My Favorite Thing Day1
朝は眠い。そんなのは大多数の人間がそうで、願わくば何者にも邪魔されずに睡眠を貪っていたいものである。だからこそ、その願いが叶った時の充足感、あるいは優越感、もしくは――その直後に襲いくる背徳感といったらない。
「あー…」
やってもうた。薄いカーテンから差し込む光は随分と短く、即ちそれは日が高くなっている証拠だ。いつもなら近所の小学生が登校するざわめきが聞こえるはずなのに、外はしんとしていた。
寝坊。これは紛うことなく寝坊。
昨日夜更かしして電話したのが良くなかったか。いや確認したいことがあったから仕方ないけども――未だ覚醒しきらぬ頭を上げ、時計を見上げる。が、そこには日焼けの跡しかない。ああそうか、外したんだった。納得した侑は枕元をまさぐってスマホを探し当て、ようやく時間を確認することができた。練習開始15分前。顔だけ洗って家を飛び出せば間に合う。なにせここは選手寮。体育館まで車で5分だ。
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