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    bach_otamama

    @bach_otamama
    普段はFGOヘクトール受メインに小説書いてます。アキヘク、タニヘク、マンヘク多め。こちらはメギド72ロキマネなどFGO以外の作品を上げていく予定です。

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    bach_otamama

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    ロキマネ+プロメテウスとカイム。
    タイトルのいろは歌は近代で仮名を覚える際にも使われたらしいので。時系列がおかしかったら申し訳ございません。罪人イベをクリアした後だと、マネージャーとロキはまだやり直せる可能性があるんだろうな、と思うのと最近プロメテウスの「感情が音色として聞こえる」特性が刺さります。

    いろは歌 字を教えてほしい。真顔で頼むロキへカイムは首をゆるやかに振った。
    「私からもお願いします!」
    プロメテウスも手を合わせる。しかしカイムは肩をそびやかした。
    「他に適任者がいるでしょう。フォラスかマルファス、フォカロルにでも頼みなさい」
    「すぐ覚えられた」
    「つまり、渡された教材が合わなかったと」
    「そうなの。さすがカイムさん!」
    感情を聞き取るプロメテウスがいては、何を言っても見抜かれるだろう。カイムは資料の資料を整理していた手を止めた。
    「ヴィータの字も読めずに来るとは。今までは……おっと、失敬。私としたことが」
    杖をくるりと回す。ロキがソロモンと契約に至った経緯はカイムも簡単に聞いている。商習慣どころかヴィータの字も読めず、契約などおぼつかなかったロキへ彼のマネージャーだったという男性が代わりに契約関連は引き受け、歌の歌詞は試奏代わりに歌って覚えさせたという。金のために嘘をついていたと聞いてはいるが、ロキのあまり相手を疑わない性格や人目を惹く美貌を考えるとむしろマネージャーのような相手にすぐ会えたのは僥倖としか言いようがない。
    (ああ。悪党になれなかった善人ですねえ、きっとその男)
    会ったこともない相手だが、なんとなく察した。少しばかり変わった男なのだろう。ややもすれば異端となりかねない。
    「それで?字を覚えてどうするのです?」
    「手紙を書かない。会いに行くから必要ない」
    「ふむ。会えない時に手紙ですか。不要な気もしますがねえ」
    「カイムさん!」
    眉を逆立てるプロメテウスには構わず、カイムがすっと手を伸ばした。手袋に包まれた指をロキの唇に触れる寸前で止める。
    「貴方には歌があるでしょう?道化は演じる、歌手は歌う。それでいいのです」
    「よくわからない」
    「分かっていただけて何よりです」
    踵を返すロキとカイムをプロメテウスがハラハラしながら交互に見る。
    「おい、プロメテウスも頼んでるのに」
    「なんです?ああ、お待ちなさい」
    カイムがさらさらと手近な紙に書きつけた。歌詞と楽譜が書かれている。
    「これを渡しておあげなさい」
    「これは?」
    「ヴィータの子どもの遊び歌ですよ。いろは歌と言って文字が一通り入っています。個の方が覚えやすいでしょう」
    「カイムさんありがとう!」
    「この程度のこと、礼には及びませんよ。それより我が君が字も読めない者を放置してると思われるわけにはいきませんのでね」
    「おい、そういう言い方はないだろ」
    「ああそうそう。手紙を書いたらまず見せてください。我が君への不満など書かれていては困りますから」
    「大丈夫だよ。でも、そうだね。字が間違ってないかロキも見てほしいかも。ありがとう!」
    にっこりと笑ったプロメテウスがロキを追いかける。
    「おい、待てよ!カイム、後でプロメテウスに謝れ……っていうか無視かよ!」
    「鳥の丸焼きを夕食にするよう提案しましょうか?」
    「遠慮します」
    青ざめたプロデューサーがプロデューサーを追いかけ始めた。それをチラリと見てからカイムは書類の整理に戻った。

     歌詞の紙を受け取ったロキがプロメテウスへ渡した。
    「読める。歌わなくていい」
    「分かった。ちょっと待ってね、あたしも知らない歌だから」
    「おい、いいのかプロメテウス?あんな風に言われて」
    プイプイと抗議するプロデューサーにプロメテウスは首を振った。
    「カイムさんから聞こえた音はね、とても優しかった。優しくて、悲しくて、あとね、何て言えばいいのかな。羨ましい?頑張れ?そう言っているように聞こえた」
    友をなくした青年の、ロキはまだやり直せるのだという思いをプロメテウスは確かに聞き取っていた。
    「手紙書けたら見てもらうぜ♪」
    歌うロキへプロメテウスは頷いた。

     後日、ナナシがたどたどしい字で“好き。愛してる。俺の歌をまた聞いてくれ”と書かれた手紙を受け取ることになったかどうかは、オリアスさえも見通せなかった。
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    bach_otamama

    DOODLE〆でも観○少女パロをついに書いてしまいました。プランツロキとマネージャーの出会い編。ナナシというのもなんですが、さすがにマネージャーという名前にするのは無理があったので……そこらへんももし続きを書けたら書きたいです。
    観用召魔 歌声が聞こえた気がして、ナナシは周囲を見渡した。しかし、辺りには声の主と思しき人影は見られない。気のせいかと思って歩き出すと、また声が聞こえた。
    「あっちの方か」
    振り切って歩こうとすると声が気になってしょうがない。歌は少し前に流行った歌で、ナナシも好きな歌だ。だが、好きな歌だからといって、声の主を探したくなるようなことは今までは一度もなかった。

     不思議と彼の心を揺さぶる歌声に引きつけられ、声をたどって歩き出す。気づけば、普段は通らぬ小路に入り込んでいた。
    「メギド72?変わった店名だな」
    瀟洒な建物の前には、店名を記した小さな看板があった。だが、重厚な紫檀のドアといい、漆喰を塗り重ねた壁といい、堅固な作りの建物はとても歌声が漏れ聞こえるようには思えない。以前には劇団を率いていたので、音響などには多少の知識がある。そして、近くにいたわけでもないナナシにも聞こえるような歌声ならすぐ近くに来たらさぞかし大きな声だろうと思うが、音量は先ほど聞いた時となんら変わらない。
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    bach_otamama

    DOODLEベルイム。大遅刻ハロウィンすみません。惨劇前の例えば、な一日です。
    東方イベで各地域や職務担当のハルマがいるみたいなことをお出しされたのと、異端審問官がハルマの作った組織なあたりからの捏造や想像を含みます。
    時系列は明記されていませんが、トルケーの惨劇を10年ほど前、カイムが母親と別れたのはハルファスと同じ14,5歳くらいと仮定しています。
    I'm a wizard 陽光を紡いだような美しく長い金の髪と蒼天の瞳、彫りの深い端正な面差し。冷たく冴えた冬の晴天のような美貌はいかにもハルマらしい。一方で、調和を良しとする彼らには珍しく、長い髪を奔放に背へ流し、白い服も大きく着崩している。
    「一週間後はハロウィンだ。クロウタドリ達も自由に歌っていいだろう?なに、担当者の許可は取っている。たまには楽しみたまえ」
    ミカエルと名乗ったハルマは審問官たちへ片目をつぶってみせた。
    「そういう問題でしょうか」
    「とかく君達は誤解されやすいからね。祭りに参加して市民たちと交流するのも大切だ」
    飄々とした男に反論できるものはいなかった。

     大地の恵みが見える者、人ならざるモノをその身に宿す者、理由などないが他者と交わって過ごすことに苦痛を見出す者。そうした者が時折、異端と断じられることがある。異端審問会は、そのような人々が虐げられる前に、あるいは他者を傷つけてしまう前に保護するためにハルマが作った機関だった。パクス・ハルモニア。追放メギドはもちろん、そうでない者も含め、調和や統一をヴィータへも求める彼らにとって異端者は時に和を乱し好ましからぬ事態が起こる。だからこそ保護し、遠ざけて彼らも残る者も暮らしやすいようにする。しかし、遠ざけるがゆえに誤解を招いた。異端審問は異端者への対応が集団生活で避けられぬストレスや心的不安と重なった際に、審問という名の他害へ名分を与えてしまった。事実、ボダン村など誤った異端審問の他害はずっと残り続け、異端審問会はひそかに恐れられている。彼らがクロウタドリと符丁を使うのも、異端審問への誤解からあらぬトラブルを避けるためでもあった。しかし、知らないことは誤解を生む。未知は恐れを生み出す。誤解を解くように、知ってもらうようにと仮装してハロウィンへ参加するというミカエルの提案を審問官たちは受け入れた。
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