サムシングフォー「このパワーリストもそろそろ限界かな」
「最早、板は入れておらんが、中学の時からだからな」
試合前のロッカールームで、幸村も真田も互いの腕に残るリストバンドを見て、目を細めた。
「懐かしいな、真田も持って来てたんだ?」
「何となくな」
そう言って不敵に笑う真田に、幸村はほんわりと笑って返した。
さすがにずっと使っていたら痛んでしまうからプロになってからはここぞという試合の時だけ付けていた。それは真田もまた同じだということを幸村は知っている。
「ユニフォームはさすがに新調したんだね」
「久方ぶりのダブルスだ、当然だろう」
「あはっ!さすが真田。気合い充分だな!」
そう、今日は、年明け早々から、南半球まで来てダブルスを組んでエントリーしている、その初戦だった。ひょんなことから実現した何年ぶりかのペア結成は、童心、そして中学の頃を思い出させた。
1982