【アラ紅】お題:mg/迷宮「紅玉おねえさん!僕と迷宮に行かないかい?」
……もう、何度目だろう?
アラジンが、私を迷宮攻略に誘うのは……。
二人は、煌王宮・紅玉帝の執務室…の隣の、みんなで休憩したり、お茶する場所だ。
「あのねぇ、アラジン。私、皇帝の仕事で忙しいのぉ。
それに、もう金属器はヴィネアを持ってるから……必要ないわぁ。」
「うう~ん、そうじゃない、そうじゃないんだよ……。」
「何をブツブツ言ってるのぉ?」
最近のアラジンは、よく分からない。
紅玉は困惑していた。
「アラジン、あなた最近、変よぉ?」
「へ、変かい!?でも、僕はコレが普通なのさ!」
アラジンは、ギラギラした瞳で私を見て来た。
あまり寝てないみたいだ。
「いいえ、普通じゃないわぁ。何だか怖いもの……。
何をそんなに焦っているのぉ?」
それを聞いて、アラジンはハッとした。
「そうだ…!僕は焦っているのかもしれない。
紅玉おねえさんは、もう、皆の紅玉おねえさんだから……!
友達が少なかった、お姫さまでは、もうないのだから……!!」
ボッ…
紅玉は、それを聞いて赤面した。
「や、やめて下さる…!?恥ずかしいわぁ!
皇帝になったから、部下は増えたけれど、
本当の友達は、あなた……アラジンやアリババちゃんやモルジアナちゃん、白龍ちゃん、ジュダルちゃんだけよぉ!」
その言葉を聞き、アラジンは眉間に深い皺を寄せた。
「う、う~ん……。それって、本当?」
紅玉の真心を尽くした言葉は、アラジンに響かなかったようだ。
「本当よぉ!私の言葉を信じて頂戴!」
アラジンは、嬉しいような、悲しいような、泣きそうな顔をした。
「おねぃさん……!!!!!」
アラジンは紅玉を力一杯抱きしめた。
「や、痛いわぁ!」
この前まで幼い少年だと思っていたのに、骨ばった手や、薄いけれど、
筋肉がついた腕に絡めとられて、紅玉はドキドキした。
「ごめんよ、おねえさん……!」
アラジンは腕を解いて、紅玉を見つめた。
アラジンの大きな瞳の中に、キラキラとした星がいくつもあった。
紅玉の目元は、羞恥で赤く染まっていて艶っぽかった。
それを見て、アラジンは決意した。
「やっぱり、僕は紅玉おねえさんとの間にゆるぎない絆が欲しい。
言葉は、形のない不安定な物だから…。文字にすれば、残るけれど…。
結婚は、お互いの気持ちが変われば、ただの契約になってしまうから。
王とマギの絆は、どちらかが死ぬまで永遠だから……。」
「アラジ……んっ!?」
アラジンは紅玉の手を掴んだ。
空間転移魔法の光が二人を包む。
―――パァアアア!―――
「僕と一緒に、迷宮に行こう。君を、僕の王にする為に…!」
『ちょっと待った~~―――!!!!』
紅玉はアラジンの顔面をグーで殴った。
「ひでぶっ!!」
紅玉は怒りで肩を震わせた。
「アラジン!あなた!アリババちゃんはどうするのよぉ
ふざけんじゃないわよ!アラジンは、アリババちゃんを王に選んだんでしょ!?私も王に選ぶのって、浮気なんじゃない!?!?
最後まで責任を持ちなさいよ!ありえない!
不誠実なマギなんて、いらないわぁ!サヨナラ!」
「え、ちょ、ま、待って……。」
そしてアラジンは、紅玉に振られたのだった。