友目を覚ますと、俺は空に浮かんでいた。
どうやら俺は死んだらしい。仁の手によって。
裏切り者の頼みだというのに、しっかりととどめを刺してくれたのだな…。
しかし、ここは一体どこなのだろう。てっきり地獄に落とされると思っていたが、辺りを見渡しても、生前となんら景色が変わらなかった。
遠くに櫛寺の五重塔が見える。ということはここは、豊玉か。
仏の情けか、はたまた妖怪の悪戯か。現世にとどまってしまっているみたいだ。
「はぁ…」
はてさて、どうしたものか。
今の俺には為す術もないので、しばらく空を漂っていると、ある一件のあばら家が目に付いた。
外には家主の愛馬らしき白い馬が繋がれている。どうやら人が住んでいるらしい。
少し近づいてみると、穴だらけの屋根から色とりどりの布を見つけた。
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