しばた三歳
DONE【知己のひめはじめ】ヒメハジメをテーマに2連作です
① cql忘羨(座学知己・全年齢)←コレ
②原作忘羨(道侶・R18)
cql版はさらっとあっさり、少年時代の知己です😊
※もろもろ捏造、ふわっとお読みください
知己のひめはじめ【知己のひめはじめ】 陳情令・座学/全年齢
(しばた三歳)
「おうい!」
白い校服をたなびかせて、二度見するほど細く伸びやかな肢体が、小鹿のように軽やかに走ってくる。
タタタン、タタタン。階段を駆け降りてくる不思議な足拍子は、姑蘇藍氏の子弟たちからは決して発されない音だ。
「へへっ、ここにいたんだな。蔵書閣にいないから探したぞ」
いったい何がそんなに楽しいのだろう。魏無羨は冷泉の淵に立ち、藍忘機を見下ろしながら、実にご機嫌そうに笑っている。
冷泉に浸かったまま白衣を羽織り、江家一番弟子の笑顔をまぶしげに見上げた藍忘機は――まぶしいのは水面に反射した日差しのせいであり、他に意味はない――不愛想にひとこと「何の用だ」と問うた。すがめた目線は鋭く、まるで妖邪を見据えているようだ。しかし魏無羨は一切頓着せず、
2047(しばた三歳)
「おうい!」
白い校服をたなびかせて、二度見するほど細く伸びやかな肢体が、小鹿のように軽やかに走ってくる。
タタタン、タタタン。階段を駆け降りてくる不思議な足拍子は、姑蘇藍氏の子弟たちからは決して発されない音だ。
「へへっ、ここにいたんだな。蔵書閣にいないから探したぞ」
いったい何がそんなに楽しいのだろう。魏無羨は冷泉の淵に立ち、藍忘機を見下ろしながら、実にご機嫌そうに笑っている。
冷泉に浸かったまま白衣を羽織り、江家一番弟子の笑顔をまぶしげに見上げた藍忘機は――まぶしいのは水面に反射した日差しのせいであり、他に意味はない――不愛想にひとこと「何の用だ」と問うた。すがめた目線は鋭く、まるで妖邪を見据えているようだ。しかし魏無羨は一切頓着せず、
ミルクルミ
PASTポイピクへの小説投稿初でお試し投稿知己のお話し
pixivに続編あり
知己ですけど、何か?『おはよう御座います。含光君、魏先輩』
朝餉を運んできた藍思追と藍景儀 は同時に、静室の中にいる二人へ声をかけた。
そっと扉が開いて中から出てきたのはたった今起きたばかりの魏無羨だった。着物が乱れて胸元が少しはだけていたが、よく見る光景だった為、大して驚きはしなかった。
「おぅ〜お二人さん、おはよう。朝餉運んでくれたのか?ありがとな」
寝起きなのにこれまた爽やかな笑顔をくれる魏無羨に、同じように爽やかな笑顔を返す二人。
その魏無羨の背後に静かに現れたのは美しくも無表情な藍忘機。再度挨拶をしようとした思追と景儀だったが次の瞬間、魏無羨の左耳に顔を寄せ、背後から抱き寄せるようなかたちで両腕をそっと魏無羨の胸元へ持っていき、着崩れてはだけてしまっている胸元の衿を合わせ正してやっている。それはもう極自然に。
7195朝餉を運んできた藍思追と藍景儀 は同時に、静室の中にいる二人へ声をかけた。
そっと扉が開いて中から出てきたのはたった今起きたばかりの魏無羨だった。着物が乱れて胸元が少しはだけていたが、よく見る光景だった為、大して驚きはしなかった。
「おぅ〜お二人さん、おはよう。朝餉運んでくれたのか?ありがとな」
寝起きなのにこれまた爽やかな笑顔をくれる魏無羨に、同じように爽やかな笑顔を返す二人。
その魏無羨の背後に静かに現れたのは美しくも無表情な藍忘機。再度挨拶をしようとした思追と景儀だったが次の瞬間、魏無羨の左耳に顔を寄せ、背後から抱き寄せるようなかたちで両腕をそっと魏無羨の胸元へ持っていき、着崩れてはだけてしまっている胸元の衿を合わせ正してやっている。それはもう極自然に。
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DONE8月20日以降公開あらすじ:藍忘機と思いを通じ合わせ,知己から一歩進んだ関係になった魏忘羨。双修を意識しつつも,周りにはまだ内緒の初々しい関係の魏無羨に縁談が来る。
今の自分は藍忘機の何なのか,答えが見つからないまま,縁談を断ろうとする魏無羨だが,この縁談が仕組まれたことと知ってしまう。
知己の縁談、即破談知己の縁談即破談
あを。
高く聳える山々にも青葉が繁る頃になると、涼冷な雲深不知処といえど、薫風に呷られ陽炎が揺れる。
馴染みの雪景色が消え、鮮やかな緑衣に様変わりしようと魏無羨からすれば、西瓜が美味い季節になったな、の一言で片付けられた。
共に食べようとこの暑い中、丸々とした西瓜を抱え、ようやく見つけた彼は弟子達に囲まれ涼しい顔で戦術を語っていた。
「ちぇ」と長い髪を項から掻き上げ顔を上げると、強い日光が容赦なく刺さり、魏無羨は目を細める。
(相談したいことがあったんだけどな)
仕方なく、静室に戻り一人で赤い果実に齧り付きながら、魏無羨は手元の書簡を流し見た。
6770あを。
高く聳える山々にも青葉が繁る頃になると、涼冷な雲深不知処といえど、薫風に呷られ陽炎が揺れる。
馴染みの雪景色が消え、鮮やかな緑衣に様変わりしようと魏無羨からすれば、西瓜が美味い季節になったな、の一言で片付けられた。
共に食べようとこの暑い中、丸々とした西瓜を抱え、ようやく見つけた彼は弟子達に囲まれ涼しい顔で戦術を語っていた。
「ちぇ」と長い髪を項から掻き上げ顔を上げると、強い日光が容赦なく刺さり、魏無羨は目を細める。
(相談したいことがあったんだけどな)
仕方なく、静室に戻り一人で赤い果実に齧り付きながら、魏無羨は手元の書簡を流し見た。
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DONE思いを通じ合わせた知己の後日談。桜の木の下伝説に振り回される知己のお話です。わちゃわちゃしてます。
桜時(知己の巷談) 春光を包んだうららかな風が桜の香を帯びて彷徨う。いかに雪深く閉ざされた姑蘇といえど春の訪れを感じられるこの穏やかな季節。春風と共に雲深不知処ではある噂が流れていた。
「なあ、知っているか」
稽古場の片隅、冷たい湧き水で剣術の疲れを癒していた藍思追に、藍景儀が声を潜め話しかける。
「雲深不知処の裏山に一本の古びた桜木があるだろう。そこで好きな相手の服の裾に触れると、二人は生涯幸せになれるらしいんだ」
その漏れ聞こえた話に、魏忘羨は盛大に吹きだした。
「な、なんだよ!魏先輩」盗み聞きするなよ!と詰る景儀に「ああ、なんでもない続けてくれ」こほんと上級者らしく咳をして誤魔化すが、しかし心の中では(流石お子ちゃまたちだな!そんな噂を信じているとは!)と腹を抱えて笑っていた。
5135「なあ、知っているか」
稽古場の片隅、冷たい湧き水で剣術の疲れを癒していた藍思追に、藍景儀が声を潜め話しかける。
「雲深不知処の裏山に一本の古びた桜木があるだろう。そこで好きな相手の服の裾に触れると、二人は生涯幸せになれるらしいんだ」
その漏れ聞こえた話に、魏忘羨は盛大に吹きだした。
「な、なんだよ!魏先輩」盗み聞きするなよ!と詰る景儀に「ああ、なんでもない続けてくれ」こほんと上級者らしく咳をして誤魔化すが、しかし心の中では(流石お子ちゃまたちだな!そんな噂を信じているとは!)と腹を抱えて笑っていた。
sahina70360203
DONE忘羨ワンドロワンライ、お題「子守歌」で書きました。CQLの知己、付き合い始めた二人です。玄武洞の時の忘羨に歌詞はあったんだろうかと思いましたが、あったとしても聞き取れないほどだったんだろうなと思ったのでこんな形にしてみました。ご容赦いただけますと幸いです!子守歌は歌えない 金丹があったころは風邪なんてひいたことがなかった。でも今では随分身体が弱くなって、ちょっとしたことで熱を出したりもする。ふつうの人間というのは厄介なものだ。
この間の大雪の中、散々子供たちと騒いでいた俺はひとり風邪をひいて寝込んでいる。思追も景儀もぴんぴんとしているのに俺だけだ。霊力がないって不便だな。
藍湛は傍で看病をすると言ったが、そんなことで仙督様の業務を妨害するわけにはいかない。さっさと行け!と背中を押して、静室の中で独りうとうとしている。
しんしんと雪がふる雲深不知処に音はなく、時折門弟たちの修練の声がしたり、木に積もった雪がどさりと落ちる音が聞えたりするくらいだ。
ああ、そういえば昔は熱を出すこともあった。まだ結丹する前だ。江澄と雨の日にふざけまわって二人して風邪をひいて寝込んだことがあったっけ。そのときは師姉が看病してくれたんだっけな。風邪のときだけ作ってくれる、卵粥が美味かったな……。
2674この間の大雪の中、散々子供たちと騒いでいた俺はひとり風邪をひいて寝込んでいる。思追も景儀もぴんぴんとしているのに俺だけだ。霊力がないって不便だな。
藍湛は傍で看病をすると言ったが、そんなことで仙督様の業務を妨害するわけにはいかない。さっさと行け!と背中を押して、静室の中で独りうとうとしている。
しんしんと雪がふる雲深不知処に音はなく、時折門弟たちの修練の声がしたり、木に積もった雪がどさりと落ちる音が聞えたりするくらいだ。
ああ、そういえば昔は熱を出すこともあった。まだ結丹する前だ。江澄と雨の日にふざけまわって二人して風邪をひいて寝込んだことがあったっけ。そのときは師姉が看病してくれたんだっけな。風邪のときだけ作ってくれる、卵粥が美味かったな……。