あとがき　この度は『MAB』をお手に取って頂き、誠にありがとうございました。

　人様のお話の裏話やお話が出来上がる過程を聞くのが大好きなのですが、いざ自分の話となると需要ないだろ…という気持ちが強くなってしまうものですね。。
　けれど人生初めての本、そしてどうにも人並み以上に記憶力が乏しい自覚があるので、これも数年後自分で見直した時になにか得られるものがあるかもしれないと思って書きたいと思います。

　まず、2022年4月に支部に投稿した『芽吹き/愛を注ぐ人』について。
　こちらの芽吹きは侑日ワンライ・ワンドロのお題で書かせて頂いたものです。オタク復帰第三作目くらいでしょうか。長い話が書けなくて、であれば短いセンテンスで日記のように書こうと思った記憶があります。お題を聞いた瞬間、GLAYの『春を愛する人』のイントロが流れてきて、この結末に向けて書こうとプロットに取り掛かりました。が、案の定、プロット通りにはいかず、確かワンライには『芽吹き』の部分だけで提出したような気がします。後日、R18部分と『愛を注ぐ人』を加筆して支部に上げました。
　加筆修正するにあたり、当時の割とあっさりした文体とのギャップにかなり苦しめられました（今思えばそんな事気にしているのは自分だけだと気付けるのにね）。
　12月のWEBオンリーが終わったら原稿取り掛かって、まぁ再録部分の加筆修正なら1ヶ月もかからず終わるだろうし、書き下ろしのネタも何個か話は思い付いてるから2月くらいには脱稿できるでしょ。そんな事を思っていた自分に往復ビンタを喰らわせたい。
　脱稿したの、5月です（白目）。何でこんなことになったんだ。
　とにかく中身が書き終わらなければ何もできないと思っていたので、そこから本の作り方を勉強し、慣れないWordとの殴り合いを制し（脱稿の直前まで粘ってきやがりました）（ノンブルお前…なんで勝手に動くん？）、それと並行して印刷所決めやサンプル取り寄せ、見積もりに支払い諸々、そして装丁作り（このへんめっちゃ楽しかったです）、やることが…やることが多い…！！
　結局晴れて入稿が出来たのは6月下旬？早割間に合って良かった…。

　内容の方ですが、今回本にするにあたって支部再録だけじゃ物足りないなと安易に書き下ろしをしようと思いつきました。ほんと、安易に…。
　一旦は区切りのついた話に付け加えるならどんな内容がいいだろうと考えた結果、日向パートでは描写の無かった侑視点の恋の始まりと、二人のその先を書こうと決めました。そこに向けてどんな要素が必要か、日向パートで書けなかった補足部分をどう入れていくかをざっくり時系列にし、プロットに落とし込み、書いては修正書いては修正の繰り返し…。（そういえば書いている途中で突発的に入れたくなったのが侑のスキャンダル話でした）
　文字書きには色んなタイプがいるそうなんですが、私は漫画のコマ割りが頭に浮かんだり、映画のワンシーンのように動画が流れる事が多いです。
　構想段階で浮かんでいたのは春高後、タブレットに夢中になっている日向が自身の息で睫毛に雫を作っているシーン。そしてエピローグの海辺でバレーをしながら会話する二人のシーンでした。なんとか文字に落とし込んだつもりですが、私のイメージと読んだ方のイメージが合っていると嬉しいなと思います。

　最後にイメソンの話。
　支部のキャプションに載せましたが、芽吹き/愛を注ぐ人ではGLAYの『春を愛する人』ACIDMAN『式日』です。春の曲ですね。日向の心に芽吹いた感情が花開いた時の鮮やかさとか眩さのイメージです。
　そしてブライトアンドライトでは、イメソンのACIDMANの『Bright&Right』からそのままタイトルを付けました。最初は少し郷愁感の漂う雰囲気なのですが、サビに入ると光の粒子が舞うようなきらきらとした空気に包まれるところが好きです。ラスト、一度フェードアウトしてからまた最初のイントロに戻る所も、二人のその先はまだまだ続くという感じがしてそこもお気に入りです。
　カタカナ表記にしたのは、Rightをlight（光・輝き・明るさ）に読み替えたかったためです。
　なのでこの章はきらきらしてたり光り輝く描写を入れるようにしています。（今改めて歌詞を見たら初っ端から“太陽”と〝金色〟のワードが入っててびっくりしました）

　もう既に記憶が怪しくなってきているので多分書き残した部分はあると思うのですが、とりあえずこんな所でしょうか。
　まだ薄目でしか自分の本の中身は見られてないのですが（辻褄合わない所あったらどうしようの気持ち）、表紙や遊び紙はとても気に入っています。作者名はいつの間にか消えてたけどむしろ結果オーライ（？）ってことで。
　もし万が一、次に本を作る時があれば、似たような装丁をまたやりたいです。内容はモブ詰め合わせにしよっかな、とかね。
　
　私にとって初めてのイベント参加、初めての本となった『MAB』をお手に取って頂き、そして皆様のお家の一部分に置かせて頂いているという事実が恐れ多くも幸せです…！
　長々ととりとめのない文でしたが、お付き合い頂きありがとうございました！