無題蒼天堀、招福長通りから少し外れた所にある古いラブホテル。
時刻は午前3時を回ったところではあるが、全部で24部屋あるうちの3つほどしか、部屋は埋まっていなかった。関西一の歓楽街とはいえど、週のど真ん中ともなれば、客足は疎らなのは致し方ないとフロントの男は溜息をつく。
ぷかぷかと紫煙を部屋に浮かばせ暇を持て余
していると、入口を開く音が聞こえた。
耳を澄ますと、3人分の足音。客のプライベート保護の為フロントを隠す壁の隙間から、黒のスーツに挟まれた白のダブルスーツが見えた。
不審に思ったが、客には変わりないと目の前の男達に声を掛けた。
「いらっしゃい。」
「部屋空いとるか?」
「2階の3部屋以外はスカスカだよ。好きなとこ選びな。」
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