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    sahina70360203

    @sahina70360203

    @sahina70360203
    アジアBL沼住民。成人済。20↑  CQL、MDZSが好きです。さはんも好き。
    曦澄を幸せにしたい/忘羨/義城組/追景凌💕
    しぶでお話を書いています。

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    sahina70360203

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    忘羨ワンドロワンライ、お題「子守歌」で書きました。CQLの知己、付き合い始めた二人です。玄武洞の時の忘羨に歌詞はあったんだろうかと思いましたが、あったとしても聞き取れないほどだったんだろうなと思ったのでこんな形にしてみました。ご容赦いただけますと幸いです!

    #忘羨
    WangXian
    #CQL
    #知己
    knowOneself

    子守歌は歌えない 金丹があったころは風邪なんてひいたことがなかった。でも今では随分身体が弱くなって、ちょっとしたことで熱を出したりもする。ふつうの人間というのは厄介なものだ。
     この間の大雪の中、散々子供たちと騒いでいた俺はひとり風邪をひいて寝込んでいる。思追も景儀もぴんぴんとしているのに俺だけだ。霊力がないって不便だな。
     藍湛は傍で看病をすると言ったが、そんなことで仙督様の業務を妨害するわけにはいかない。さっさと行け!と背中を押して、静室の中で独りうとうとしている。
     しんしんと雪がふる雲深不知処に音はなく、時折門弟たちの修練の声がしたり、木に積もった雪がどさりと落ちる音が聞えたりするくらいだ。
     ああ、そういえば昔は熱を出すこともあった。まだ結丹する前だ。江澄と雨の日にふざけまわって二人して風邪をひいて寝込んだことがあったっけ。そのときは師姉が看病してくれたんだっけな。風邪のときだけ作ってくれる、卵粥が美味かったな……。
     そんな風に一日中うとうとしていたものだから。夜になって俺はすっかり目が冴えてしまった。とはいえ頭は痛いしのども痛い。眠ったほうが楽なことは知っている。
     そうするうちに藍湛が戻ってきて、俺は半身を起こして彼を迎えた。
    「おかえりー。今日はちょっと早いな」
    「君が心配で、早めに戻ってきた」
    「はははっ、過保護だなー。思追たちが面倒見てくれたし大丈夫なのに」
     寝台の隣に腰かける藍湛を見ながら、すこしくすぐったいような気持ちになる。藍湛はそっと俺の額に手を当てて聞いた。
    「具合はどうだ?」
    「ん-、頭がちょっと痛いかな。熱はだいぶ下がったみたいだ」
    「そうか。じゃあ、横になりなさい」
     藍湛が気遣わしげに言った。素直に頷く。
    「……ん」
     そして身体を横たえようとすると……藍湛が無言で自分の膝を叩いた。
    「……え?」
     これはあれか。膝枕ってやつなのか。ちょっと恥ずかしくないか?
    「早く」
     なんでもない事のように言われ、恥ずかしいとか思ってる自分がかえって恥ずかしくなって、そっとその腿の上に頭を載せる。鍛え抜かれた腿に無駄な肉はなく、正直固い。しっくりくる頭の置き位置を探していると、そっと頭を撫でられる。そしてほんわりと頭が暖かくなった。霊力を注いでくれているのだろう。
    「目を閉じて。眠っても構わない」
     囁くように言うその声は低く心地よく響く。ずきずきと痛んでいた頭には優しい温もりが感じられ、痛みが和らいでいく。
    「うん。ありがとう……」
     幸せを感じながら目を閉じる。けれど眠りは訪れてくれない。
    「……昼間寝すぎたから、眠くないよ。なあ藍湛、子守歌、歌って」
    「…………」
     いつも「うん」と言ってくれるのに、藍湛は押し黙った。困ってる?
    「……前に玄武洞でさ。歌ってくれたじゃん? 忘羨。あの時すっげえ身体痛かったけど、おかげ様で眠れたよ。なあなあ」
     ちょっとからかいたくなって、目を開けて藍湛を見つめる。下から見てもかっこいいな。
    「……あのときは……鼻歌だった」
    「……あ」
     って真面目か! 別に子守歌って言ったって歌じゃなくてもいいんだよ。曲でいいんだってば。
    「いや曲でいいよ? あの時みたいに鼻歌で歌ってよ。お前の声、すげー好きなんだ」
     藍湛は俺に甘い。これくらいのわがままは聞いてくれるはずだ。しかし藍湛は小首をかしげ、なにか考え込んでいるようだ。
    「……君のうちの子守歌は、どんなだった?」
    「うち? ええと……」
     それを聞いてどうするんだ、まさか学んで歌ってくれようっていうのか? 思わず笑ってしまう。だけど子守歌って言われても。
    「……江家に行く前のことは、あまり覚えてないな。母上がきっと歌ってくれてたんだろうけど。江家では、子守歌を歌ってもらう前に寝落ちてた」
     なるべく重くならないように言う。確かに毎日くたくたになるまで動いていた少年時代は、布団に入るなり眠ってしまっていた。けれど俺は真夜中にうなされて起きることがあって……。その時はなかなか寝付けず、それに気づいた師姉が頭を撫でてくれた。そう、今みたいに。そして子守歌も歌ってくれた。
    「……いや。あったな、子守歌。だけどあまり覚えてない。お前のところは? 藍先生が歌ってくれた? それとも沢蕪君?」
     師姉のことは……思い出すと泣いてしまいそうだ。なので話を切り替えた。とはいえ藍先生の子守歌なんて想像もつかない。沢蕪君は裂氷で見事な演奏を聞かせてくれそうだ。癒し系の曲ならぜったい眠れる自信がある。
    「……いや。うちには子守歌はない。寝られるまでひたすら精神を統一する」
    「………だろうな。子どもには辛い」
     さすが雲深不知処だ。もしかしたら家規の読み聞かせはあるのかもしれない。それも絶対眠れるな。
    「だから……。他の家には子守歌というものがあると聞いたとき、すこし、うらやましく思った」
     ぼそりと呟く。そうだ、藍湛だって最初からこうだったわけではないだろう。子供らしい感想に、胸がほわりと暖かくなる。
    「そうかー。じゃ、俺が歌ってやろうか? 子守歌」
    「ん? 君も子守歌は知らないんだろう?」
    「うん。でもさあ、子守歌って、きっと決まりはないんだよ。何の歌でもいい、好きな人が優しい歌を歌ってくれれば。歌詞なんてなくてもいいし、でたらめでもいい。だから俺はお前の忘羨が聞きたいよ」
    「………本当は、歌詞もある」
    「え?」
     思わず見上げた。玄武洞では俺はもう意識を保つのが精いっぱいで、何やら歌っているのは分かっていたけど、鼻歌だと思っていた。
     藍湛はふいと顔をそむけた。その耳たぶは紅くなっている。照れている、可愛いな。
     思わず笑うと、俺の目にひやりと冷たいきれいな手が置かれた。
    「……目を閉じて。眠りなさい」
     そして……優しい声が旋律を奏で始めた。藍湛が作った2人の曲を。
     ……ああ、しかも歌詞がちゃんとある。すごいなお前。そんなこと考えてたのか。
     くすぐったくて嬉しくて、幸せすぎて泣きそうだ。

     今度は俺が子守歌を歌ってやるよ。ちゃんと歌詞も作っておく。でも笑っちゃって寝るどころの話じゃなくなっちゃうかもな。
     優しい歌声と、頭に触れる暖かな手の感触。こんな穏やかな幸せが手に入るなんて思いもしなかった。
     その歌声をもっと聞いていたいのに、眠りの世界にいやおうなく引き込まれていく。
     
     ――今度は起きているときに聞かせてもらおう、そう思いながら、俺は意識を手放した。
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    sahina70360203

    DONE忘羨ワンドロワンライ、お題「子守歌」で書きました。CQLの知己、付き合い始めた二人です。玄武洞の時の忘羨に歌詞はあったんだろうかと思いましたが、あったとしても聞き取れないほどだったんだろうなと思ったのでこんな形にしてみました。ご容赦いただけますと幸いです!
    子守歌は歌えない 金丹があったころは風邪なんてひいたことがなかった。でも今では随分身体が弱くなって、ちょっとしたことで熱を出したりもする。ふつうの人間というのは厄介なものだ。
     この間の大雪の中、散々子供たちと騒いでいた俺はひとり風邪をひいて寝込んでいる。思追も景儀もぴんぴんとしているのに俺だけだ。霊力がないって不便だな。
     藍湛は傍で看病をすると言ったが、そんなことで仙督様の業務を妨害するわけにはいかない。さっさと行け!と背中を押して、静室の中で独りうとうとしている。
     しんしんと雪がふる雲深不知処に音はなく、時折門弟たちの修練の声がしたり、木に積もった雪がどさりと落ちる音が聞えたりするくらいだ。
     ああ、そういえば昔は熱を出すこともあった。まだ結丹する前だ。江澄と雨の日にふざけまわって二人して風邪をひいて寝込んだことがあったっけ。そのときは師姉が看病してくれたんだっけな。風邪のときだけ作ってくれる、卵粥が美味かったな……。
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    TRAINING射日の戦いの英雄魏無羨ってつまるところ羿(げい、中国神話の英雄、弓の名手、太陽を落とす)だよなと思ってたんですけど、CQL1話で藍湛がいきなり月見上げてるし、二人の出会いも月見上げてたので、藍忘機って月に逃げなかった嫦娥(じょうが、羿の妻、羿を裏切って不老不死の薬を手に月に逃げる)じゃん!?となった感想のような忘羨知己です。THIS IS 知己(たぶん)
    Do not repost.
    月に昇らじ 夜の風が竹林を通り抜ける囁くような音が聞こえてくる。風の音に藍忘機が琴を弾く手を止め、開け放たれた外へと視線を向けると、魏無羨は軒先から見上げた月の明かりに目を細めながら天子笑を呷っていた。
     静室の奥に座る藍忘機がじっと魏無羨の顔を見つめていると、魏無羨が振り向いた。藍忘機の琴の音が止まったことが気になったらしい。
    「藍湛、どうかしたのか?」
     月明かりに照らされた魏無羨の陰影の濃い輪郭に見惚れながらも、藍忘機は前々から気になっていた疑問を口にした。
    「好きなのか?」
    「ん? 俺が酒を好きなのは見てれば分かるだろ? 酒ならいくらでも飲めるなぁ」
     魏無羨の答えを聞かずとも、彼が酒を愛していていくらでも飲めることは良く知っている。
    2362

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    DONE曦澄ワンドロお題「失敗」
    Twitterにあげていたものを微修正版。
    内容は変わりません。
    「なぁ江澄。お前たまに失敗してるよな」
     軽く塩を振って炒った豆を口に放り込みながら向かいに座る魏無羨の言葉に、江澄は片眉を小さく跳ね上げさせた。
    「なんの話だ」
     江澄は山のように積まれた枇杷に手を伸ばした。艶やかな枇杷の尻から皮をむいてかぶりつく。ジワリと口の中に甘味が広がる。
    「いや、澤蕪君の抹額結ぶの」
     話題にしていたからか、ちょうど窓から見える渡り廊下のその先に藍曦臣と藍忘機の姿が見えた。彼らが歩くたびに、長さのある抹額は風に揺れて、ふわりひらりと端を泳がせている。示し合わせたわけでは無いが、魏無羨は藍忘機を。そして江澄は藍曦臣の姿をぼんやりと見つめた。
     江澄が雲夢に帰るのは明日なのをいいことに、朝方まで人の身体を散々弄んでいた男は、背筋を伸ばし、前を向いて穏やかな笑みを湛えて颯爽と歩いている。情欲など知りません、と言ったような聖人面だった。まったくもって腹立たしい。口の中に含んだ枇杷の種をもごもごと存分に咀嚼した後、視線は窓の外に向けたまま懐紙に吐き出す。
     丸い窓枠から二人の姿が見えなくなるまで見送って、江澄は出そうになる欠伸をかみ殺した。ふと魏無羨を見ると、魏無羨も 2744

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    PROGRESS恋綴3-7(旧続々長編曦澄)
    別れの夜は
     翌日、江澄は当初からの予定通り、蔵書閣にこもった。随伴の師弟は先に帰した。調べものは一人で十分だ。
     蔵書閣の書物はすばらしく、江澄は水に関連する妖怪についてのあらゆる記述を写していった。その傍ら、ひそやかに古傷についても調べた。しかしながら、薬種に関する書物をいくらひもといても、古傷の痕を消すようなものは見つからない。
     江澄は次に呪術の書物に手をかけた。消えない痕を残す呪術があることは知識として持っている。その逆はないのだろうか。
     江澄は早々に三冊目で諦めた。そもそも、人に痕を残すような呪術は邪術である。蔵書閣にあるとしても禁書の扱いであろう。
    「江宗主、目的のものは見つかりましたか」
     夕刻、様子を見に来た藍曦臣に尋ねられ、江澄は礼を述べるとともに首肯するしかなかった。
    「おかげさまで、江家では知識のなかった妖怪について、いくつも見つかりました。今までは海の妖怪だからと詳細が記録されてこなかったものについても、写しをとることができました」
     たしかに江家宗主としての目的は果たせた。これ以上に藍家の協力を得るのは、理由を明かさないままでは無理なこと。
    「あなたのお役に立てたなら 2224