チョコ「日下部先輩…あの…」
日下部くんが中学三年の時。季節は冬。下級生だと思う女子生徒から声をかけられました。手提げバックを持っている姿に何となく察しはいましたが次の言葉を待ちます。
「何だよ?」
「えっと…コレ貰って欲しいんです…」
袋を広げて見せられたのは可愛くラッピングされた包み。多分チョコレートが入っているんでしょう。
「あー悪い。貰えない」
「…どうしてですか?」
「義理だろうがなんだろうが貰うつもりは無いんで」
「そんな…」
このやり取りをしながら相手の子は目に涙を溜めていってます。
「…折角用意してくれたのにすまんな。じゃあ」
返事も待たずにその場を去った日下部君でした。
「お兄ちゃん…いつも遊んでくれてありがとう」
いつも仲良くしてくれる大好きな日下部君に感謝の気持ちを込めて日車君が用意したのはチョコレートです。ニッコリと微笑むと日下部君はチョコを受け取りました。
「おーありがとな。来月何が欲しいか考えとけよ?」
「お兄ちゃんと一緒に遊んで欲しい!」
「…そうか」
そういう意味じゃ無いんだけどな…と思いながら日車君の頭を優しく撫でる日下部君でした。