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    aco

    @uso80024365

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    野……子脚本でエンディングに米……師が流れる未来捏造斉鳥バディものの進捗を晒します。
    ちょっと前に喋ってた未来捏造設定です。
    斉木楠雄(26):都市災害情報システムセンター(UDISC)職員
    鳥束零太(26):出張僧侶兼霊能探偵

    タイトル未定 File.1コンクリートの隙間に、煤と湿気がまだ残っていた。
    三日前に鎮火したはずのビル火災現場。その非常階段の下で、斉木楠雄は片膝をついてコンクリートの亀裂を指先でなぞった。

    都市災害情報システムセンター――通称UDISC(ユーディスク)。
    都心で起こる地震、火災、洪水……ありとあらゆる都市型災害を「起きる前に想定し、起きてしまった後も被害を拡大させない」ための解析と提言を担う組織だ。斉木はそこの解析部第三課に属する。災害データの計算とモデル構築、それが大学を卒業した後斉木の選んだ“仕事”だった。
    火災を消すのは消防、犯人を捕まえるのは警察――だが、行政に避難指示を促すタイミングを決めるのは誰か。崩落危険区域をどの範囲まで封鎖すべきか判断するのは誰か。解析官の一つの数値で、都市の数万人の安全計画が変わる。そういう仕事だ。就職して四年が経ち、先日役職もついた。形ばかりといえば形ばかり、"上級"解析官という。やることは結局変わらない。日々災害の予測を立て、リスクのありそうな場所のデータを取ってくる。それなりにあくせく働いているのだ。そして、起きてしまった災害を分析するのもまた、仕事の一つだった。今日は、三日前のビル火災現場を、消防と検証しに来た。
    斉木は、タブレットの仮想模型を呼び出す。三次元のビル構造に、風向きと湿度、建材の発火点を入力し、延焼経路を再計算する。解析の正確さが高いほど、封鎖区域は無駄なく済み、経済被害も小さくできる。だが、火元の論理がわからない限り、この解析からは“穴の空いた防災計画”しかできない。画面上では、このビルと周囲200メートルの立体構造、住民動線、避難経路、風向きと湿度、電線の分布――すべてが数値化され、延焼の経路として矢印で示されている。だが、その矢印が、屋上から非常階段へ飛び火した地点で途切れていた。
    『……どうして、ここで火が上がる』
    火は上へ、風に乗って流れる。だがこの火は、なぜか重力に逆らった。わずか数平方メートルの影が、この都市をまた焼き尽くすかもしれない。
    「斉木さん」
    後ろから声がかかる。振り向くと、消防の若い職員がヘルメットを抱えて汗を拭っていた。
    「警視庁の調査班、今日で一旦撤収みたいです。物証も決め手にならなくて……放火の線は、立証しきれないって」
    斉木はタブレットを閉じた。解析官がここで拾えなければ、都市の安全は空論に戻る。
    『……封鎖は、いつまで維持できる』
    「正直、あと二日が限界です。住民やテナントが損害賠償を言い始めてて……」
    『……そうか』
    役所の声が脳裏にちらつく。リスクがないなら開放を、UDISCは解析だけしてろ――現場を捜査する警察などは特に、UDISCを好ましく思わない。後から来て現場を引っ掻き回すと思っている。それでもやらねばならないことがあるから来ているわけだが、基本的にUDISCに捜査権などはない。ただデータを取り、次に備えるだけだ。引っ掻き回しようがない。どちらかといえば、この不自然を見逃し、事故で片付け、この現場の封鎖を解こうとしていることのほうが問題だった。形ばかりの役職よりも、いま欲しいのは別の証拠だ。思わず舌打ちをしそうになったその瞬間、外が騒がしくなった。
    「ちょ、待ってくださいってば! 俺は依頼されて来ただけで――供養ですよ供養! 怪しい者じゃないっつってんだろ!」
    紫色の髪に、首からは数珠。黒い服装。明らかに不審者と思われて規制線で足止めを喰らっている男に、斉木は不本意ながら見覚えがあった。
    『今回、ここで死人は出ていない』
    「それでも依頼があったらやるのが俺の仕事です……って、あ」
    目が合った途端、男が驚いた顔をした。その隙に斉木は警官に声をかける。
    『入れてやってください。事故現場での供養なんて、よくある話でしょう』
    取り押さえられていた男は、斉木の言葉で解放されするりと規制線の中に入り込んできた。
    『くれぐれも中のものに触れないでくださいよ』
    あくまで仕事上のやりとりとして丁寧に話す斉木に、男は笑い、顔を覗き込み、言った。
    「ありがとうございます、助かりました——斉木さん」
    その男を、鳥束零太という。
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    aco

    PROGRESS野……子脚本でエンディングに米……師が流れる未来捏造斉鳥バディものの進捗を晒します。
    ちょっと前に喋ってた未来捏造設定です。
    斉木楠雄(26):都市災害情報システムセンター(UDISC)職員
    鳥束零太(26):出張僧侶兼霊能探偵
    タイトル未定 File.1コンクリートの隙間に、煤と湿気がまだ残っていた。
    三日前に鎮火したはずのビル火災現場。その非常階段の下で、斉木楠雄は片膝をついてコンクリートの亀裂を指先でなぞった。

    都市災害情報システムセンター――通称UDISC(ユーディスク)。
    都心で起こる地震、火災、洪水……ありとあらゆる都市型災害を「起きる前に想定し、起きてしまった後も被害を拡大させない」ための解析と提言を担う組織だ。斉木はそこの解析部第三課に属する。災害データの計算とモデル構築、それが大学を卒業した後斉木の選んだ“仕事”だった。
    火災を消すのは消防、犯人を捕まえるのは警察――だが、行政に避難指示を促すタイミングを決めるのは誰か。崩落危険区域をどの範囲まで封鎖すべきか判断するのは誰か。解析官の一つの数値で、都市の数万人の安全計画が変わる。そういう仕事だ。就職して四年が経ち、先日役職もついた。形ばかりといえば形ばかり、"上級"解析官という。やることは結局変わらない。日々災害の予測を立て、リスクのありそうな場所のデータを取ってくる。それなりにあくせく働いているのだ。そして、起きてしまった災害を分析するのもまた、仕事の一つだった。今日は、三日前のビル火災現場を、消防と検証しに来た。
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