チラリズム日車は汗をタオルで拭きながらベンチに腰を掛けた。今はインナーマッスルを鍛えて次のカリキュラムをするまでの間は筋肉を休ませるためのインターバルなのでしっかり休息を取るようにしている。
｢日車さん、お疲れ様です｣
横から差し出されたのは一本のペットボトル。
｢伊地知さん、ありがとうございます｣
受け取ると遠慮なく封を切った。先程から高専のトレーニングルームで筋トレをしていた二人。伊地知はタオルが無いのかトレーニングシャツの裾を持ち流れてくる汗を拭っていた。伊地知の腹筋を見た日車は思わず固まってしまう。そんな視線に気がついた伊地知が恥ずかしそうに裾を下ろしてしまった。
｢あ…すまない…｣
｢いえ…こちらこそみすぼらしいものを…｣
｢それだけ鍛えておいてみすぼらしいと言われても…な…｣
｢日車さんは鍛え始めたばかりですから…これからかと…｣
伊地知のシャツの裾から見えた僅かな筋肉は瞬間しか見てなくても割れているのがわかった。自分の腹筋を知らず知らずの内に摩っていた日車は小さくため息を付いたのだった…