モブレされたサディがサディルシしようとする話 半透明のモニターに配列された、薄ら白く光る文字盤に音もなく指を滑らせる。時折、振動を伴う低い機械音が響き渡る以外は、一人の部屋は概ね静かだ。
十賢者の潜伏していた辺境の惑星での最後の交戦データを呼び出す。現地人以外と他惑星の人間と、同族で構成された集団だった。何度データをさらっても脅威どころか警戒するにも値しない程度の戦力しかない彼らが、十賢者の計画の不穏分子になることはない。残念なことに。
無味乾燥とした落胆と失望に苛まれながら、それでも私の口からは溜め息が零れ落ちた。機械の駆動音に掻き消されてしまうほどの小さな溜め息だ。そこへ、更に音を重ねるようにけたたましい足音が鼓膜を叩く。廊下からだ。
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