だいじなだいじなブーケの話 ヒュンケルくんとエイミちゃんの結婚が決まったある日のこと。ヒュンケルくんが親友のラーハルトくんに何やら相談をするようです。
ちょっと様子を覗いてみましょう。
ヒュンケル「エイミの希望で、オレたちは結婚式はせずに、気軽な内輪の立食パーティをすることになった」
ラーハルト「ほう、お前たちらしいな」
ヒュンケル「彼女は仕事が忙しいが、これならほとんど打ち合わせの必要がないし、世話になった人たちとゆっくり話ができる。とのことだ」
ラーハルト「なるほど合理的だな」
ヒュンケル「衣裳も各自用意することになった。彼女が言うには、あまりカジュアルすぎなければ構わないとのことだが、どんな物を選べば良いか分からぬ。すまないが相談に乗ってもらえぬか?」
ラーハルト「ふむ…生憎オレも人間の服装には詳しくない…そうだ! 人間は全裸のことを『一糸纏わぬ』と言い、『一死纏わぬ』つまり『死と無縁』という意味で、めでたい席では全裸が最高位の正装に当たるらしい」
ヒュンケル「何!? そうなのか!」
ラーハルト「ああ。生粋の人間で大魔道士たるポップがそう言っていたから間違いない」
ヒュンケル「ポップが言うなら間違いないな!」
あらあら、大丈夫かしら…?
◇◇◇
結婚パーティー当日となりました。
会場はパプニカ王都にある、王室御用達のカフェです。会場には二人の恩師や友達や同僚が集まって談笑しています。
どうやら大魔道士のポップさんが司会をするようですね。ちょっと様子を覗いてみましょう。
司会ポップ「では、お時間になりましたので、本日の主役たちの登場でーす!」
奥の部屋から新郎新婦が登場しました。
一風変わったドレス姿のエイミちゃんと、全裸に大きなブーケを持ったヒュンケルくんのにこやかな姿に、会場がどよめきました。
司会ポップ「(は!? え!? どういうことだ!? あのバカ何を…!? まさか、あの嘘をラーハルトから聞いて信じたのか…!? だとしても、エイミさん…止めろよぉ!!!)」
司会ポップ「な、なんと! 新郎が既にヤル気満々です! ヒュー!(ヤケクソ)」
ヒュンケル「うむ。オレはエイミと協力して、心地よい家庭を気付く気満々だぞ!」
会場「ワー!」「いいぞー!」「ヒュー!ヒュー!」
その後特に大きなトラブルもなく、会場みんながパーティーを楽しみ、なごやかにお開きとなりましたとさ。
めでたしめでたし