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    iga_yowa1

    @iga_yowa1

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    iga_yowa1

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    「「い、いれかわってるー!??!?」」
    ※こんなテンションの話ではない
    夜半井研究員×エージェントキリル
    ネタです(真顔)
    書きたい部分だけ書きました

    君の名は!?!暴力表現、嘔吐描写、生理ネタがあります




    背中の異様な痛みで目が覚めた。
    「いっ…………たぁ……」
    のそりと起き上がる。自分の体の動きが小さく、視界に入った手が幼かった。
    「…………子供?」
    思わず呟く。その声色にすら違和感があった。その手を近付けようと思えば近付けることが出来た。つまり、私の手?こんなに小さかった?握りこぶしを作ってみたり、ゆっくり開いてみたりする。指示通りに動く。間違いなく私の手だ。
    「……え?どういうこと?」
    体の節々が痛い。背中は焼けただれたようにジンジンとした痛みが永続的にする。頭が軽い気がして、視界にいつもの金髪が映らないことに気付く。
    「ここは……」
    ぐるりと辺りを見回した。
    全体的に埃だらけの床は所々、人がよく移動するであろうルートだけ綺麗で、雑多にモノが置かれている。二階に通じる階段と、目の前に廊下。鼻につく煙草の匂い。身に覚えがない。ここは何処だ?
    自分がぼろぼろの子供服を来ていることに気付く。上半身は肌着しかつけていない。そこでやっと自分の体臭が鼻についた。私のこの体に確実に合わない子供服なんだが?長袖なんだろうけど短パンみたいになってる。体つきは中学生くらいかな、と全身を確認する。腕を確認すると見えるところに痣があった。青いもの、赤いもの、黄色いもの。何があった?
    これはまるで、

    まるで、定期的に虐待を受けたような、

    「お兄ちゃんっ!」
    「わっ!?」
    後ろからだれかに飛び付かれた。
    自分よりも一回り小さい少女が泣きそうな目でこちらを見ていた。
    「お兄ちゃん、大丈夫……?」
    「お兄ちゃん……?」
    お兄ちゃんって私のことか?私はいつの間に男になったんだ?
    「さっきお母さん達が来てたでしょ?……お兄ちゃん?」
    その少女の口から出た言語は、ロシア語だった。しかし私はすんなりと理解出来ているし、私の何気ない発音も完璧だったように思える。
    おかしい。
    異次元か?別宇宙か?夢か?都合の良い何かなのか?
    しかしこれらが現実に起きている場合、とんでもなく厄介だぞ。
    「えっ……と、私の名前を呼んでくれない?」
    咄嗟の判断で、私はこの少女とコンタクトを取ろうとした。
    少女はますます不思議そうな目をしてから、ぽつりと呟いた。
    「キリルお兄ちゃん……?どうしたの?」

    そのとき、私は背後から人の気配を感じた。
    「おにい、」「しっ」
    少女の口を抑え、近くの物置を開ける。中は空だった。そこに少女をおしこみ、
    「何があっても声を出さないで。いい?」
    少女は何がこれから起きるのか分かったようで、半泣きになりながら私の腕を掴む。私は何が起きるか分からない。けど今、私の体はこれらの行動を無意識に行った。
    つまり、この体の意識は信用していい。長年のカンだ。私に記憶はなくとも、この体が覚えているなら従った方がいい。
    「いい子」
    私はほっと息をついて少女の頭を撫で、押し入れを背中で閉めた。

    ガチャリとドアが開く。

    「……アンタ、目が覚めたの」
    妖艶な女性がいた。薄着で、服も色っぽくはだけていて、肌ツヤは微妙に悪そうな女性だ。煙草の煙りを口から吐き出す様は強い女を表していた。
    よく分からないけれど、 現在の情報を整理しよう。私の体は子供になっていて、妹らしき子供がいる。そしておそらくここはロシア。私の体の名前はキリル…………キリル?
    思い当たる人が1人いるが……
    ロシア人のキリルってそんなに多い名前なのか??
    てかこの匂い本当に煙草か?明らかにダメなもの混ざってそうなんだけど。
    距離を取るために後ろに下がった。ここは下手なことはしない方がいい。多分、記憶がない私が異端で、この人は素直に質問に答えてはくれなさそうだ。
    途端に、女性の眉がクッと嫌そうに歪んだ。
    「何逃げようとしてんの?」
    グッと大人の力で腕を引かれる。
    「ッやめ、」
    抵抗しながら目で出来る限りの情報を探った。女性の腕に高そうな腕輪、指輪がいくつか。マニキュア。やはり健康的でない肌……薬物中毒者のそれと酷似している。
    女性はそのまま、モノを扱うかのように私の体を放った。結構な勢いで。情けなく転がり、私はより一層痛む背中を打ち付けられる。

    「ッか、はっ……」
    体全体が恐怖に震えている。怖い、怖いと心臓の鼓動が速くなった。私の意思とは別のところが反応しているらしい。視界が霞む。
    (怖がらないで、呼吸して!)
    お願い、と私はすがるように息を吸う。
    ハアッ、ハアッ、と過呼吸のような状態になる私を、侮蔑のような目で見上げていた。

    「……」
    その女性の背後から、また誰かの足音と気配。がっしりとした体格の男が入ってきた。

    「なんだ?今日はうるせえな」

    今日は、ってことはいつもやってるのか。
    だんだんとこの体の持ち主の境遇を理解してきた。この二人は恐らく父親と母親。日頃から妹を守る立ち振舞いをしていたことが容易に想像できた。男がこちらに近寄り、横たわる私の足を引きずった。
    「ヤメロッ!!」
    「……チッ、今日は生意気だな」
    体が異様な恐怖と脱力感に覆われていく。
    (体が諦めている?何?何が起きるの?)
    私は何処かに連れていかれているらしい。
    乱暴に片足だけを引きずられているせいで体のあちこちが家具や部屋の角に当たる。咄嗟に脇腹を腕でガードした時、先程見たアザと同じ場所の腕が当たった。

    (怖い、死にたくない、もう無理だ?ダメよ!呼吸して!)
    頭の中で恐怖がぐるぐると膨れ上がっていく。こんなに脅える?子供が?何に?

    諦めてしまえば楽だとでも言うように体からは気力が失われていく。私は力を振り絞り、男の手が掴む向きと逆方向に自分の足を蹴り上げた。男の掴む力がいくら強くてもこれなら抜け出せる。護身術の応用だ。自由になった両足でそのまま立ち上がって走る。
    「何逃げてやがる!」
    男が激昂する声が聞こえた。後ろから追ってくる音がする。
    (逃げるなら、窓!)
    体はこの家の構造を把握していた。
    リビングまで走り、ソファに飛び乗り、その付近の窓に手を掛け、
    「何勝手なことしてんの?」
    ガクン、と首が下がった。
    先程の女性が私の髪を引っ張り、反動で私は頭から床に落ちる。
    ガン、と鈍い音が鳴った。
    「ッ……!」
    頭がくらくらする、よろめきながら立ち上がろうと手を床に当てたとき、背中から燃えるような痛みとジュウという肉の焼ける音がした。信じられない程の痛み。
    「っっ!?!?」

    背中の痛みは、これか

    息を荒くした男が私までたどり着いて、私の肌着を掴む。
    「舐めたことしやがって!」
    もう私の体に抵抗する気力はなかった。この年の子供にしては、体に栄養も何も行き届いていない。
    (……ああ、)
    必ずこうなると、『この子』は分かっているんだ。
    (どうして私がこんなことになっている?)
    財団に連絡を取りたい。
    (ここは現代なのか?過去なのか?)
    時間を確認する術が欲しい。
    (ここから逃げる方法はないのか?)
    お金が、能力が欲しい。

    なんて、無力な、

    (あなたは、誰なの?)
    芯から脅えている、全てを諦めてしまったこの体の持ち主が知りたかった。



    *
    「もしもーし、夜半井さん、居眠りですか?」
    「は、え?」
    パチリと目を覚ますと、目の前にびっくりする程の美形がいた。肩が萎縮する。
    え???誰、この人??
    綺麗な二重の瞳、伸びた睫毛、バランスの良い鼻と口の位置……え?誰???俳優か何か???
    てか夜半井さんって言った?俺のことか?

    「もう、だから残業はだめですよって言ってるじゃないですか。頑張り屋さん」
    めっ!というようなポーズをして、目の前のイケメンはおどけたように笑った。
    「……え?もしかして、黒……井戸さん?」
    一瞬名前が出てこなくて焦った。黒井戸さんだ。アブナイアブナイ。
    ……黒井戸さんだとしたら、どうして布を目元に巻いていないんだ?てかこんなにイケメンだったのか!?正直言って今までの豪語は嘘だと思ってた。
    「えぇ?さん付けなんて急にどうしたんですか?まだ寝ぼけてる?かわいい~」
    へらへら笑っていた黒井戸さんは、俺がなんの返答もしなかったことに違和感を持ったらしい。不思議そうに顔をこちらに近付けてきた。
    「どうしました?」
    かっ、顔が近い!!何故かぶわりと汗が吹き出た。耳が赤い気がする。え!?何で!?!?まあ確かに距離は近いけど、そんなに焦るほどか??俺??
    「なっ、ナンデモナイデス」
    「そうですか?珍しく怒らないから、つい」
    黒井戸が顔を引いたので、はーっと息をついて辺りを見渡した。
    見覚えのあるデスク、見覚えのある建物……

    「サイト?」

    日本の夜半井さん達が勤めているサイトじゃないか?どうして俺はこんなところに?
    「今日は午後から反ミーム体を使った実験があるんですから。まあ今はゆっくりしててもいいんですけどね」
    黒井戸さんの言葉を聞いて、一層謎が募る。
    不意に肩が重くなった気がした。下をみると、……明らかに胸元が膨れている。え?……え!?
    金髪が視界の両側で揺れた。
    「まっ、まっ、待って、黒井戸さん、鏡ありませんか!?」
    急に慌て出した俺を不思議そうに見つめてから、黒井戸さんは向こうを指差した。
    「あっちに化粧室がありますけど……ほんとに寝ぼけてます?」
    慌てて歩き出そうとして、ヒールがかつりとつっかえた。あ、歩きづらい!!

    なんとか化粧室までたどり着いた……なんとなく察しがついた俺は女性用の化粧室に向かう。うん、なんとなく分かってしまった。
    「はあ、やっぱり…………って、え!?」
    鏡に相対した俺は、予想通り夜半井さんの体になっていた。が、

    「……顔が、見える……………」

    ぽかんと、阿保のような顔をした夜半井さんが、そこに立っていた。

    *
    意識が戻った時、格子窓から星の明かりが見えた。ぴちゃん、ぴちょん、と頬に水が落ちてくる。薄目を開く。先程よりも腫れぼったくなった目蓋は酷く重い。
    「……ゲホッ……」
    ぼんやりと天井を眺めた。
    ここはどこだ?……ア風呂場だ……思い出した……父親らしきクソ男に散々殴られ蹴られ、そのまま放置されていたらしい。もう夜?嘘でしょ、驚くほど寒い。ここどこ?ロシアか。ロシアだな。さっきから思考が自己完結してばかりだ。
    横を向いたらゴロゴロと嫌な音が肺から鳴り、続けて鈍痛が内蔵から感じられた。
    「ッヴ……ッッ……」
    思わず吐き出す。胃酸……にしては薄い色のもの……を撒き散らしてから、水責めされたことを思い出す。手の甲で口を適当に拭く。
    ほんとに人間か?アイツら。およそ親という存在がすることではないだろ。怒りがふつふつと湧いてくる。
    うん、怒りがある。ということはまだ生きていける。この程度では死ねないらしい、頑丈な体で何よりだ。

    「…キリルさん、だよな」

    ロシア語を話せて、こんな色の髪で、男で、名はキリル。

    私の知っている人だとしたら、エージェントキリルしかいないだろう。
    深々とため息をついてからよろよろと立ち上がり、ひび割れた鏡の向こうに見える体を見た。病的な細さだ。充血した目が睨むように鏡を見据えている。うーん、美少年だったってことは分かった。虐待を受けていたなんて聞いてないぞ。

    「漂流インシデントかしら…それとも過去改変の類い…?身体が喪失したのか入れ替わったのか、分からないわね…」
    こんな愉快な仕事をしている都合上、非日常を一旦飲み込むということが得意になってしまった。全身はズキズキと悲鳴をあげているがあまり聞いてやれない。
    まず財団と連絡を取りたい。ロシア支部ってどこにあるの?てか通報って何番?児童養護施設とかってないの?
    「…あ、あの子」
    まずはあの妹?をクローゼットから出してやらねば。

    *
    「夜半井さんって凄い美人さんだったんだな…」
    しげしげと鏡を眺めて呟く。これは俺がこの体に入ったから見えているということでいいんだろうか。
    い、いや、それどころじゃない!!
    財団職員の仕事なんて全くわからない!
    黒…井戸さんに着いていけばいいのか!?それとも事情を説明した方がいいのか!?
    というか、そうだ、今は何年の何月何…
    クラリと目眩に襲われる。

    ヤバい。これは、まずい。
    いまだに慣れないヒールをどうにか前へと進める。壁によりかかりながらずるずると出口を目指してた。今まで経験したことのないような体の気だるさ、眠気、ぼうっとする頭。体が酷く思い、なんだ、いったい何が、

    (…コレ、まさか)
    考え付くのも失礼な発想が頭に浮かんだ。この体は女性だ。女性で、似たような症状と言ったら、いや知識でしか知らないが、まさか…?
    下腹部がズキズキと痛み、刹那。
    股下からどろりと嫌な感触がした。
    声にならない叫びを必死に圧し殺す。頼む、勘弁してくれ…!!勘弁してくれ!!本気で悲鳴が上がるかと思った。
    マジで!!男なんです!!そういうの何にも分からないんですごめんなさい夜半井さんほんとにごめんなさい!!!!!
    内心夜半井さんに平謝りする。しかし許しは得られなかったようで背中から嫌な汗がじわじわと湿り出す。
    内蔵が内側から抉られているような痛みがずくずくと下腹部を食いちぎる。
    視界がぼやけた。なんだこれツラすぎないか、月一くらいでこの痛みに耐えないと行けないのか?女性って…嘘だ…

    「夜半井さん」
    「うっ」
    後ろから声をかけられて、反応する前に体が浮いた。
    「エッ」
    「無理は禁物だと言ってるじゃないですか…ったく、そういう人なんだから」
    黒井戸さんは俺を担ぎ上げている。俗に言うお姫様抱っこだ。エ?お姫様抱っこだ????
    「黒井戸さ、」
    「相変わらず軽いな~ちゃんと食べて下さいよ。じゃあ医務室行きましょうね~」
    「まっ、待って」
    「大丈夫大丈夫、もう分かってます」
    「エッ」

    夜半井さん、夜半井さん…………!!!!
    もう俺ムリデス!!!!!助けて!!!!




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