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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

    リアクション𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮😘生きる糧です。

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    りま!

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    静流視点の宗戴。
    ルーイも出てきます。

    皆仲良しです。

    頭上の会話 カラン、とバーの扉が開く音がする。店内も席が埋まりつつあり、さすが金曜日の夜だなぁと考えていた静流の右隣の椅子が引かれる。
    「おや、君ですか」
     聞き覚えのある声に、視線を向けると高塔戴天が椅子に座ったところだった。ふわりと良い匂いが漂い、長い髪が揺れた。
    「わぁ、高塔さんじゃん」
    「今夜もたくさん飲んでいるようですね」
    「そんなことないですよ〜!まだ飲み足りないくらいです」
    「程々になさい。そのうち呂律が回らなくなってきますよ」
    「よくご存知で〜」
     高塔さんとはたまにバーで会うことがある。潰れたところも何度も目撃されている。こうやって一線を引きながらも忠告してくれる存在はなんだか嬉しい。そういえば同じような存在がもう1人いるな…と左の席を見たところで
    「……高塔か」
     お手洗いに席を立っていた宗雲が帰ってきた。
    「宗雲さん……」
     驚いた声で戴天が返す。そういえばこの2人が揃うところはあまり見ないなと静流は目の前の酒をあおる。
    「お2人が揃うのは珍しいっすね」
    「「……」」
     気まずい。どうしてか2人が揃ってから左右が静かだ。気まずさに耐えかねて、バーテンダーに追加のお酒を注文する。
    「……飲みすぎるなよ。そのうち呂律が回らなくなるぞ」
    「あはは、高塔さんと同じこと言ってる〜」
     宗雲が言ってくる言葉が先程戴天が言ってきたことと全く同じでおかしくなる。
    「ところで、高塔さんは仕事帰り?」
    「そうですよ。珍しく明日が休みなもので」
    「いいねぇ〜!じゃあ今日はとことん飲んじゃいます?」
    「君のような飲み方はしませんよ。日付が変わる頃には帰ります」
    「たまには付き合ってくださいよ」
    「お断りします。一体君は何時まで飲むつもりなんですか」
    「気が済むまで、かな」
    「そんなに付き合って欲しければ、そちらの……宗雲さんに頼めばどうですか?」
    「おい」
    「え!宗雲さん付き合ってくれます?!」
    「俺も日付が変わるくらいには帰るぞ」
    「え〜!」
     いつもは1人で飲むか知らない女の子と飲むことが多いが、珍しく見知った顔に囲まれて上機嫌になる。

     それから少し経つと、段々と眠くなってきた。上機嫌に任せてお酒を頼みすぎたのかも知れない。左右の2人はよく話を聞いてくれて、悩みも真剣に考えてくれる。どんなくだらないことを言っても2人なりによく考えて答えをくれる心地よい空間だった。思考がふわふわしてくる。焦点も段々と合わなくなってきて、あぁ酔ってるなと思う頃には、両腕をテーブルに置き、その上に頭を乗せてしまった。
    「寝たのか?」
    「そのようですね」
     頭の上で2人の声が聞こえる。カオスアカデミー2期生の静流にとって、唯一の先輩である2人。違うクラスのリーダーだが、あまり2人が一緒にいるところを見たことは無かった。過去に何かあったのか、それほど関係性は無かったのかは知らない。けれど静流にとっては2人とも何かあったときに頼れる人だなとは思う。

    「……最近はどうなんだ」
     しばらく続いた沈黙を破ったのは宗雲だった。
    「雨竜くんは変わらず元気にやっていますよ。本当にあの子は吸収も早い」
    「そうか。……お前は?」
    「私ですか?それこそ何も変わりありません」
    「相変わらず仕事一筋か。少しは休め。クマが酷いんだろう。化粧で誤魔化している」
    「人を観察するのはやめてください」
    「否定しないんだな」
    「隠しても見えているのでしたら無意味でしょう」
     なんだこの会話は。離婚した夫婦?だなんて突飛な思考になるのは酔っているからか、この2人の雰囲気に飲まれているのか。思考が更に溶けていく。

    「ちょっと、触らないでください」
    「手もこんなに冷えている」
    「それはグラスを持っていたからで……!」
    「手首も細い。きちんとした食事を」
    「最近はきちんと食事も摂っていますよ」
     なんだこの会話は。付き合ってる恋人?先程とは違った感想が出てくる。もっと2人の会話を聞いていたいが、どうも睡魔に抗えそうになかった。きっとこの2人なら自分を置いて先に帰るようなことはしないだろうと思いながら思考はそこで途切れた。

    「おい、起きろ」
     肩を強く叩かれて、意識が浮上する。
    「んあ……あれ?リーダー?」
     そこには同じ家に住んでいる我がクラスのリーダー、ルーイの姿があった。
    「どうしてここに?」
    「呼び出されたんだよ、高塔から」
     ルーイが言うには、戴天から突然連絡があり、静流がバーで寝てしまっているから迎えに来てあげて欲しいとのことだった。
    「ったくお前は…帰るぞ」
    「うん、あ支払い」
    「高塔が支払いも済ませた」
    「え!?」
    「一体何の話をしたんだ?高塔からお前と楽しい時間を過ごせたから支払いまで済ませた、ただ家が分からないから送れない、だとよ」
    「そうだったんだ……」
     宗雲の姿も既になく、どちらかが先に帰ったのか、はたまた一緒に出て行ったのかは分からない。
     朧げな記憶の中で話す2人だともしかしたら一緒に出て行ったのかも知れないな、と思った。急かすリーダーの肩に腕を回して、上機嫌に静流はバーを後にした。
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    りま!

    DOODLE※①②③を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    雨→戴→宗と目線が変わります。
    終わらせようと思ったけど続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ④〜一歩前進編〜 玄関の扉が開く音に雨竜がリビングへ降りると、予想通り戴天が帰宅したようだった。
    「おかえりなさい、兄さん」
     戴天には休日というものが存在しないのではないか、というくらい働き詰めだ。今日も雨竜は休日だったものの、戴天は社内調整後の決裁のために出社をしていた。
     この決裁が終われば、ほんの少し戴天のスケジュールに余裕が出る。それを見越して明日は戴天の休日を作った。戴天は休日を渋ったが、このままでは何連勤になってしまうか分からないので、何も予定は入れませんと宣言したところでやっと了承してくれた。
    「ただいま、雨竜くん」
     靴を脱いでリビングへとやってきた戴天が雨竜に一声かけると、そわそわとした様子でそのまま部屋のある2階へと上がって行った。
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    りま!

    DOODLE※①②を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    駆け引き編は宗雲目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ③〜駆け引き編〜「ありがとうございました。……では、また」
     そう言いながら車に乗り込む戴天がこちらを見た。その表情がどんなものだったか、戴天は分かっているのだろうか。
    (では、また……か)
     戴天にとってはただの挨拶だとしても、彼の口から出た言葉であればそれを理由に何とでも言える。宗雲はつい緩んでしまいそうになる口元を手で押さえた。

     リビングのソファーに座りラウンジの雑務を片付けていると、スマホのメッセージアプリの通知音が響く。アプリを開くと、雨竜から今日のお礼が届いていた。雨竜が居なくなったあとの様子が気になったのか、直接的な言葉こそないものの、気になる様子が伝わってきて苦笑いする。
     同じ家にいる戴天には聞かずにこちらに聞いてくる気持ちはなんとなく分かる。ひとまず、こちらは嬉しかったと伝えられたこと、ただそれを戴天がどう思っているかは分からないことを伝え、最後に家に帰った戴天の様子を聞いておいた。
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    りま!

    DOODLE※お出掛け編を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    2人きり編は戴天目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ②〜2人きり編〜 雨竜が去り、カフェの店内に宗雲と戴天だけが残されている。雨竜のことを呆然と見送るしかできなかった戴天は、中途半端に浮いたままだった腰を再びソファーへと降ろした。
    「何か私に用事でもありましたか?それとも雨竜くんの前ではできないようなお話でもあるのでしょうか」
     戴天にとっては、宗雲と話さなければいけない用事も無ければ、何もないのにお喋りを楽しむような関係でも無かったから、今の状況がまるで飲み込めない。
    「いや、特にそんな話は無い」
     宗雲からの返答に戴天は訝しげな目線を向ける。
    「私もあなたに用はないのですが……」
     そう言う戴天に視線も向けずに宗雲は落ち着かない様子で手元のアイスコーヒーの氷をストローでかき混ぜている。カラカラと氷同士のぶつかる音が静かな店内に響く。グラスの表面についた水滴をコースターが音もなく吸いとっていった。
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    りま!

    DOODLE雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    お出掛け編は雨竜目線。続きます。
    ※8/9ちょっと内容修正して再アップしました

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き
    兄達よ和解せよ①〜お出掛け編〜「兄さん、日曜日の予定なんですが……」
     スケジュールの擦り合わせが完了し、今日も暑そうですね、なんて雑談をしている折に雨竜が切り出した。目の前に座っている戴天は朝食を食べる手を止めてこちらを見る。今週の日曜日は戴天と雨竜、揃っての休日だ。雨竜が珍しく習い事が夕方からだということで前々から出掛けようという話をしていた。
    「どうしました?」
     なかなか続きを話し出さない雨竜を見つめ、戴天が静かに問いかける。
    「あの、その日なんですが……宗雲さんと出掛けたいんです」
     突如出てきた宗雲の名前に、戴天は危うくカトラリーを落としそうになったのか、ぎゅっと手に力が入ったのが見えた。
    「3人で行きたいところがありまして。朝はそこまで早くはならないので、いつも通り内線で……兄さん?」
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    recommended works

    りま!

    MOURNING・嘔吐(体調不良)表現があります
    ・宗雲=叢雲の設定
    ・宗雲(叢雲)は高塔の一族でありながら高塔の隠された秘密を暴く側の派閥の生まれで、子供の頃から秘密を探っており、旧タワエンは探っていたのがバレて解散したという特殊設定(ですがあんまり関係ない)
    •戴天がヒスり、宗雲が少し暴力的かも
    •宗戴ですが糖度は低め
    欠けた月(前編) 広い屋敷の庭に面した縁側で、あなたは花の茎をパチンと花鋏で切り、花器に生ける。それを私はとても嬉しそうな顔をして見ている。できたぞ、と言って完成した作品はとても私の心を踊らせた。

    「ねぇ叢雲、もう一度お願いします」
    「戴天は本当に花を生けるのを見るのが好きだな。仕方ない、もう一度だけだぞ。ただし、」

     そう言ってあなたがこちらを見た瞬間、ゾクリと悪寒が走る。あどけない顔をしていたあなたが、立派な大人に見えた。まるでこちらを責め立てているような。

    「対価が必要だ。お前の隠していることを教えろ」

    「──ッ!」

     目が覚めるとそこは見慣れた自室で、戴天ははぁと短く息をつく。もう何度も何度も見た夢。幸せだったと同時に嘘で塗り固められたあの頃。全てが嘘だったとしても、優しさだけは確かにそこにあったと、今でもそれだけを大事に抱えている。
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