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    のうべ

    支部・個人サイトにてオリジナル小説を公開中。
    ポイピクではちょっとした短編や、パロディなどをあげていく予定です(ついでにラクガキとか)
    どうぞよしなに。

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    のうべ

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    一次創作「white memories」のお正月。
    世界観の事情から本編ではお正月ネタはできそうにないので、もしも○○があったら……的なやつです。
    本編は支部や個人サイトに公開してます。

    【簡単な人物紹介】
    ティジ:レリアンという国の王子。好奇心旺盛。
    ルイ:ティジの幼なじみ。ティジのことが好き(ティジはそのことを知らない)
    クルベス:ルイの伯父。城住み込みの医者。
    ジャルア:ティジの父。国王。

    #オリジナル
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    #BL
    #小説
    novel
    #正月
    firstMonth
    #創作BL
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    【white memories】お正月「その格好、どうしたんだ?」
    「『着物』って言って東の国の伝統装束なんだって。父さんが外交の時にもらったから着てみろって言ってたんだ」

    ルイの問いかけにティジはその場でくるりと回って答える。因みにここは城に住み込みで働いている医者(ルイの伯父でもある)クルベスの私室だ。部屋の主は席を外している。

    「どうかな?」
    「……うん、まぁ良いと思う」
    首を傾げて感想を求めるその姿に顔を背ける。

    ティジが纏うのは黒の着物に灰色の袴。
    白い髪に赤い瞳という人目を引く容姿には少々コントラストがキツく映ってしまうが、ティジに惚れてしまっているルイには些細なことでしかない。

    「やっぱり、俺には似合ってなかった……かな」
    ルイが顔を反らしたのを、見るにたえなかったかと思いシュン……と肩を落とす。
    その姿にルイは慌てふためく。

    「いや、違う。その……すごく似合ってる」
    好きな人の新鮮な姿に加えて、首を傾げるという(本人は無意識の)可愛らしい仕草。色々な感情が沸き上がってしまい直視できない、とは本人に言えるわけがなかった。

    「そう、かな。ルイにそう言ってもらえると嬉しい」
    えへへと照れ笑うその顔に思わず『可愛い』と口にしてしまいそうになるが、寸でのところで飲み込んだ。よくやった、と自分で自分を称賛したい。


    「お、ティジ。その格好……」
    荷物を抱えて戻ってきたクルベスはティジの格好に目を見張る。
    「父さんが着てみろって。ところでクーさん、それは?」
    「他にも色々もらったからってジャルアが。一人じゃ使いきれそうにないんだと」

    袋に入った大量の楕円形の白い物は餅というらしい。それ以外にも筆記用具のような物や、木製の板と球に羽がついた何か。どうやら『羽根つき』という遊びだと言う。これだけの荷物を一度にどうやって運んだのか。

    「あとこれ、ルイの分もあるからな」
    そう言って、ティジが着ているものとは色違いの着物を取り出す。本当にどうやって持ってきたんだ。
    「え、俺はいいよ」
    「そうか、着てくれるか。せっかくの機会だからな」
    有無を言わせない笑顔で着物を渡す。甥の晴れ姿をそんなに見たいのか。
    「そっちの意味の『いい』じゃなくて『着ない』って意味の……いや、だから俺は着ないって!押し付けんな!」


    「うん、やっぱり思った通り。似合ってるな」
    「……甥っ子を着せ替え人形にして楽しいか?」
    ルイの姿を見て一人納得したようにうなずく伯父に恨み節をぶつける。
    「これしか着せてないのに着せ替え人形は言いすぎだろ。着心地はどうだ?」
    「どう、って言われても……」
    抵抗むなしく着せられた着物に目を通す。
    濃い青の着物にこれまた濃い灰色の袴。申し訳ないが普段の服装と比較すると動きづらい、という感想しか出てこない。

    「いつもと違う感じ、としか言えない」
    「そっか、お前の目の色と着物の青が合ってて良いと思うんだけどなー。髪も黒でよく似合ってる」
    誉めそやしながらルイの髪をすくクルベスに、そういうものなのか?、と疑問を抱く。
    「でも心配だから着るのは城の中だけにしろよ」
    「いや、これっきりだから」
    間髪入れずに否定するのをクルベスは『照れちゃって、まぁ』と茶化す。

    他者から見ても、非常に整った顔をしている甥に心配はつきないが本人は露知らず。そろそろ自覚してほしいんだけどなー、と思うも半分諦めていた。



    ──場所を変え、中庭にて。


    「う、わぁ!」
    袴に足をとられたティジは盛大にコケる。
    幸いにも怪我はしなかったが、打ち返そうとした羽根は地面に落ちてしまっていた。

    そう、クルベスが持ってきた荷物のうちの一つ『羽根つき』に興じている真っ最中なのだ。
    事前に動きなどを練習し、いざやってみたがこれが中々うまくできない。
    妙に落下速度が速い羽根。羽子板とやらで打ち返すのも一苦労だ。それに加えて、いつもとは勝手が違う着なれない服装。これはかなり難しいな、とティジは地面に手をつきながら考える。


    「落としたら墨で顔にラクガキされるっていうルールがあるけど……やめとこうか」
    クルベスの発言に無言でうなずくルイ。
    「え、なんで?別に気にしないよ?」
    土を払い落としながら立ち上がる。着物が破れてしまっていたらどうしようと思っていたが、見たところほつれてなどはいないようだ。よかった。

    「これ一度書いたら中々落ちないっていうらしいし……何か気が引けるからな……」
    いちおう王子なんだからさすがに……と口ごもるクルベスにようやく合点がいく。
    顔にラクガキをされるというのも面白そうだと思っていたが、相手が乗り気でないのならば仕方がない。
    大人しくラクガキ無し、のルールで続けることにした。



    それから再びクルベスの私室に戻り、満を持して餅を食べることにした一行。調理道具などは厨房から借りることができた。

    この餅という食べ物は厄介だ。すごく伸びるし、中々噛みきれない。見た目に反してクセの強い食べ物だな、と目の前の餅と格闘しながらルイは思った。


    「気を付けて食えよ。喉つまらせたら冗談抜きで危ないからな」
    餅はまだまだあるからなくなったら言えよ、と付け加える。

    餅にはクルベスによって様々な味付けが施されていた。味付けに使われた物は餅と一緒に渡された東の国の調味料たちだ。どれも見たことのない物だ。黒いシート状のものは海苔というようだ。海藻を使って作られているが、食べるのに少し勇気がいる見た目をしている。
    東の国とやらは変わった物が多いな、と思わずにはいられない。


    「向こうの国では一年の始まりにはその年の抱負を書くらしいな」
    「抱負?」
    クルベスの発言にティジは顔を上げる。
    「目標みたいなもの。二人は何かあるか?」
    そう聞かれて少し考えこむ。目標か……。
    「俺は勉学に励む、かな」
    「ティジはもう十分すぎるほどだろ。ルイは?」
    新しいことを知るのが楽しいと常日頃から言っているティジの底無しの好奇心にクルベスは若干呆れた様子で返す。
    「すぐには、思いつかないな……」

    一年の抱負ということは一年以内に達成ができそうな目標ということだ。そんな急に言われても。

    「もっと素直になる、とかあるだろ」
    「どういう意味だ、それ」
    からかってるのか、というルイの問いかけに返事をすることは無く、クルベスは黙って笑みを浮かべる。
    ただ、一瞬ティジを見たので言わんとしていることは分かるが。


    それは一年以内に達成できそうに無い。

    伯父の意地の悪さと伯父の言う通り素直になれない自分に対して軽くため息をつき、餅を食んだ。
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    のうべ

    Happy New Year一次創作「white memories」のお正月。
    世界観の事情から本編ではお正月ネタはできそうにないので、もしも○○があったら……的なやつです。
    本編は支部や個人サイトに公開してます。

    【簡単な人物紹介】
    ティジ:レリアンという国の王子。好奇心旺盛。
    ルイ:ティジの幼なじみ。ティジのことが好き(ティジはそのことを知らない)
    クルベス:ルイの伯父。城住み込みの医者。
    ジャルア:ティジの父。国王。
    【white memories】お正月「その格好、どうしたんだ?」
    「『着物』って言って東の国の伝統装束なんだって。父さんが外交の時にもらったから着てみろって言ってたんだ」

    ルイの問いかけにティジはその場でくるりと回って答える。因みにここは城に住み込みで働いている医者(ルイの伯父でもある)クルベスの私室だ。部屋の主は席を外している。

    「どうかな?」
    「……うん、まぁ良いと思う」
    首を傾げて感想を求めるその姿に顔を背ける。

    ティジが纏うのは黒の着物に灰色の袴。
    白い髪に赤い瞳という人目を引く容姿には少々コントラストがキツく映ってしまうが、ティジに惚れてしまっているルイには些細なことでしかない。

    「やっぱり、俺には似合ってなかった……かな」
    ルイが顔を反らしたのを、見るにたえなかったかと思いシュン……と肩を落とす。
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