〔ネタバレ〕LS完結時における本国バトラー家の状況についての推察〔ローズガンズデイズ〕ローズガンズデイズの物語終了時点におけるアメリカ本国のバトラー家の状況、特にアンジェの安否について推察した事をまとめた文です
ローガンLS(ラストシーズン)・ローステLSともにネタバレ有
主観的な判断・解釈を多分に含みます
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■大体こんな感じ
*1950年10月22日、部下から取り次がれた電話でフィルは妹の死を確信
*バトラー救出作戦で事情を知った金龍会がフィルを裏切らせる為に工作
*妹を消す案と妹の死を偽装する案の適否を比べ、金龍会に有利な偽装案を採用
*結果的に、自ら直接手を下す事無くガブリエルとリチャードが排除され、更に弱みと恩を握られたフィルが生存するという、金龍会にとって最上に近い結末を迎えた
〔目次〕
■前提
■アンジェ死亡説
■アンジェ生存説
■まとめ
■前提
*バトラー救出作戦の失敗以降、フィルへの待遇は改善され、手紙の受け取りだけでなくそれまで許されなかった本国家族からの電話を取る事が許されるようになった
*1950年10月22日、部下から取り次がれた電話でフィルは妹の死を確信
■アンジェ死亡説
〇概要
恐らくメジャーであろう説? 自分は初見の時、素直に読んでいてこちらの解釈を採った。
〇肯定情報
*梅九「外より開かぬ扉も、内よりは容易く開く」という発言(バトラー救出作戦失敗直後)
*「よくもアンジェを」からの、フィルを他二人と同列に扱うかのような地の文
〇否定情報
*部下に対する梅九の指示がその場で(短く?)なされた事、それ以降本件に対する金龍会の行動が一切描写されない事(バトラー救出作戦失敗直後)
*「堅気は巻き込まないのが暗黒街の不文律」「仁義を通すか否か、暗黒街でも前者には敬意が払われ後者は認めてもらえない」といった作中に頻発する記述
〇推察
*扉を内より開く、という匂わせは裏切りや北風と太陽的な策を想像させる。GHQを通じて米高官にアンジェの暗殺を唆したか?
△米高官はガブリエルが死んだ際の汚職の漏洩を恐れて実行出来なさそう? また、ガブリエル始末後のフィルの動きも読めず、下手をするとフィルの持つ爆弾をも刺激するような事態になりかねずやはりリスクが大きい?
*金龍会自ら手を下す場合
△露見すると国際問題となりかねず、相応の準備が必要となり、救出作戦の時期的に時間が足りず困難と思われる。また、事が事だけに子龍の事前許可は必須であろうし、部下への短い指示で済むとも考え難い。更に、時間がない以上完全な隠蔽は困難と考えられる上、復讐相手として不適当な為、著しく仁義を欠く行動として暗黒街全体の信頼を失うリスクも大きい
*ガブリエルにアンジェ暗殺を隠し、かつフィルには伝えるという高度な策が求められる(ガブリエルに発覚すると恐らくフィルが再び厳重に監禁される為)
△短い準備期間の中で米本国を舞台に、情報戦に秀でるガブリエルを出し抜くのは困難と思われる。また、アンジェに付いているであろうガブリエルの監視の目を突き止めて潰しかつそれをガブリエルが知るまでの間にフィルがガブリエルの手を離れ自由になる必要がある等、制約は多い
△救出作戦失敗以降のフィルへの待遇改善によりフィルへの伝達の難度は下がったが、これは作為でなくガブリエルの気紛れによる所が大、と思われる
◎米高官が参謀第二部や米本国の特殊部隊の力を急いで集めれば可能なのだろうか…?
*ガブリエル射殺直後の描写はフィルに希望が残っているように見えない
◎アンジェが亡くなったと考えた方が自然にも思える
〇アンジェ死亡説まとめ
演出上自然な部分も認められるが、障壁は多く高い感は否めず、しかもリスクが大きいように思われる。
■アンジェ生存説
〇概要
死亡説の反対。ローステLS(DVD)では、子龍と梅九の会話の形で、アンジェの死が金龍会による偽装である事を匂わせるシーンが挿入されている。
〇肯定情報
*フィルの軟禁について金龍会側が認識している事(バトラー救出作戦開始直前)
*ガブリエルの生い立ちについて、大正義作戦の動機を推測できるほどの情報を金龍会が調べ上げた事(LSチャプター2冒頭)
*部下に対する梅九の指示がその場で(短く?)なされた事、それ以降本件に対する金龍会の行動が一切描写されない事(バトラー救出作戦失敗直後)
*梅九「外より開かぬ扉も、内よりは容易く開く」という発言(バトラー救出作戦失敗直後)
*「堅気は巻き込まないのが暗黒街の不文律」「仁義を通すか否か、暗黒街でも前者には敬意が払われ後者は認めてもらえない」といった作中に頻発する記述
〇否定情報
*「よくもアンジェを」からの、フィルを他二人と同列に扱うかのような地の文
〇推察
*フィルの軟禁と、恐らく連絡の遮断についても金龍会が知っていると考えると、アンジェを殺したとして、それがフィルに伝わるまでアンジェの死をガブリエルから隠す必要がある。米本国を舞台に秘密裏に暗殺を実行した上でそれをガブリエルの監視からいつになるかもわからないフィルへの伝達完了まで隠し切るのは極めて困難と想像される。
◎偽装ならガブリエルの監視を誤魔化す必要すらなくなる。
*必要となるのは米本国のバトラー家、特にフィルの母親への協力依頼。ガブリエル関連の情報収集は金龍会も実行出来ているので、GHQ中国軍を経由する等して連絡自体は可能と思われる。
△中国とアメリカが反目し合っている中での協力依頼が可能か?
◎一年間、フィルへの一方的な連絡しか許されていない状況はバトラー家も認識している筈なので、そこをネタに米軍と比較させて信用を高めれば可能か? 結果的に恐らくバトラー救出作戦失敗を機にフィルへの電話は成功しているが、これなら例えそれまで通り手紙しか許されなかったとしてもフィルにのみアンジェの死(嘘)を伝えられる。恐らく翌日(1950年10月23日)の朝に届くようにアンジェの死を伝える手紙も仕込まれているのではないか?
*偽装の場合、「内より容易く開く扉」はバトラー家を暗示している?
◎いずれにせよ直接は人死にを出す必要もなくなり、計画の大部分を部下任せにも出来そうに思える。そして、より重要なガブリエルの始末の方に梅九が集中できる。
*バトラーがガブリエルの始末にしくじった時に備え、金龍会は刺客を待機させたりもしていた?
△基本的に中国人が手を出せないからこそ、バトラー救出作戦もアラン一人に押し付けられるような形が採られた。
◎リチャードの突撃を考えると侵入・暗殺自体は恐らく可能
?問題は隠蔽の方だが、汚職に関わった高官や参謀第二部、しがらみの少ないプリマとの調整によっては可能か…?
*結果的にフィルは生存し、金龍会とプリマヴェーラの同胞殺しに関わったガブリエルとリチャードの始末は完了した。
◎フィルに対してはアンジェをガブリエルから解放した恩を売りつつ逆に脅す事も可能となり、フィルの立場が変わらない限りその後の23番市での立ち回りは非常に金龍会に有利な物となる。
◎一般人を巻き込むような仁義を曲げた行動を取る事無く、かつ同胞の仇に対するケジメも完璧につけさせる事で、金龍会の暗黒街での面子も立つ形で一件が収まった。
*ガブリエル射殺直後の描写はフィルに希望が残っているように見えない
△演出上、アンジェが死んでいた方が自然に思える
◎この時点ではアンジェの死を信じている為当然の描写
?逆にこの辺りでフィルに希望を示してしまうと、モーリス、アラン、サイラス、ローズ、リチャード、ガブリエルと、この日を終えるに当たって作り上げてきた悲壮な空気感が濁ってしまう。と半ば強引に考える。
〇アンジェ生存説まとめ
金龍会の利害関係を整理したり、時間的な問題を重視すると自然に思える。ただ、バトラーがしくじった際の対策や演出上の不自然さ等の疑問は潰しきれない。
■まとめ
結果的に2012年時点の23番市はチャイナタウン化しており、もしアンジェが生存していたからこそ中国側に有利な未来になったとしたら面白いなぁと思いました。