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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

    リアクション𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮😘生きる糧です。

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    りま!

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    叢+戴と宗+戴の一幕。
    ※恋愛要素は無いです!
    前半は穏やか、後半はギスギス。
    温度差で風邪を引いても大丈夫な方はどうぞ(?)

    進む先 カオスワールドの中、醜い雄叫びをあげてガオナクスが立ちはだかる。はぁはぁと荒い息を吐きながら、叢雲と戴天は身構えた。
     カオスワールドの主の意思が強いのか、いつも以上にガオナとガオナクスによる妨害が多かった。目立った怪我は無いものの、連続して起こる戦闘に2人の息は上がっていた。
    「……ふぅ、まだ行けるか?戴天」
    「無論。叢雲さんこそ大丈夫ですか?」
    「もちろんだ。……来るぞ!」
     ガオナクスが繰り出す攻撃を叢雲が防ぎ、戴天が光線で焼き尽くす。お互いが次にどんな動きをするのか、目を見るだけで分かった。
     後方にいた戴天の後ろに新たなガオナが出現するのを叢雲が目の端に捉えた瞬間に叫ぶ。
    「戴天ッ!」
     鋭い声が戴天の鼓膜を揺らすとほぼ同時に、叢雲の剣が戴天の背後にいるガオナに突き刺さった。戴天は考えるよりも先に叢雲の動きを予想し、半歩身を引いていた。音もなく消えていくガオナに安心する暇もなく、剣を突き出した腕を戴天が軽く引く。引かれた動きに抗うことなく身を翻すと、戴天がふわりと浮遊して前方のガオナを破壊した。
    「助かった」
    「お互い様です」
     砂埃が戦闘の余韻で舞っている。しばらく息を潜めて辺りを伺うも、新たな敵が出現する様子は無かった。
     開け放たれた扉の向こうに人影が見える。きっとこのカオスワールドの扉を開いてしまった人物だ。
     叢雲が変身を解き、その人物へと近づこうと一歩踏み出すと、戴天が手で制する。
    「私が先に」
     戴天も変身を解き、歩き出す。その後ろを叢雲が静かに追った。

     カオスワールドの主の説得に成功し、出口の扉をくぐる。カオスワールドの扉が完全に閉じたことを確認し、扉を開いてしまった男に帰路を促す。何度も頭を下げて謝る男に軽く手を振り、2人で見送る。
     その姿が完全に見えなくなってから、戴天がエージェントへ調査完了の報告を送信する。
    「報告は終わりました。さぁ私たちも帰りましょう。……ふぁ、失礼しました」
     戴天があくびをする。昨日の仕事終わりにエージェントからの連絡を受けて2人で扉へ入り、出て来くるともう真夜中だ。日中の仕事と激しい戦闘で、2人とも疲労困憊だった。叢雲も戴天につられてふぁ、とあくびを漏らした。
    「……眠いな。今から迎えを呼ぶが、ここからだと俺の家の方が近いな。今日は泊まっていけ」
    「良いのですか?」
    「今更だろう。たまに来るから使用人もよく分かっている。それに雨竜もお前と話したがっていた」
    「おや、それは嬉しいですね。……あなたは嬉しく無さそうですが」
    「そんなことはない」
    「“兄さん”も大変そうですね」
    「戴天。からかうな」
     そんな会話をしていると、迎えの車が近づいてくる。2人が乗り込むと、車はゆっくりと走り出した。
     真夜中ということもあり、歩く人も車通りも少ない夜道を進む。窓から見える夜空には闇の中に星々の輝きが見え、家には所々明かりが灯っている。虹顔市という場所にはたくさんの人たちが暮らしている。その人々が幸福に包まれた人生を歩めるために、2人は日々を生きている。
    「俺たちの力で虹顔市を守ろう」
    「どうしたのですか、突然。当たり前でしょう。私たちが揃えばそれも不可能ではないはずです」
     心地よい揺れと暗い車内にうつらうつらしながらも、使命を再確認する。2人揃っていれば、全力で駆け抜けることができると、そう信じていた。



     カオストーンと思われる石を持っている人物の情報がエージェントから届いた時、嫌な予感はしていた。なぜなら真っ先に反応したのが宗雲で、その現場の近くに戴天が居たからだ。
     そのまま連絡を無視して多忙を理由に合流しないことも考えたが、第二世代のカオストーンが頻繁に発見されている以上、それがどんな情報をもたらすものか確かめたい。それが弟のものだったら、戴天は自らの手で回収しておきたかった。もう隠すつもりはない。しかし、雨竜が何かの記憶を取り戻すときは側に居たかった。
     戴天が現場に到着するとほぼ同時に宗雲も扉に辿り着いたようだった。
    「お前も来るのか?」
    「ここまで来て、踵を返すと思いますか?」
    「それもそうだな。……行くぞ」
     躊躇うことなく扉へと足を踏み入れた宗雲に続いて、戴天も扉をくぐった。
     今回のカオスワールドは廃工場のような場所で、服装が変わっていないのを見るに、第二世代のカオストーンではないようだった。
     エージェントからの情報によると、今回カオストーンを所持しているのは20代前半の男性だが、辺りにはそれらしき人物は見当たらなかった。
     周りを警戒しながら歩き出すと、グオオオ……という声と共にガオナが出現する。
     宗雲と戴天は言葉を交わすこともなく左手にカオスリングを嵌めて変身する。
     6体ほどのガオナに囲まれた状態で、先に宗雲が動き出した。それを見て、戴天もまた、敵を殲滅させることに集中する。
     お互いに背を向けた状態で戦闘を続ける中、安否を確認するようなことはなかった。実力はお互いが分かっている。ガオナ数体に囲まれたところで怪我を負うこともない。
     スピード重視の戴天の戦闘スタイルでは、一度光線を放つと瞬きの合間に敵はいなくなる。軽く裾を払い、背後を振り返ると宗雲もまた、敵を殲滅し終えたところだったようだ。
    「ここにカオスワールドを開いた主はいないな。場所を移そ──」
     話し出した宗雲の背後からガオナクスが音もなく攻撃を仕掛ける姿を見て、宗雲が言葉を終える前に戴天が無言で光線を放つ。つい1秒前まで宗雲の顔があった場所をライズの光が駆け抜けた。
    「……声くらい掛けろ」
     宗雲の鋭い目線が戴天を射抜く。しかし戴天は表情ひとつ変えなかった。
    「おや、すみません。つい体が動いてしまいました。商売道具のお顔に傷が付いたら大変ですもんね?宗雲さ──」
     戴天が言い切る前に宗雲の剣が戴天の顔目掛けて飛んでくる。避けきれなかった長い髪が数本、はらはらと地面に落ちていくと同時に背後から呻くようなガオナクスの声が響いた。
    「すまない。世間で噂のイケメン社長の顔に傷を付けるところだったな」
    「……」
    「……」
     両者ニコリともせずに睨み合う。もはや敵は出てくる気配が無いというのに、今にも戦闘が始まりそうな雰囲気が流れる。
     その時、ザリ……と足音が奥の扉から聞こえ、同時に2人は素早くそちらに警戒態勢をとる。
    「ヒッ……」
     2人が纏う怒りにも似た圧に、扉からこちらを覗く男から情けない声が漏れる。
    「……あの男が」
    「……そのようですね」
     ひとまず威圧感を与えてしまっては説得などできないと2人は深呼吸をする。先程までの昂った気持ちはいくらか落ち着き、冷静に男と話ができそうだ。
     宗雲が足を踏み出すのを見て、後ろから戴天も歩き出す。
     最初はこちらを見て怯えていた男も、宗雲と戴天の説得に応じて、カオスワールドから出る決心をしてくれた。3人で扉をくぐると、男は半分泣きそうになりながら2人に背を向けて去っていった。

    「エージェントへの報告は」
    「俺からしておく」
     短い会話だけをして、宗雲が背を向けて去っていく。その後ろ姿を見送ることはせずに、戴天も背を向けた。
     やがて到着した車に乗り込み、帰路につく。窓から見える夜空は星々が綺麗に輝いている。
    ふと、まだ宗雲が高塔叢雲と名乗っていた頃に同じようなことがあったなと思い出す。あの時虹顔市を守ると約束した叢雲はもう隣にはいない。しかし今は雨竜がいる。
    「……守ってみせますよ。私たちの力で」
     帰りを待っているであろう弟の姿を思い浮かべながら、戴天は目を閉じた。

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    Replies from the creator

    りま!

    DOODLE⚠︎戴冠の器ストーリー後の宗戴です
    雨竜くん本当にありがとうございました。(?)

    イベスト後、こういうことがあったらいいなぁと思っている。
    戴天→宗雲、宗雲→戴天が結局どう思っているかは私の中でもまだ定まっていません。
    何通りも考えて全通りおいしい。
    一水四見 業務は終了し、あとは荷物を鞄に詰めながら迎えの車を手配するだけ。それなのに戴天は迎えの連絡もせずに手元のスマートフォンを見つめて動けずにいた。
     秘書の雨竜は帰宅が遅くなると判断した時点で先に帰している。1人きりの社長室で、ただスマートフォンを見つめ続けて10分。やっとスマホから目を離し、机の脇に置いている紙袋を見る。贔屓にしているワインセラーから取り寄せたワインがそこには入っていた。
     雨竜からの助言もあって、先日の戦闘に助太刀として現れた宗雲にワインを渡そうとしているのだが、そのために取ろうとしている連絡を勇気が出ずに引き伸ばし続けていた。
     そして今日、そんな様子を見ていた雨竜から“兄さんが言い出さないなら僕が届けます”と宣言されてしまった。雨竜も戴天もそれでは意味が無いのだと分かっている。ただの助太刀への御礼、だけではないからだ。
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    りま!

    DOODLE叢+戴と宗+戴の一幕。
    ※恋愛要素は無いです!
    前半は穏やか、後半はギスギス。
    温度差で風邪を引いても大丈夫な方はどうぞ(?)
    進む先 カオスワールドの中、醜い雄叫びをあげてガオナクスが立ちはだかる。はぁはぁと荒い息を吐きながら、叢雲と戴天は身構えた。
     カオスワールドの主の意思が強いのか、いつも以上にガオナとガオナクスによる妨害が多かった。目立った怪我は無いものの、連続して起こる戦闘に2人の息は上がっていた。
    「……ふぅ、まだ行けるか?戴天」
    「無論。叢雲さんこそ大丈夫ですか?」
    「もちろんだ。……来るぞ!」
     ガオナクスが繰り出す攻撃を叢雲が防ぎ、戴天が光線で焼き尽くす。お互いが次にどんな動きをするのか、目を見るだけで分かった。
     後方にいた戴天の後ろに新たなガオナが出現するのを叢雲が目の端に捉えた瞬間に叫ぶ。
    「戴天ッ!」
     鋭い声が戴天の鼓膜を揺らすとほぼ同時に、叢雲の剣が戴天の背後にいるガオナに突き刺さった。戴天は考えるよりも先に叢雲の動きを予想し、半歩身を引いていた。音もなく消えていくガオナに安心する暇もなく、剣を突き出した腕を戴天が軽く引く。引かれた動きに抗うことなく身を翻すと、戴天がふわりと浮遊して前方のガオナを破壊した。
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    りま!

    DOODLE※①②③を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    雨→戴→宗と目線が変わります。
    終わらせようと思ったけど続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ④〜一歩前進編〜 玄関の扉が開く音に雨竜がリビングへ降りると、予想通り戴天が帰宅したようだった。
    「おかえりなさい、兄さん」
     戴天には休日というものが存在しないのではないか、というくらい働き詰めだ。今日も雨竜は休日だったものの、戴天は社内調整後の決裁のために出社をしていた。
     この決裁が終われば、ほんの少し戴天のスケジュールに余裕が出る。それを見越して明日は戴天の休日を作った。戴天は休日を渋ったが、このままでは何連勤になってしまうか分からないので、何も予定は入れませんと宣言したところでやっと了承してくれた。
    「ただいま、雨竜くん」
     靴を脱いでリビングへとやってきた戴天が雨竜に一声かけると、そわそわとした様子でそのまま部屋のある2階へと上がって行った。
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    りま!

    DOODLE※①②を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    駆け引き編は宗雲目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ③〜駆け引き編〜「ありがとうございました。……では、また」
     そう言いながら車に乗り込む戴天がこちらを見た。その表情がどんなものだったか、戴天は分かっているのだろうか。
    (では、また……か)
     戴天にとってはただの挨拶だとしても、彼の口から出た言葉であればそれを理由に何とでも言える。宗雲はつい緩んでしまいそうになる口元を手で押さえた。

     リビングのソファーに座りラウンジの雑務を片付けていると、スマホのメッセージアプリの通知音が響く。アプリを開くと、雨竜から今日のお礼が届いていた。雨竜が居なくなったあとの様子が気になったのか、直接的な言葉こそないものの、気になる様子が伝わってきて苦笑いする。
     同じ家にいる戴天には聞かずにこちらに聞いてくる気持ちはなんとなく分かる。ひとまず、こちらは嬉しかったと伝えられたこと、ただそれを戴天がどう思っているかは分からないことを伝え、最後に家に帰った戴天の様子を聞いておいた。
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    りま!

    DOODLE※お出掛け編を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    2人きり編は戴天目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ②〜2人きり編〜 雨竜が去り、カフェの店内に宗雲と戴天だけが残されている。雨竜のことを呆然と見送るしかできなかった戴天は、中途半端に浮いたままだった腰を再びソファーへと降ろした。
    「何か私に用事でもありましたか?それとも雨竜くんの前ではできないようなお話でもあるのでしょうか」
     戴天にとっては、宗雲と話さなければいけない用事も無ければ、何もないのにお喋りを楽しむような関係でも無かったから、今の状況がまるで飲み込めない。
    「いや、特にそんな話は無い」
     宗雲からの返答に戴天は訝しげな目線を向ける。
    「私もあなたに用はないのですが……」
     そう言う戴天に視線も向けずに宗雲は落ち着かない様子で手元のアイスコーヒーの氷をストローでかき混ぜている。カラカラと氷同士のぶつかる音が静かな店内に響く。グラスの表面についた水滴をコースターが音もなく吸いとっていった。
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