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    satokoxtono

    おれが本能のまま考えたさいきょーの推しかぷ。
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    最新話あたりのネタバレあります。小さいモモが恋しくなるオカルン

    モモの小人化がようやく解けた、それは本当に嬉しいし安心した。が、肩によじ登ったり掌に乗るモモが恋しいなんて思ってしまう。
    なんてことを考えるんだと自己嫌悪に陥るオカルン。そんな時ふとクラスの女子たちの会話を思い出した。
    「見て!好きぴのアクスタ買っちゃった」
    「この前も買ってなかった?」
    「あれは2023年のLIVE限定ver.でこれはFA会員限定だから!」
    「よくやるね〜」
    「推し活がアタシの生きる理由なんで」
    推し活、それは自分が好きな人やキャラクターを応援することを言う。アイドルのファンである女子がアイドルの姿がプリントされただけのアクリル板を持つことが許されるのならば、大好きな相手の偶像持つことだって許されたい。
    思い立ったらすぐ実行、オカルンはまずシャコが住み込みで働く酪農場へと足を運んだ。
    「シャコさん!」
    「おやオカルンさん、どうしたでいスか?」
    「あの…ナノスキンってまだありますか?」
    「家の建て直しと6郎さんの治療に随分使いましたからねぇ…あ、ちょっとした修理に使う小さいのもならあるでいス」
    シャコは待っててとジェスチャーすると宿舎へと向かい姿を消す。少ししてからシャコは戻ってきてオカルンに持ってきたものを差し出した。
    確かに前に見たナノスキンより一回りほど小さい。オカルンが作ろうと思っているものに丁度いいサイズだと思った。
    「ありがとうございます!」
    「いえ、では忙しいので私は仕事に戻るでいス」
    使用目的を聞かれたらどうしようかと思っていたが、仕事がまだ残っているのであろうシャコはさっさと持ち場に戻っていく。オカルンはそのまままっすぐ帰宅し、もらったナノスキンを捏ね始めた。
    頭の中でイメージしたものがそのまま反映される猫型ロボットもびっくりな便利道具。そう時間も立たないうちにモモの小さいフィギュアが出来上がった。
    「よし!なかなか良い出来…」
    オカルンは一瞬完成を喜んだが、あまりにもリアルな出来に1つ懸念を抱く。少し生々しすぎないだろうか。自分の自覚していなかった下心が反映されているようでオカルンはモモのフィギュアをまた元のブロックに戻した。
    どうしたものかと頭を抱えていると、うんと小さい頃に親に買ってもらった某宇宙警備員と宇宙人や怪獣が戦う特撮ドラマに出てくるキャラのぬいぐるみが視界に入る。随分デフォルメされて愛らしい姿になっているそれはオカルンの良いヒントとなった。
    ──あんな感じで作ればいいんだ。
    再びナノスキンを捏ね始めイメージを固めていく。先程と違い、ぽてっとした2頭身のフィギュアが出来上がった。
    「綾瀬さんだけど何かのキャラっぽく出来たぞ!これで大丈夫!」
    芸能人でもない好きな女の子の偶像を作り出す行為があまり普通ではないことには気付かないまま、オカルンは部屋で1人万歳三唱をして完成を喜んだ。


    そして次の日の昼休み、中庭でモモと昼食を済ませ楽しく雑談していると「あっ」とモモが声を上げる。
    「次の授業、当番だから職員室にプリント取りに行かないといけないんだったわ!オカルン先に戻るね!」
    「はい、また放課後でー」
    「また放課後ねー!」
    モモは小走りで職員室へと向かった。オカルンはモモの姿が見えなくなったのを確認すると昨日作ったモモの2頭身フィギュアを取り出し掌に乗せる。
    何度見ても素晴らしい出来だと思わず笑みが零れてしまう。この後の授業も頑張ろうと後片付けをしようとすると、職員室に向かったはずのモモがオカルンの目の前に立っている。
    「ほおおおおおおおおお!?あああああああやせさんどして」
    「弁当箱忘れてったから取りに来たんだけど…それ何?」
    モモは驚いた猫のように目をまん丸にさせて、オカルンの掌にちょこんと乗っている物に指を指し問う。オカルンは終わったと絶望する、好きだと告白してきた相手が自分を模した人形でニヤニヤしていたなんて気持ち悪い。どうして迂闊に出してしまったのだろうと後悔が押し寄せた。
    「これはそのほんの出来心というか」
    「ふーーーーん」
    モモはオカルンからフィギュアを奪いじっくりと見る。その間にもオカルンは全身の血の気が引いて今にも倒れそうになっていた。絶対に嫌われたし軽蔑される。何も言い訳が出来ない状況にオカルンは目を瞑って下を向いた。
    「オカルン、ウチの人形作っちゃうほど好きなんだ」
    「…………ハイ」
    怖くてモモの顔が見れないまま小さく返事をする。
    「ウチもオカルンのちっちゃい人形ほしーんだけど」
    「えっ」
    顔を上げるとモモは自分の偶像を指で弄りながら唇を尖らせていた。
    「こっちじゃなくてちゃんとウチに構えよ」
    ジト目で睨むモモにオカルンは呑気に可愛いと思いつつもハイと返事をする。
    ──キーンコーンカーンコーン
    昼休み終了間近を知らせる予鈴が鳴る。オカルンはモモがまだ職員室に行っていないことを思い出し、忘れていた弁当箱をモモに渡す。
    「綾瀬さんプリント取りに行かないと」
    「あっ、また忘れてた。その前に」
    オカルンから弁当箱を受け取ったモモは去り際に彼の唇にちゅっと唇を押し付けた。一瞬何が起きたか分からずオカルンは只々呆然とする。
    「人形のウチに奪われる前にしとかなきゃじゃん?」
    はい、と2頭身フィギュアをオカルンに返しモモは駆け足で去っていく。やっと何が起こったか理解したオカルンは羞恥で膝から崩れ落ち、胸を押さえた。
    ──綾瀬さんとキスしちゃった。
    あの時と同じく中庭で今度こそちゃんとしたファーストキスをした余韻に浸る間もなく、本鈴が鳴り響く。
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