カナと氷の女王〔ネタバレ〕#カナと氷の女王(氷室恵美の未来観)
妄想・願望・論理の飛躍に注意
彼岸花シリーズ(漫画・小冊子含む)・07thシアター・07thExpansion全作品設定資料集・07th大宴会サイン会のネタバレ及びキャラリプへの言及有
登場キャラ:人ならざる教師・めそめそさん・心霊写真機の関係者(メイン)と他の学校妖怪八席の一部(少しだけ)
■:超項目 〇:大項目 ★:中項目 *:小項目
■前提
■忘却ルート
■まとめ
■前提
*【妖怪は存在するわよ。】
*『人ならざる教師』の数年後に至る未来のカケラのひとつが『めそめそさん』であると仮定
*『人ならざる教師』終盤、手術後に氷室恵美と金森義仁が再会して以降の未来について推察
*今回はその未来のうち、氷室が校長先生の能力によって消される忘却ルートについての推察を短論説文として発表
■忘却ルート
〇概要
『人ならざる教師』の後、校長の能力によって氷室の存在が消し去られ、『めそめそさん』時点で生きている人間たち(金森を含む)がその記憶を思い出せなくなっている場合の未来
〇原作要素(本稿で引用した部分を要約して列挙)
*婚約以前にも“ずっと一緒に勉強する”約束を金森に迫る氷室
*『人ならざる教師』の金森は、魂の善側半分を失う前の時点で既に氷室にほぼ堕ちている
*氷室に会うまでの恋愛経験を“恋の真似事”とまで言い切っている
*氷室の唇を想起しては布団で悶える金森
*鏡のキョウとの契約により善の魂を奪われ失神し、目を覚ました直後の金森は「胸の中に握り拳一つ分の空洞が出来た」事を自覚
*面会中、病床の氷室の唇に惹かれ、喉を鳴らす金森
*キョウ曰く、魂が半分もあれば十分多くの妖力を生み出せ、容易に氷室の命を救える
*教頭からの釘刺し以降、氷室との逢瀬の場を社会科資料室に移す金森
*めそめそさんの噂を聞くまで、金森は森谷毬枝の口から洩れる以外の理由での事態の露見を不安視していない
*毬枝への殺人において、それが初犯であるような反応を示す金森
*氷室がこれまで周囲からどう評価され、それによりどう性格が変化したかに思いを馳せる金森
*毬枝の気弱な性格を盲信して凌辱と脅迫を続ける金森
*毬枝の性格を過小評価し、渦巻く復讐心に気付かず、踊る彼岸花と接触後の克己にも驚く金森
*キョウは自称“愚かな人間の鏡に映る邪悪を引き摺り出し、狩り殺すハンター”
*キョウ曰く、クラス全員を等しく愛する義務を忘れた“悪い教師”金森はもはや教師ではない
*一般的な教育方針の持つ“偽りの公平”(平等)に反発する金森
*金森の集中的な指導により、氷室の成績はクラスの平均に追いついた
*金森の嫌いな物は“マニュアル通りの仕事”と“冬休み”-(07th Expansion全作品設定資料集)
*毬枝が存在を消された後も生きている人間の間に残るめそめそさんの怪談
*沼田陽子が存在を消された後もカメラを持ち歩くようになった切っ掛け自体は覚えている野々宮武
*心霊写真機で撮った写真を見た上で、彼岸花に誘導された下駄箱の名前シールを見るまで毬枝の名を認識できなかった野々宮
*心霊写真を見せられるまで毬枝の名を認識できなかった森谷家の母親
*心霊写真ではなく、彼岸花から告げられた名前(と普通のカメラで撮った過去の写真)によって沼田の記憶を思い出す野々宮
*沼田の名を覚えている彼岸花
*心霊写真で思い出した後、再び毬枝の記憶を失い直させられた森谷母と沼田の記憶を継続的に思い出したままの野々宮
*厳重に封印されていた心霊写真機がニンゲンの手に渡っている事に驚く校長
*彼岸花曰く、校長に自ら狩りをする力はほぼないが、能力に基づく上納制度により、食い繋げる
*校長が能力を行使する理由は“行方不明等の悪評を人間が怖がり、マンモス校に近寄らなくなるのを防ぐ”為
*『めそめそさん』の教頭は金森vs毬枝の投票に参加してはいないものの、金森を保健室に誘導する役割を担っている
*『めそめそさん』には氷室の関係者である金森と教頭が登場するが、いずれも地の文含めて氷室の話題を出す事も匂わせるような記述も見られない
*犯行の為に深夜まで残業しようとする金森に教頭が心配あるいは咎めるような描写が存在
*死体遺棄、霊として泣く毬枝、めそめそ争奪戦決着時等、『めそめそさん』では夜の虫の声に関する描写が頻発
*思い出せないが、毬枝は同じクラスとして春夏秋冬を共にしてる筈だと語る野々宮
*金森の年齢は自称三十路直前-(旧校舎の学級会)
*金森曰く、人殺しの禁止を高校でも大学でも習わなかった
*決着時、毬枝は呪い殺した金森にキスをする-(漫画版)
*校長室に飾られた歴代校長の写真
*毬枝「いじめっ子から庇ってくれてた一番最初、…好きでした」
*凌辱の始まりは毬枝の弱みを内緒にする引き換えに、という取引だった
*凌辱されていた当時の毬枝はいじめられていなかったが、それも自分よりいじめられているクラスメートの存在によるものであり、その前までは長くずっといじめられていた
*出世を見据える金森が社会的なリスクを負ってまで毬枝への凌辱に拘るようになった理由について、社会への怒りやコンプレックスが挙げられているが、性癖の根本的な原因や犯罪に拘る理由は本編中で語られない
*金森は胸の奥に野獣を飼っており、毬枝をそのはけ口にしていた-(第一夜資料室)
*金森は毬枝“以外”には最後まで善良な教師だった
*金森は少女“たち”に悪辣な犯罪行為(解説すると18禁ゲームになる)を繰り返してきた-(07th Expansion全作品設定資料集)
*金森曰く、もし紅茶紳士としての立場を得たら契約相手はP学生幼女限定にしたい-(旧校舎の学級会)
*金森は小さな女の子にしか反応しない-(07thシアター)
*ローズ・灰原の推理によれば、金森は大人の女を怖がっており、その所為でねじくれた性癖を持っている
*金森曰く、自分をこんな性癖にした歪んだ社会が悪い-(旧校舎の学級会)
*金森は毎朝出勤の満員電車で、社内のOLは皆自分にメロメロ、と夢想している
*「ローズがいれば自分が死なずに済んだかも」と語る毬枝と「それは困る」と語る彼岸花-(07thシアター)
*報われない社会への自分勝手な怒りに心を満たし、それを毬枝への凌辱の免罪符とする金森
*毬枝への犯行動機として“8歳でいじめを受け、その永遠の傷を束の間塞ぎ、自身が被害者側の立場から脱出できたと確認する為に他者をいじめる必要がある、その権利がある”と語る金森-(旧校舎の学級会)
*金森曰く、夢でも見なきゃ生きていけない
*脳内に留める夢として“自分にメロメロの毬枝から「先生の赤ちゃんが欲しい」と囁かれる”例を挙げる金森
*“絞首の最中に美少女妖怪とかが現れて自分を諭す”事が起きなかった過去を嘆く金森
*自称昔からずっと幸運じゃない金森
*“タイムマシンを作り、毬枝を殺す前の時間にロリ眼鏡P学生を送り自分を説得する”事を頼む金森
*金森「教室は私のマイハーレム」-(2013.09.03-公式Twitterキャラリプ)
*学校妖怪にとって金森は商売敵のような存在-(07th大宴会サイン会)
〇推察
*毬枝や沼田のような、校長に存在を消された人間の記憶を失うのは生きている人間(例:野々宮、森谷母)だけであり、人ならざる者(例:彼岸花のような妖怪、亡者や妖怪となった沼田や毬枝自身)は消された人間の記憶を保持できる
⇒校長の能力で氷室の存在を消した場合、『めそめそさん』時点で少なくとも教頭及びキョウ(と校長?)は氷室の記憶を失っておらず、金森は忘れていると思われる。
★毬枝以外、即ち氷室に対しても、金森は最後まで善良な教師だった。若しくは氷室に対する金森の立ち位置は教師ではなかったと考えられる。
*悪辣な18禁犯罪の被害者の少女“たち”の候補は、毬枝以外だと氷室くらいしか作中に登場しない。
⇒合意とは言え未成年らしき氷室とのキスの時点で犯罪にカウントされる気も…
⇒氷室に対する金森は18禁犯罪の加害者かつ善良な教師だった。又は金森は犯罪の加害者でありながらその関係性は教師と生徒のそれから外れていた。という推測が成り立つ。
⇒犯罪者かつ善良、な教師像というのは色々と難しい解釈が必要となる。
⇒毬枝への所業をボロクソに語りがちにも関わらず氷室への犯罪を見過ごして“善良”と言い切るのも考え難い?
⇒⇒金森は氷室とのキスで犯罪者となった時点で職は教師だった。が、その直前の婚約の時点で被害者との関係は教師と生徒の立場ではなく、婚約関係となっていた…と考える。
★キョウの力によって一命を取り留めた直後に氷室が死ぬ事は考え辛い、とした場合、氷室の卒業まで金森との関係は継続したのだろうか?
*『めそめそさん』の夜の虫の声は初夏、野々宮の“春夏秋冬を共にしてる筈のクラスメート”は季節が冬である事を暗示していると解釈
⇒金森の自称三十路直前の年齢が死亡時の物と仮定すると『めそめそさん』で満29歳(30歳になる年の誕生日、8月2日以前に死亡とする)、大卒の為『人ならざる教師』で24歳(氷室への浅くない見識から誕生日以降と仮定)すれば、最大で6つ年度を跨いでいる可能性がある。
⇒卒業後に元担任教師とOGという関係となれば、教師と生徒という枠からは外れたと見て良さそう。
⇒⇒『めそめそさん』に至る経過年数によっては本当に結婚している可能性すらある。(『人ならざる教師』時点で氷室が小4かつ誕生日によっては、6年後の満16歳で結婚可能。)教頭が遅くまで残る事を心配してるし。忘れてるけど。(この場合、氷室の抹消は『めそめそさん』の年に起きた事になる。)
★氷室と出会って金森が初めて“本当の恋”を知ったとして、大人の女性を怖がる理由にはならない
*毎朝OLから好意的な視線を受ける妄想は行っている為、“積極的な”大人の女性への恐怖とすべきかも。
⇒その後の氷室との生活によって押しの強い大人の女性への恐怖を味わった?
⇒最大でも金森死亡の年にギリギリ結婚できる満16歳の氷室が大人の女性と呼べるのか…?
⇒⇒成長して大人?になった氷室への恐怖なのか、重い女氷室が金森の独占を図る為、何らかの手段(これも18禁になりそうですね)によって、攻め気質の大人の女性を怖がり小さい女の子にしか反応しない“ねじくれた”性癖に調教してしまったのかは解釈が分かれる所だろう。
★毬枝が消された後のめそめそさんの噂や沼田を忘れた野々宮がカメラを持ち歩く動機を覚えていたように、氷室が消された場合も、その痕跡が全て失われるとは限らない
*本編中で金森が社会的リスクを伴う小さな女の子への犯罪に常習的に依存する中で、そんな性癖(しかもP学生限定?)になってしまった根本的な原因や犯罪以外の代替手段を取らない理由について語らないのは、それらを忘れているから
*生死の概念を超えた学級会において、金森が自身の性癖の根本的原因が社会にあると語るのも、忘れたままだから?
⇒金森は氷室の記憶も、自身が小さな女の子にしか反応しない原因に関する自覚は失ったが、氷室との交流を通じて失ってしまった善の魂や、氷室によってねじくれた性癖は元に戻らなかった。
*氷室の時は放課後の逢瀬の発覚を警戒して場所を移す金森が、毬枝の時はその経験を活かさず、本人の口を脅しで塞ぐだけで慢心しているのも、記憶喪失の証左
*残された性癖と悪の魂、“胸の中の空洞”によって別人となった金森が毬枝を標的にし始めた後の話が『めそめそさん』という事になる?
〇更なる疑問(と加速する妄想)
★キョウとの契約で胸に空いた空洞は、氷室との交流で一時的に埋まっていたのだろうか?
*契約後のシーンはほぼエピローグであり胸の空洞への言及はないが、氷室の唇に魅了されるような意味深な描写が存在する。
*契約前も氷室の唇を思い出して布団の中でゴロゴロしていたのであんまり変わってない。
⇒胸の空洞を棲み処として“胸の奥の野獣”が生まれた?
⇒その獣性によって、元々金森の中にあったコンプレックスや8歳の頃に受けたいじめの傷が呼び起こされた?
*契約前は色々葛藤していたのが契約後は氷室への見舞の為に欠勤(連絡できてえらい)しているので、善なるブレーキが失われたという解釈も。
⇒『人ならざる教師』後、善の魂の喪失と胸の空洞に生まれた獣性によって、いじめる権利とコンプレックスを糧に“少女たちへの悪辣な犯罪”に手を染めるようになったという事だろうか?
*後に金森自身が忘れる為、氷室に対しても“いじめ”型犯罪を犯したかは不明だが、魅了はされても氷室を“見下す”伏線は本編には見当たらない。
⇒毬枝の時と比べ、氷室の時は(犯罪ではあるが)双方合意という点に於いてのみなら割合穏やかな関係と言え、教育成果による氷室の成長や自身への好意も金森の徒労感やコンプレックスを慰められる側面がある為、苛烈な嗜好に走る動機は薄れる可能性もある。
*かつての契約前の滅私奉公な性格は契約と氷室の消失により、自分勝手な性格へと反転した…と考える。
★金森との契約、もとい狩りを行ったキョウの動機は?
*キョウが金森に“悪い教師”の烙印を押した理由は、担任クラス全員への平等な愛を忘れたが為
*キョウは“悪い教師”金森の善の魂を奪ったが、殺しはしなかった
⇒キョウの語る“邪悪を引き摺り出し、狩り殺す”とは“邪悪な部分のみを狩る”という意味?
⇒一見“善”の魂と矛盾するように思えるが、キョウにとっての“邪悪”の基準は必ずしも“悪の魂”と一致しない?
⇒金森にとっての善は“公平”、悪は“平等”であったので、魂の特性もそれに準じた?
*結果的に金森は“毬枝以外には善良”な教師となった
⇒⇒キョウの目的は、金森をして本人の反発する“平等な教師”(即ち偽りの公平に徹する教師)に作り変える事だった?
⇒⇒入院時の成績は既にクラスの平均に追いついていた氷室は、金森が他と平等な指導しかしなくなっても平気だったのだろうか?
⇒⇒個別指導が行われなくなった(ずっと共に勉強する約束の破棄)ならば、氷室がもうひとつの約束である幼い頃の“婚約”や、入籍という重い行動を伴う“証”に固執する強い動機になり得る。
*“マニュアル通りの仕事”が嫌いな金森は、“真の公平”に対する誇りをまだ失っていない、とも取れる?
★校長に消された人間に関する因果で、忘れられずに残る事象の条件は?
*親子のような強い情があっても記憶がほとんど失われる事は、森谷母が証明済み
*本編では、主として毬枝の死後のめそめそさんの噂(被害者が教師一人だという情報を含む)、沼田の死後の野々宮のカメラの習慣
⇒前者は本人の個人情報との繋がりが希薄であるが、後者は持ち歩く動機に直結する存在
⇒周囲の多数の人間に強く認知されている事象だけは残る?
*毬枝はクラス中からいじめられっ子として認知されていた
⇒消された人間の残した因果のうち、多数の人間に認知されており、かつ関係者のパーソナリティに強く影響を及ぼしたものだけは残る?
⇒⇒被害者の教師には“めそめそさんの被害者”、野々宮には“カメラマン”という認知度の高いパーソナリティがそれぞれ残った。
★氷室が消されても残り得る因果はどんなものか?
*契約前から氷室にほぼ堕ちている時点で、性癖に関しては元々素養がある?
⇒P学生に惹かれる素養は元来のもので、氷室と毬枝とで二度性癖がねじくれた、もとい二度恋を知った?
⇒⇒ただし、二度目は悪の魂と空洞の獣性によりそのアプローチは大きく変化した。
*妖怪は校長に消された人間の記憶を失わない為、能力の影響を受けない可能性が高い。
⇒既にキョウにより妖力に変換され、一部が氷室の回復に使われたと思われる。
⇒⇒契約により失われた善の魂が戻る可能性は低い?
*森谷母の例から、金森に氷室に対する強い情や思い出があっても、ほとんど記憶に残らない可能性が高い
⇒前項より、氷室が誰かのパーソナリティに強い影響を与え、かつそれが多数の人間に認知されていれば残る可能性がある。
⇒女児への凌辱はともかく、“積極的な大人の女性への恐怖”はコンプレックスとの因果関係が判然としない?
⇒ロリコンは元来のものとしても、契約後のコンプレックス肥大だけでは積極的な大人の女性への恐怖には説明がつかない!
⇒⇒金森の性癖のうち、“積極的な大人の女性への恐怖”だけは氷室の影響によるものであり、それが“金森のパーソナリティ”として多数の人間に認知されていた可能性が比較的高い。
⇒⇒⇒氷室が校長の能力で消されても、“魂の善側半分”の喪失は戻らず、それに伴って生まれる“胸の中の空洞”に“飼っている野獣”(コンプレックス肥大・自制心喪失)及び金森の(作中で生きている多数の人間達の間でも有名な)パーソナリティ“積極的な大人の女性への恐怖”は残る。
*そして逆に、それまで氷室が体現してきた、多くの時間を割いて積み上げてきた教師としての努力と献身が報われた、という成功体験と自信も記憶から消える。
⇒氷室の消失の直後に教師人生最大の成果と自信とを奪われ、金森は急速に“報われない”社会に対して怒りと徒労感を蓄積させるようになっていく。
★金森の氷室と毬枝に対する観察のスタンスは明確に異なる?
*氷室に対してはこれまでの人生への分析(主に人格形成の過程)と同情、今後の人生をより幸せに導く指導の実践等
*毬枝に対しては性格の評価と油断、突然の克己への動揺と事態打開への解決策の提案等
⇒毬枝への凌辱に伴う侮蔑的思想はともかく、上記はコンプレックスだけで説明するのが難しい。
*コンプ肥大の所為で献身的に指導する精神的余裕は失われたとしても、毬枝に対する慢心や旧校舎トイレ以外の候補地を予め探しておかない迂闊さは特筆に値する。
⇒逆に氷室と毬枝の両方に対して現状の打開策を考え、提案出来た点は共通したスタンスと言える。
⇒⇒コンプレックス肥大というよりはそれによる精神的余裕の喪失の影響で、毬枝への観察の浅さや備えの甘さを引き起こしたとすべきか。
*あるいはそれすら氷室の残した“金森のパーソナリティ”で、周囲から認知もされていたのか?
★校長が氷室の存在を消す理由は?
⇒これが一番解釈難しい。
⇒既にキョウが金森の魂の半分を狩っているので、その一部を上納させて金森を消す方が楽な筈なのに、金森の方が生きている。
*“商売敵”という認識がキョウや校長にも当てはまるなら尚更金森を消すメリットの方が大きい筈
*校長の食い扶持は上納分だけで十分、かつ狩りをする力もないと称されており、積極的に狩る可能性は低い
*氷室が16歳でとっくに卒業済みならマンモス校の評判と関係が薄く、尚更選ばれにくい。
⇒手間や感情や特性や目的の面で、キョウと校長の両方にとって、消す対象に選び易いのは氷室ではなく金森の方
⇒⇒だが、氷室が死んだ場合、かつマンモス校から人が離れる要因となり得るなら、否応なしに氷室の方が消す対象に選ばれると考えられる。
*もしくは氷室が生死に関わらず妖怪化したなら、毬枝と似た経緯で消す事になるかも?
⇒教師陣の妖怪は生きたまま妖怪化した可能性
⇒漫画版の歴代校長の写真は生前もマンモス校の校長だった可能性の示唆?
★氷室が死んだ経緯は?
*毬枝は凌辱が始まる以前、いじめから庇ってくれる金森に好意を寄せていた
⇒庇う動機が毬枝の信用稼ぎ等の不純なものであったかは不明だが、もし真っ当な教師としての行動であったと仮定するなら、氷室が消されたのが『めそめそさん』と同じ年である可能性と整合する。
*金森の殺人は毬枝が初犯であるような反応だが、記憶が失われているなら必ずしもそれが真実とは限らない?
⇒後に全て忘れるだけで、何らかの経緯を辿り、氷室に対しても殺人が行われたか、あるいは事故が起きた可能性は否定できない。
*金森が元教え子の妻を殺害したと仮定すれば、マンモス校に勤務する教師の悪評となり、氷室を消す動機となり得る?
*氷室の死を切っ掛けに金森との関係が広く露見したと仮定すれば、それはマンモス校の悪評となり、氷室を消す動機となり得る?
⇒⇒ほぼ無限の可能性
★氷室の死に妖怪が関わっているとすれば、下手人は校長と(生かさず殺さずの狩りを好む)教頭以外の可能性が高い。
*いじめられながら金森に庇われていた毬枝に彼岸花が目をつけ、*年8組の混乱を企図した?
*“ずっと一緒に勉強する約束”を反故にされた復讐心から氷室がアザミを口にし、その力で強引に籍を入れた?
*自らが狩った獲物である金森が、契約後に善良な教師として比較的平穏に過ごす姿に退屈や嫌悪感を感じた等、キョウが氷室に干渉する動機が出来た?
*放課後や休日に金森の様子を見にマンモス校を訪れたOG氷室が、運悪く十三階段を踏んだりルノワールから筆を借りたりスミレと一緒に校庭で遊んだりした?
*ハメルンのような野良妖怪あるいは悪霊による霊障の標的として、不運にも氷室が選ばれた?
⇒やっぱり無限の可能性
*『めそめそさん』において、金森の保健室への誘導という彼岸花のサポートのような形で教頭が参加しているにも関わらず、金森が毬枝に罰される段になってさえ、余罪として“繰り返された悪辣な犯罪行為”に含まれるであろう氷室への犯罪加害が引き合いに出されないのは何故か?
⇒結局は犯罪だが、氷室とは合意があった為、断罪の場には少し適さなかった?
⇒そもそも当事者の毬枝にも、管轄している彼岸花にも氷室の件は関係がないから?
⇒⇒氷室が死ぬ原因に彼岸花が関わっている可能性は落ちる?
★漫画版『めそめそさん』における金森のテスト用紙の携帯と毬枝のキスは『人ならざる教師』との対比?
*“公平”な契約前は氷室専用のプリント、“平等”な契約後はクラス全員分のテスト用紙での対比
⇒プリントとテストは契約前後の教師としてのスタンスの変化を示す?
*契約前は生前の金森から生前の氷室に対して、契約後は死後の毬枝から死後の金森に対してのキス
⇒“善”なる誠心への報酬と“悪”に疲れた末の凌辱への死罰との対比か。
⇒キスは金森自身の生死の反転と、氷室の生死と消失による性格の反転を示す?
★金森に氷室の記憶を思い出させるには?
*第1案は心霊写真機。
⇒『心霊写真機』以前に、校長に対して秘密裏に彼岸花が封印を解いておき、予め1枚撮って新聞部の部室に戻しておけばOK。
*沼田の生前に強い復讐心があった野々宮は彼岸花が告げた名前のみで思い出し、毬枝の死後に強い後悔に囚われた森谷母は心霊写真機による写真を見ずには思い出せなかった
⇒生前から強い情があれば心霊写真機なしでも思い出せる可能性があり、特にネガティブな感情で結ばれていればその可能性はより高い?
⇒⇒周囲に認知されるレベルで“積極的な大人の女性への恐怖”を植え付け、他にもネガティブなパーソナリティを定着させた可能性のある16歳の元妻“氷室恵美”の名前は、金森をして絶叫しながらトラウマを想起させしめる十分なインパクトがある…筈。
⇒⇒結婚してたなら“金森恵美”か?
*かつて“公平な教育”の理想に邁進した金森は、コンプレックスに苛まれながらも出世を夢見ながら死に、死後には“夢でも見なきゃ生きていけない”とまで言い切り、毬枝や毎朝のOLから好意を向けられたり、殺人前に戻ってロリ眼鏡P学生美少女妖怪に説得して貰う夢を語る。教室は自身のハーレムだなどと公言する。
⇒金森は一貫して夢を捨てておらず、本編中に於いてはいつも一人のP学生に依存している。
*金森は昔からずっと不運だったらしい
⇒黄金郷のような07thシアターや学級会においても金森に何かと絡まれる毬枝を解放する為にも、彼岸花さんを始めとした、記憶を残している“人ならざる者”(妖怪や霊や…人ならざるプレイヤー?)の口から“氷室恵美”の名を伝え、不運続きの金森に“失われた記憶”を取り戻させてあげたい。夢でも見なきゃ生きていけない、と語ったのは金森先生ぇ自身なのだから。
■まとめ(忘却ルート)
*金森義仁には、夢がある。
*キョウは“教師失格”の金森をして(クラス全員を等しく愛する)“人ならざる教師”にする為に契約という名の狩りを実行した。
*契約後、それまでと逆に“偽りの公平”に徹するようになった金森は氷室との逢瀬を辞め、“毬枝以外に対して善良な教師”であり続けた。
*教師としては善良でも、合意があるのをいい事に、未成年の婚約者への犯罪はその後も続いた。
*“ずっと一緒に勉強”する約束を反故にされた氷室は、“婚約”だけは破棄させまいと固執したり暗躍したり篭絡したりする。
*(祝)『めそめそさん』の年の1学期中に、満16歳の氷室と満29歳の金森は結婚した。
*そしてその年に金森恵美は死んだ。もういない。
*校長に消された後も、恵美は義仁の“積極的な大人の女性への恐怖”という(誰もが知る)パーソナリティを遺した。
*恵美とその記憶を失い、報われない社会への怒りとコンプレックスに苛まれるようになった義仁は“胸の中の空洞”を埋めようとするかの如く、今度は婚約者ですらない毬枝に手を出しはじめ、悪辣な犯罪行為を繰り返すようになる。
*恵美の記憶を残している“人ならざる者”の口から“氷室恵美”の名を伝え、義仁に記憶と誇りを取り戻させたい。
*夢でも見なきゃ推していけない。