千景さん! 千景さん!」

     事務所の扉を開けるなり、レース素材のロングスカートを翻して駆け寄ってきた茅ヶ崎は、何もないところでつまづいて床に転がった。普段ならこちらから挨拶したところでゲームに夢中で、ぼんやりした返事しかよこさない後輩の慌ただしい様子から、緊急事態だというのは伝わってくるけど。それにしたって、

    「変わらずどんくさいな、茅ヶ崎」

     小さくため息をつきながら腰を下ろして、手を差し出す。すると、顔を上げた茅ヶ崎はそれを無視して今にもメガネのレンズに触れそうな距離までスマホを突き出してきた。

    「先輩、これ見てください」
    「近すぎて見えない」

     華やかなネイルアートで彩られた指からスマホを取り上げ、画面に視線を落とす。それとほぼ、同時に茅ヶ崎が見出しを読み上げた。

    「佐久間咲也、お泊まり愛♡ですって。そのアイドルの子、先輩の推しですよね」

     下品な煽り文句に顔をしかめ、悪意にまみれた文章を斜め読みしながら、スワイプするとスキャンダルの証拠と思わしき写真が現れた。撮影された場所自体が暗く不鮮明だが、確かに男女と思わしき体格差の二人が降りてマンションのエントランスに 1085

    なかた

    DONE天馬と万里
    イベントのミニトークでもブログでも仲良しエピソードが出て嬉しかった記念
    ちょっと目を離した隙に万里さんが消えた。
     いや、もっと詳しく言うなら、俺がトイレに行きたいと声をかけると万里さんはもう少しピアスを見たいと答えた。だから、そこで分かれて俺は用を足し、来た道を戻った。はずなのに、どういうわけか元の場所にたどり着くことはできなくなってしまったというわけだ。
     おかしい、俺が途中で道を間違えて迷ったなんてことはないはずだ。決して、それはない。かといってこのまま万里さんをほったらかしておくわけにもいかない。そこで、連絡を取るためにポケットからスマホを抜き出す。
     LIMEのトーク画面を開いて、通話のアイコンに指を伸ばす直前、妙に視線を感じて俺は辺りを見渡す。けれど、こちらを見つめる人の姿はない。人でないということはもしや……意識した途端、急に身体に悪寒が走る。嫌な予感を振り払うため移動しようと前に出した足はなぜか動かなかった。何かにひっぱられている。恐る恐るに視線をやるとヒーローのフィギュアを持った少年の姿があった。

    「もしかして、俺のファンか?」

     特撮作品に出て以降、子供のファンが増えた。もし、同世代やそれより上の世代のファンに声をかけられたのなら、 880