プリーズKissミー!朱桜司、十六歳。最近恋人が出来ました。恋人は眉目秀麗と言う言葉が似合い、口が悪くたまに手が出るけれど、努力家で不器用で、そしてとても優しい人だ。
「ほら、かさくんついてるよ」
「あっ、言ってくだされば自分でとりますのに」
「ははっ、子供みたいだねぇ」
「むぅ……司は子供ではありません!」
「うん、かさくんは恋人だもんねぇ」
そう言って目の前で美しく微笑むその人は、ただの後輩だった頃には見られなかった顔をしていて、司は自分の顔が熱くなっていくのが分かった。恋人になってからは度々こういう顔を見せてくれたりと愛されていると感じる。傍から見たら順風満帆なことだろう。実際、順風満帆だし不満なんて無いと言いたい所なのだが……司には一つだけ不満があった。
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