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    acusu1979

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    acusu1979

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    9/18七伊Webオンリーイベント展示用作品です。

    支部と同じものをこちらにも上げます。

    お越しいただきありがとうございましたー!

    #七海建人
    sevenSeasBuilders
    #伊地知潔高
    idijayaka

    魅力「伊地知君の魅力ですか?」

    満開の桜も過ぎ、繁忙期とはいかないが忙しさはまだまだ収まらない…そんな季節。伊地知はこれからお願いする任務の資料を呪術師の待機する部屋に届ける為扉に手をかけようとしたところだった。

    「どうしてまた?…失礼ですが…」
    「あー!!違います!違います!!!私は七海×伊地知派です!七伊派です!!」
    「アナタ何を言っているか解ってるんですか…」

    この会話から察するにどうやら七海と呪術師が会話している様だった。七海から見た伊地知の魅力を聞いているようである。このまま聞きたい様な、そんな事を聞くと今日これからが仕事にならなくなる様な複雑さ気分である…(乙女でもあるまいし…)伊地知は小さく深呼吸をすると扉を引いたのだった。




    「伊地知君、どうしてあの時聞いておかなかったんですか?」

    七海を迎えに行って拾った帰り、七海が脈絡もなく聞いてきた。あのとき?あの時…?

    「すみません、今日の昼間の話です。君は扉の前で聞いていたでしょう?」
    「は?…あっ!え?!…わかってたんですか…?」

    何を聞かれてるのかわかった途端に伊地知は思わずアクセルを踏む力が強くなる。
    (危ない…運転中だ…落ち着け私…)

    運転に動揺が表れてもさほど驚きもせず話を続ける七海。

    「ええ…君がどういう行動をするのか興味がありまして」
    「…七海さん、人が悪いです…」
    「聞かないんですか?」
    「…一応聞きますが「何を」でしょうか?」

    信号待ちのタイミングでミラー越しに七海を見る伊地知。仕事が終わったからなのか、もう夜だからか…いつもは掛けている特徴的なサングラスは仕舞われていて…そんな七海は伊地知としっかり目線を合わせて微かに笑った後、愛おしそうに呟かれる。

    「君の魅力です」

    …しまった見るんじゃなかった…大人オブ大人と称される七海建人が、こんな茶目っ気を出してくるなんて誰が想像つくだろうか…
    あからさまに顔を逸らして信号が青になったのを確認して車を走らせる。
    (ここが都心から離れた田舎の一本道で良かった)
    伊地知の心が少しだけ落ち着いたので運転に集中しながら吐露する。

    「…正直申しますと…」
    「はい」
    「…どんな事を仰って頂けるのかはとても興味があります」
    「ではー」
    「ーですがっ時と場合により…今日…今後の業務に差し支えては困りますから…」

    しどろもどろになりながらも何とか言い切った伊地知。(よしっ!言い切った私!)

    「なるほど…わかりました。ところで伊地知君、1つ確認したい事があるので車を止めれる場所まで行けますか?」
    「??はい。確かこの先に道の駅があったはずです。20分ぐらいで着くと思います」

    何か困り事だろうか…?伊地知は疑問に思ったが道の駅に到着するまでの20分程、七海はタブレットを取り出すと雑務をし始めて車内は静かに時間が流れていったのだった。

    道の駅に着くと営業時間は過ぎていて、車はもちろん人もおらず…あるのは伊地知と七海の乗った車だけ。「すぐに戻ります」と言った七海は自販機へ歩き出すと飲み物を買った様だった。戻ってくると後部座席ではなく助手席へ座ってくる。

    「伊地知君、これを」

    伊地知に差し出した缶コーヒー。

    「えっ?はいっ…すみません!あ、」
    「お代はいりません。飲みましょう」
    「はい…いただきます」

    学生の頃なら怒っているのかと勘違いしそうになるが今は普段の七海を1番近くで見ている伊地知。説教ではなさそうだと少しだけ安心してプルタブを起こす。伊地知が一口飲むのを確認したように七海が喋り出す。

    「補助監督という立場からか伊地知潔高という人間は自分を過小評価する傾向があります」
    「…はぁ…そうで…しょうか…」

    急に何の話だろう…?戸惑う伊地知。

    「ええ。なので私しか知らない君の魅力をお話ししようと思いまして」

    何が「なので」なんだろう?そう言えばひとつ確認したい事って言ってなかっただろうか?
    助手席に座った恋人の瞳の奥を覗いてしまって焦る伊地知。話を逸らそうと目線も逸らしながら必死に舵取りをした。

    「あっ!の…あの!…そう言えば」

    伊地知の両手に握りしめられている缶コーヒーをそっとドリンクホルダーに置き右手で伊地知の上腕をそっと掴んだ七海が動きを止めて次の言葉を待っている。

    「さ、先程確かめたい事と仰ってましたが…何を…?」

    七海は伊地知の顎を軽く上げて目線を合わさせた後口角を少しだけ上げていた。

    「伊地知君、明日はお休みでしたね?」
    「はい」

    私の緊張感はなんだったんだ?拍子抜けになりながら答える伊地知。そんな伊地知の反応を気にする事なく喋り続ける七海。

    「君はこの後仕事ですか?」
    「…あ…まぁ…高専に帰って報告書の整理を…」
    「それは今すぐしないと困りますか?」
    「いえ、今日は珍しく皆さん直ぐに出していただいたのであとはこの任務の報告書だけです」
    「では…明後日まで大丈夫ですね?」

    …確かにこの任務の報告書は急がなくても大丈夫だ。明日は伊地知は休みになっている。他の補助監督の休みを優先していたら気がつけば10連勤は超えていた。気がついた補助監督仲間から「頼むから自分の休みをちゃんと取って!」と何故か怒られる様に責められてしまった。渋々というほどではないが納得がいかないまま休みを取ったのは明日である。

    「ええ…そう言う事になります…ですが性分なので仕事は片付けて休みに入りたいんです」
    「君の仕事に真正面から取り組む姿勢は尊敬に値します…コレを」

    そう言うと七海はUSBを伊地知の掌に置いた。

    「先程の報告書を作成しました。今から私が運転しますので高専に着くまでに作業を終わらせてください。それと私も明日は休みなのでたまには2人でゆっくり過ごしませんか?」
    「…え?」

    お互いなかなか忙しくて丸一日なんて予定が合わない。それでも朝だけでも、お昼だけでも、夕食だけでも…となんとか2人でなるべく顔を合わせられる様にと調整しあっていた。伊地知にとってそれは願ってもない事だった。固まる伊地知に七海はもしかしてと問いかける。

    「…急で困らせましたか?」
    「いえ!いいえ!!…あの…嬉しいです…!」

    七海の言葉に浮いていた気持ちを落ち着かせると付き合いたての頃の様な返事をしてしまう。もっと気の利いた言葉は出てこないのか…少しだけ凹む伊地知がいた。七海と目を合わせるのが恥ずかしかった様で少しだけ目を伏せた伊地知に

    「君が嬉しいと私も嬉しいです。なので上手に言うのではなく、素直に言ってもらえる方が私としては好ましいですよ」

    と七海は囁いていた。七海の顔が近くにあり耳元で囁かれる伊地知は顔が赤くなる。
    …やっぱり貴方は大人オブ大人です…

    「言っておきますが」
    「はい?」
    「君が私の事を「大人」と評価していますね。ですが本当の大人はー」

    片手はUSBを握らされたままもう片方は上腕を抑えられているので地味に動かせない伊地知。このタイミングを狙っていたのか七海は伊地知にキスをするとそのまま舌を絡めてくる。

    「…!んむっーー!」

    普段より脳内処理が追いついていないせいか伊地知の反応が一歩遅れる。七海に舌を絡め取られ、吸われ、口の中を貪り尽くされる。このままでは流されると考えた伊地知は後ろに引こうとしたが、伊地知の両手を抑えていた七海の両手ががそのまま頬に到達して頭と言うか顔を固定される。勘弁してほしいと願いを込めて自分の両手が空いた伊地知は七海の胸の辺りをドンドンと強めに叩いた。分かってくれたのか七海は最後に伊地知の唇を吸い上げると離れていく。息を切らす様に呼吸した伊地知は混乱しながら七海を見上げる。

    「ー大人は久々に会えた恋人に自分本位な…こんなキスはしません。君は私を買い被り過ぎです」

    伊地知の唇に残った2人の唾液を親指で拭いながら愛しそうに見つめる七海。

    「…こんな…ズルいですよ…」
    「ええ。私はズルいんですよ…君をその気にさせてお預けさせて…でも君の性格では仕事を放り出さず、高専に着くまでに終わらせてくれるでしょう?」
    「計算ですか?!」
    「人聞きの悪い…仕事人間の君が少しでも私に染まって欲しいだけです」

    七海の手の内をあからさまに見せられて伊地知の心は荒らされるばかりだ。

    「余計にタチが悪いです!それにそんな事しなくても七海さんでー」
    「ー私で?」

    何を言おうとしていたか我に帰り口をハクハクと動かすしかできない首まで赤くなっている伊地知。

    「ほら…言って?」

    相変わらず七海に両手で顔を固定されているので逃げられない伊地知。これは言わないと解放されないやつだ…と観念して小声になる。

    「もう既に…七海さんでいっぱいですよ!」
    「…そのお返事は及第点ですね」
    「なっ!なんで?!」

    言ったのに!と顔に書いてある。揶揄いすぎたかとは思ったが七海はそのまま額を合わせる。

    「すみません、君が可愛くてつい…」
    「「つい」で済ませないでください!」

    頭を固定されている伊地知は恥ずかしさで瞳が滲んできた。伊地知の色々な表情が見れて癒されている七海だが、揶揄いすぎたかと考え直してそっと手を緩めた。伊地知から手が伸びて七海のネクタイを掴むと先程のお返しとばかりにキスを返してきた。2人の唇が離れた後、すぐに運転席のドアを開けて助手席にまわる伊地知。七海の左側のドアが伊地知によって開けられる。七海に手を差し出して立つ様に促した。スマートキーを手に握らせて七海の目を見て宣言する。

    「私だって七海さんを想う気持ちは負けてません!……すみませんが運転を代わってください。仕事を高専に着くまでに終わらせるので!」
    「わかりました。安全運転で戻りましょう」

    七海が降りた助手席に伊地知が、伊地知が降りた運転席に七海が。お互い座りシートベルトをしたところで静かにエンジンがかかる。少し車が移動したところで

    「…そう言えば君の魅力についてですが」

    七海の急な発言にワンテンポ遅れる伊地知。

    「…はい?」
    「後でゆっくりと語らせていただく事にします」
    「…え?」

    その後なんとか車内で仕事を終わらせた伊地知に待っていたのは、七海の家の至る所で文字通りゆっくりと伊地知の魅力を七海に語られ「もう良いです!やめてください!」と伊地知が懇願するまで溶かされるのであった…
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