上着と写真あ、と背後で小さな呟きがあった。
振り向けば、小さな足音を立てて階段から降りてきたシュウが、リビングで立ち止まっている。
木目が活かされているこだわりのテーブルセット、同居人数分のチェア。
ルカの定位置の椅子の背に、ボスのコートが引っ掛けられていた。
ミスタがプロコン片手にゲームに熱中していた最中、どたばたと騒がしく帰ってきたルカがとりあえずシャワー!と叫びながら置いていったもの。
トレードマーク的に、別に見慣れたいつものそれを、シュウが何気なく手にとって。
そっと、自分の腕を通していく。
細身の黒い長袖のパーカー姿がほぼほぼ隠れて、少しの身長差と胸の厚み分はやっぱりだぼついて見えるなと思った瞬間。
ポヒュッと、不思議な音が間抜けに響いた。
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