3 夜分に失礼3 夜分に失礼
「梶ちゃん、まさかとは思うけど、パパ活に手を出したりしてないよね?」
「貘さんは一体僕をなんだと思ってるんですか!?」
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一体何故なのか、門倉さんとの恋人関係は順調に継続記録を更新し続けている。門倉さんは僕に愛想を尽かす事も無く、“恋人”としての振る舞いを僕に与え続けてくれていた。今だって、高層ビルの最上階に入っているレストランに、共に向かい合って座っていた。
これは本当に仮にも恋人に対して向ける感情では無いと理解しているが、普段との差を考えると、いつだって恐ろしくなる。別に門倉さんが僕に向けてくれている感情を疑っている訳では無い。それでも、今恋人として僕の目の前で一緒にディナーを食している彼と、立会人としての彼が、本当に同一人物なのか、偶に認識が揺らぐ。
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